リアルは面倒くさい
PS5、PS4、スイッチのアドベンチャーゲーム。開発はナウプロダクション。
章が終わって、セーブのボタンを押した瞬間、アプリが落ちた。そう言えば俺、最後にいつセーブをしたっけ?しばらくセーブの文字を見た記憶がない。
まぁオートセーブされてるはずだから大丈夫だろう。そんな甘い見込みをしていたやたさんは、3時間前のデータしか存在しないロード画面を見て身体が凍ることになる。まさかと思ってそのデータを読み込んだら、終わらせた筈の章の最初からまた始まった。
嘘・・・だろ・・・?今どきオートセーブもないとか、そんな事があるのか?
はぁ。溜め息が止まらない。勘弁してくれ。またあのクソ面倒くさい作業をやり直せって言うのか。
東京サイコデミックは、探偵事務所の調査員が主人公となるミステリーアドベンチャー。
と、設定自体は至って普通すぎるゲームだが、目を引くのは、実写をふんだんに活用していて、リアルっぽい調査ができること。
例えば、実写で録画された防犯カメラの映像を証拠として取り扱う事ができる。
実際にその動画をプレイヤーが早送りしたり巻き戻したりズームアップしたりと弄り回す事も可能。そうして隠された情報を読み解いていく。動画の種類もかなり豊富。
他にも音声の解析だったり、音階を打ったり、現実感のある資料を読み漁ったり、ウェブ上でやり取りしたりと、色んな事をさせてくれて臨場感がある。実写が伴ってリアリティの説得力もあった。
また、センスを感じる印象的な見せ方が結構多い。テキストのフォント。綺麗にまとめられた資料。解答する前の演出。事務所の雰囲気。パソコンを操作しているとモニターの前をたまに事務所で飼っている猫が横切ったりもする。
そうした細かい演出や、実写を活かしたシステムが積み重なって、独特な空気感が作り上げられていたのは間違いない。そこは良かった。
でも、面倒くさい。このゲームは、本当に面倒くさいんです。動画の観察も面倒くさいし、音声の解析も面倒くさいし、掲示板でやり取りするのも面倒くさいし、資料を読み漁るのも面倒くさい。
普通ならテンポ良く済ませてくれるところをリアリティの為にプレイヤーに手間をかけさせるというゲームなので、全体的にこのゲームは面倒くさいで出来ている。
とは言え、面倒くさいというのは言い換えれば臨場感なので、このゲームのコンセプト上ある程度は仕方ないが、臨場感による楽しさよりも明らかに不快感の方が上回っているのが、資料から重要なワードを探してそこにカーソルを合わせるという作業。
小さなカーソルを動かして細かい文章の中から特定のワードを探す(しかも視線が寄って視野が狭くなる)というのが全く面白くないうえにユニークな事をしているわけでもなく、ただただダルかった。
この仕組みがあるせいで資料の中にフラグが残っているという可能性が捨てきれないから、調査に行き詰まった時は何回もカーソル合わせをする羽目になるのがまたしんどい。
他の要素はゲーム性として受け止められる範疇だけど、これだけは我慢できない。
あと、今作のウリである防犯カメラの映像調査も最初は滅多にない体験なので楽しんでいたが、段々と動画を眺めているのが手持ち無沙汰になってくる。
2倍速、30秒送りという機能はあるが、前者はまだ遅いし、後者は融通が効かない。操作性がゴチャゴチャしていて、もたつきやすいのもストレス。
また、後半は似たような動画を繰り返し見るというパターンが多くて単純につまらなかった。
そう言うわけで、このゲームは面倒くさいです。にも関わらず、強制的にゲームが落ちてデータが一章分丸々飛んだ。時間にしておよそ3時間分。
その時は、もうやってらんねーよ、と思った。ただでさえテキスト系ゲームは同じ事を繰り返すのが面白くないのに、輪をかけてこのゲームはかったるいので、完全にやる気が無くなった。
