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今年は大分過ぎてしまいましたが、時を戻さず、早速いきます。
2024年に発売されたゲームの中から、特に気に入ったタイトルを挙げていきます。


5位:【メタファーリファンタジオ】(セガ/アトラス)
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アトラスの総決算。相変わらずプレスターンバトルはテンポとメリハリを兼ね備えていて心地良いし、カレンダーシステムは臨場感と緊張感があって刺激的だった。
そこも含めてペルソナ5と共通する要素が多く見られるので既視感は否めないけど、そりゃ簡単にこのシステムは手放せないよなと思う。
プレスターンや悪魔合体やカレンダーなど自社タイトルの実績あるシステムをシリーズ関係なく脈々と受け継いで秘伝のタレが如くじっくりと煮込みながら完成度を上げていくのがアトラスのスタイル。あまりにも洗練され過ぎていて抜群に面白かった。

一方で、今作はアトラスの伝統芸能である悪魔スカウトや悪魔合体などのシステムは採用されてない。
この仕組みは自由度があり過ぎる故にあらゆる状況に対応できるパーティーを作れてしまうので、弱点の攻防を先鋭化したメタファーのゲームバランスとは合わない可能性が高い。
また、カレンダーに関してもペルソナと比較して人間関係におけるアプローチの幅はかなり狭いが、今作は軸となるストーリーの存在感が強くメッセージ性が濃いので、好感度によって話の印象がブレないようにしたかったのだろう。

メタファーには、軸があった。確かに過去作から引き継いだ仕組みは多く見られるが、ただそのまま流用するのではなく、その軸に合わせてちゃんと調整されている。
だから、単なるペルソナを模した何かではなくて、メタファーリファンタジオとして楽しむ事ができた。


4位:【ステラーブレイド】(ソニーインタラクティブエンターテインメント/シフトアップ)
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何だろう。このゲームをプレイしてると、凄く伝わってくるものがある。ゲームとしては、RPG要素のあるアクションゲームとして無難にまとまった内容なので、何か飛び抜けたものがあるわけではないのに、ステラーブレイドにはとてつもないオーラを宿したものが確かに存在する。
オーラの正体は、主人公の「イヴ」さんです。もう何か凄い。ボディが。肉感が。肌が。胸が。衣装が。ポニーテールが。
この手の表現はセンシティブな扱いを求められる今の時代に、ここまでやるかという本気具合。批判を恐れず理想を実現しようとする制作者の激しい拘りが伝わって来る。そしてその理想がPS5のスペックをフル活用して超クオリティで表現されている。
拘りとクオリティ。それが主人公のデザインに美意識を宿している。女性のプロポーションを強調したデザインはどうしてもスケベ心が目立ってしまいがちだが、このゲームは下品さよりも、美しさが上回っていた。
そんな華のあるイヴを主人公として操作できるから、楽しい。アクションや演出がカッコよく決まっている。
創作の素晴らしいところは、理想を素直に表現できること。リアルやイデオロギーに縛られず、作り手の見せたいものを何としても表現しようとするこのゲームにはパワーがあった。

「これを絶対に見せたいんだ」という想いに溢れたゲームは、やっぱり引き込まれるものがあるね。
このゲームにおいてそれは、制作者が理想とする女性のプロポーションを表現したいというものだった。
これを下品という一言で切って捨てるのは簡単だけど、主人公のデザインはこのゲームの熱意そのもの。単なるアイコン的なものでなく、尋常ではない拘りとクオリティが込められている。ここまで来たらそれは立派なゲームの「核」だ。
その熱量が今作を魅力的なものにしているのは間違いない。


3位:【黒神話:悟空】(Game Science)
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ボス戦が凄い。凄すぎる。アクション、演出、スケール、ストーリー性、どれを取っても200億満点。バリエーションに至っては500億満点。
もう次から次へとボスが出て来る。しかも個性がありすぎる。プレイヤーが嫌がる理不尽な行動も平気でやってくるが、それだけに印象に強く残った。
俺はボス戦が盛り上がるゲームが大好きなので、そこの魅力が限界突破している今作はストライクゾーンにブッ刺さりました。


2位:【ドラゴンズドグマ2】(カプコン)
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12年ぶりとなるドラゴンズドグマの新作。何と言ってもこのゲームの魅力は、迫力あるモンスターの存在。
モンスターがデカい!モンスターが強い!モンスターが生きてる!
巨大なドラゴンが、グリフィンが、キマイラが、生き生きと動いている。まるでプログラミングとは思えない躍動感。造形、仕草、アクション。どこから見ても生命力に溢れ過ぎていた。

そんな野生味に溢れたモンスターと、オープンワールドが組み合わさる事で、凄まじい化学反応が発生。
周りの環境、他陣営の乱入、仲間の突発的な行動など、様々なイレギュラーが発生しまくり、バトルはカオス極まりない。
タイマンでは余裕だったドレイクやゴーレムもそこにゴブリンが数体混じるだけで難易度が一気に跳ね上がるし、隙あらば空からグリフィンが乱入してきて戦況がぐちゃぐちゃになることもあれば、仲間が勝手に崖から飛び降りて陣形が崩れたり、逆にモンスターが水に突っ込んであっさり死んでくれたり(水に一定の深さまで浸かるとヒュージブルという魔物に引き込まれて死ぬ)同じ戦いは存在しないと言って良いほど、とにかく色んな事が起きた。

このゲームのバトルは、真正面きった正々堂々なアクションのぶつかり合いではない。
ソウルシリーズやモンスターハンターのようにテクニカルに立ち回って実力で敵をねじ伏せるという類ではなく、モンスターに翻弄されながらも環境を利用したり仲間と協力したりアイテムを活用したりして泥臭く敵に立ち向かうというゲームだった。
言い換えれば、雰囲気ゲーではある。アイテムは手持ちがある限り時間を止めて自由に使えるし、アクションにしても相手の動きに対して回避やパリィなどを駆使して的確に反応することを強く求めてこない(そもそも、ガードや回避のアクションは特定のクラスでしか使用できない)。
駆け引きやテクニックはそこまで必要なく、ある程度のパラメーターと潤沢なアイテムさえあればゴリ押しできる。
もっとアイテムの縛りを強くしたり、プレイヤーの反射神経を求めるアクション性を高めたりして、モンスターとフェアな勝負を楽しむというゲームにする方向性もあったと思うが、そういう秩序のある締まったバトルにはしなかった。
あまりにもリスクとリターンのバランスが緩いので、攻略性という意味では物足りない部分があるのは確か。
でも、その緩さのおかげでこのゲームは楽しいものになっている。理不尽なモンスターの攻撃を受けても、はちゃめちゃなイレギュラーが起きても、まぁ回復薬使えば良いし、と気軽な気持ちで構えていられる。何が起きても笑顔で迎える事ができる。
ただ、モンスターと戯れるのが楽しいという気持ちにさせてくれる。そしてそれは思い出という体験性に昇華される。

ドラゴンズドグマは、そういうゲームだった。バトルの勝ち負けに一喜一憂するのではなく、単純に巨大なモンスターを相手に仲間と共に挑むというその光景にワクワクして欲しいというメッセージが伝わってくる。
そういうゲームだから、ファストトラベルが使いにくかったり、セーブが自由に出来なかったり、体力がロスしたり、クエストが分かりにくかったり、重量制限が厳しかったり、仲間が病になって周りのNPCが壊滅したり、という今のゲームとしては信じられないような仕様の数々も、体験性として肯定的に受け取ることができた。
このゲームは、ただその世界で起きることにワクワクして欲しいという純粋さに満ち溢れている。失敗を恐れたり、効率性を考えてプレイするのではなく、その世界で起きるありのままの結果を受け入れて欲しいという想いが伝わってくる。
ユーザービリティを徹底的に優先した結果、ゲームが予定調和なアルゴリズムと化しているものは少なくないが、ドラゴンズドグマ2は、失敗だったり、非効率だったり、イレギュラーだったり、理不尽だったり、そういうリアルな巡り合わせに溢れていた。
その等身大な体験性がゲームに臨場感をもたらし、仲間たちとの冒険、モンスターとの戦いを印象的なものにしていたのは間違いない。


1位:【ファイナルファンタジー7リバース】
(スクウェア・エニックス)
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FF7リバースは、全部やってくれました。
骨太なストーリー。魅力的なキャラクター。ド派手な演出。繊細な描写。多彩なモンスター。存在感のあるボス。手応えのあるバトル。奥が深い育成。豊富なロケーション。特徴的な世界観。大冒険ができるフィールド。没入感のあるグラフィック。
俺の好みは割と王道であり、この中のいくつかが高水準だったら嬉しいなぁと思いながらRPGに手を出しているけど、このゲームは、全部やってくれた。しかもとてつもないクオリティで。

どんなゲームにもコンセプトの都合やリソースの限界がある。FFに関して言えば、FFはストーリーと戦闘に魅力があるんだから、フィールドとか探索なんて二の次で良いんだよ!と俺はずっと思っていた。
強敵とのバトルや印象的な演出やカオスな世界観をたっぷり詰め込んだ目まぐるしい展開で30時間はみっちり楽しませますよという縦軸に密度が濃いのが日本のRPGスタイルであり、それを保ちながら世界を冒険させる横軸も両立させるなんて無理でしょという固定概念もあった。
実際、開発費が飛躍的に跳ね上がったと言われるHDゲームの世代になってからそれを高いレベルで実現しているのはゼノブレイドぐらい。あれもスペックが弱いハードだから出来ている節がある。
海外のRPGだって戦闘は面白くないものが多い。どんなゲームにも優先順位があって、ある程度割り切っている部分はある。
FFも取捨選択するのは当然の事であり、大冒険が出来なくてもそれは仕方のないことなんだとずっと思い込んでいた。

でも、FF7リバースは限界を超えた。戦闘が面白い。濃厚なストーリー体験がある。そして、大冒険ができる。
あのFF7のカオスな世界観が、凄まじい情報量とグラフィックとスケールを持って、完璧なるフルスケールで再現されている。NPCの会話や動き、探索心をくすぐるレベルデザインなど細かい作り込みもハンパじゃない。極め付けにフィールドもダンジョンも街もシームレスに繋がって世界の壮大さがこれでもかと表現されていた。
FFが取捨選択して切り捨てていたフィールドや探索部分が、今作はとことん強調されている。ここまでやってくれるのかというクオリティに圧倒されっぱなしだった。

しかも世界を練り歩くという部分を深く作り込みながら、肝心のストーリーと戦闘もめちゃくちゃ面白い。そこが凄い。
バトルシステムは洗練されていて、敵は多彩だし、ボスは迫力があり、アクションは直感的かつ派手で、カスタマイズも豊富。
せっかくフィールドが広大でも敵との戦いが単調だと探索する気になれないのが俺の習性だが、FF7リバースは戦闘がバツグンに楽しい。
バトルが面白いからカスタマイズしたくなる。カスタマイズに意欲が沸くから装備やアビリティを探す為に探索したくなる。探索の果てに強いボスとの出会いもある。そういう良い循環でこのゲームは回っている。戦闘の面白さが能動性を作ってくれた。
FFの一番の見所であるストーリーにおいても、とんでもない作り込み。物語に特化していたFF16を上回っているんじゃないかと思うほどのボリューム感、演出のクオリティ。派手なアクション、キャラクターの滑らかな演技、さりげない情報量に至るまでムービーの品質は限界突破している。

このゲームは、ただ広大なフィールドで海外のRPGっぽい楽しみ方が出来ますよという内容で終わってない。
強敵と戦っている感覚。物語が動いている感覚。キャラクターが魅せてくれる感覚。
ゲーム側が強力な見せ場を作り、乗りに乗って勢いよく突き進んでいくあの感覚がちゃんとある。軸にあるのは、しっかりと日本のRPGだ。
冒険や寄り道といったプレイヤーが主体的になれる横軸の要素と、ストーリー・キャラクター・戦闘の攻略性などゲーム側の主張が強く出る縦軸の要素、その両方ともが凄まじく濃い密度で仕上がり、破綻せずに融合している。本当に凄い。

FFは、ロマン。FFには、何かとんでも無いことを成し遂げてくれるんじゃないかというワクワク感があるが、最近はその野心も、自分たちの得意な範囲の中で小さく収まりつつあった。端的に言えば、ストーリーの密度と大冒険させる世界のスケールを両立させるなんて無理っすよという諦めみたいなものが何となく伝わってきた。
ストーリーか冒険、どちらかしか作り込む事が出来ないというならFFには前者を選んで欲しいが、ワガママを言えば、どっちもやって欲しい。
何だかんだ言っても、世界は広い方が良いに決まってる。冒険感はストーリーの臨場感に繋がるし、戦闘や育成にも良い影響を与えてくれる。何よりも、広大な世界はロマンがある。
かつての日本のRPGには壮大さがあった。最新技術でフルスケールに作り上げられたあの世界を見てみたい、という夢はこのジャンルのファンなら誰しも一度は抱いた事があるはず。
PS3の世代になってから日本のRPGは急激に存在感がなくなり、「あの多彩な世界とめまぐるしい展開を等身大のサイズで最新技術で作り上げるのは無理」という意見が定説となり、実際に今に至るまで中々その規模のRPGは見られなかったが、ついにスクエニはやってくれた。長らく見る事ができなかったフルスケールの日本のRPGをとんでもないクオリティで作り上げてくれた。本当にありがとうと言いたい。

そして、これで終わりじゃないのが、FF7リメイクプロジェクトの末恐ろしいところ。まだまだ物語は続く。
現状に満足せず、果てしない夢を追い続けてこそ、ファイナルファンタジー。完結編では、もっともっと凄いものを見せて欲しいなと思う。


・Yata of the year

【ファイナルファンタジー7リバース】(スクウェア・エニックス)
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ある日、テレビで流れていたCMを見て、目が釘付けになった。
FF12のCMだった。アンジェラアキの歌に乗って流れるドラマチックなシーンの数々に衝撃が走る。世の中にはこんなにもカッコ良いゲームがあるのかと。ドラクエとポケモンとマリオとサルゲッチュがゲームの世界の全てだった当時の俺にとって、そこで見た光景はあまりにも眩しく映った。このゲームは絶対に遊びたい。強くそう思った。それがFFとの出会いの始まり。
あれから大分年月も経って、色んなゲームに触れて、自分の中のゲームの世界も大きく広がったが、未だにあのCMを見た時の感動が心の中にずっとある。
誰にだって、自分の心に刺さるゲームの形というものがあると思う。俺にとってそれは今でも日本のRPGだ。

リメイクとしてどうとか、オリジナルと比較してどうとか、個人的にそんなことはどうでも良い。
カッコ付けたクラウド。セフィロスとの因縁のバトル。巨大なミドガルズオルム。禍々しいジェノバ。広大なワールドマップ。キラキラしたゴールドソーサー。珍妙なイベントが満載のパレード。多種多様すぎるゴンドラデート。表現の自由が限界突破した水着シーン。エアリスの例の場面。チョコボレース、ピアノ、バイクなどのミニゲーム。原作にはないカードゲーム。
ありとあらゆるところが、目に付くところ全てが巨大なクオリティで作られている。
面白いものを何でも詰め込んでみせるという、リアリズムよりもエンタメを重視した日本のRPGらしいRPGが、そのままの精神性で、最新技術で、フルスケールで目の前に広がっている。それが、ただただ感動だった。
FF7リバースは、俺が日本のRPGに抱いていた夢を現実にしてくれたゲームだった。