でも一晩寝て、起きて、仕事が終わって、またやたさんはこのゲームに取り組むのであった。
やっぱり、終わりは見ときたいなと思って。もう終盤っぽいところまで来てたし。ストーリーは正直あんまり期待が持てない内容だが、物語は最後まで見届けないと判断できない。
終わらせた結果、ストーリーはビックリするほどしょぼかった。コロナなどの色んな時事ネタを取り入れていたが、それだけ。主人公側も相手側も主張が薄っぺらすぎる。物語として見ると、全く面白くない。
まぁでも、ストーリーやキャラクターの掘り下げが薄いは意図しているのかなとも思う。何となく、物語の中身で勝負する、という話では無いように見えた。あまりにも時事ネタが露骨すぎるから。
話を掘り下げていくほどメッセージ性が高まって解釈の余地は狭まりやすい。
このゲームにおいてストーリーは建前であり、恐らく真にやりたいのは、プレイヤーへの問いかけ。昨今の激しい世の中の動きに対して、常識を疑ってみませんか?とプレイヤーに問いたいのだろうなと思う。
特にこのゲームは実写なども取り入れて現実感を重視しているので、そういう意味では脚色を薄くするのは筋が通ったストーリー作りだと言える。
だとすれば、もう少し事件のトリックを練って欲しいところ。
あまりにも突っ込みどころがありすぎるし、その裏に隠されていた秘密に関してもご都合主義が過ぎるので、結局これじゃあただの薄っぺらい陰謀論にしか見えないよねと思ってしまう。プレイヤーに問えるほどの真実味がない。
あと、どうしても突っ込みたいのは、大詰めとなる謎解き。あれの趣旨が理解できなかった。
脈絡が全く無いとは言わないけど、一番の見せ所であるクライマックスの場面なのに、何でこんな唐突な事をやらせるんだろうと思わずにいられなかった。ストーリーもシステムもコンセプトもまるで活かしているように見えない。
リアル感と言うのは魅力があるものだけど、やっぱり面倒くさい。それが良く分かるゲームだった。
とは言え、面倒くさいという一言で切って捨てるのが勿体無い体験性があったのは確か。低予算な作りでありながらも想像よりバラエティは豊かだった。個性が強調されていて、このゲームに求める期待にはある程度応えてくれた。
とりあえず、これから始める人は、小まめにセーブはした方が良いです。
PS5、PS4、スイッチのアドベンチャーゲーム。開発はナウプロダクション。
章が終わって、セーブのボタンを押した瞬間、アプリが落ちた。そう言えば俺、最後にいつセーブをしたっけ?しばらくセーブの文字を見た記憶がない。
まぁオートセーブされてるはずだから大丈夫だろう。そんな甘い見込みをしていたやたさんは、3時間前のデータしか存在しないロード画面を見て身体が凍ることになる。まさかと思ってそのデータを読み込んだら、終わらせた筈の章の最初からまた始まった。
嘘・・・だろ・・・?今どきオートセーブもないとか、そんな事があるのか?
はぁ。溜め息が止まらない。勘弁してくれ。またあのクソ面倒くさい作業をやり直せって言うのか。
東京サイコデミックは、探偵事務所の調査員が主人公となるミステリーアドベンチャー。
と、設定自体は至って普通すぎるゲームだが、目を引くのは、実写をふんだんに活用していて、リアルっぽい調査ができること。
例えば、実写で録画された防犯カメラの映像を証拠として取り扱う事ができる。
実際にその動画をプレイヤーが早送りしたり巻き戻したりズームアップしたりと弄り回す事も可能。そうして隠された情報を読み解いていく。動画の種類もかなり豊富。
他にも音声の解析だったり、音階を打ったり、現実感のある資料を読み漁ったり、ウェブ上でやり取りしたりと、色んな事をさせてくれて臨場感がある。実写が伴ってリアリティの説得力もあった。
また、センスを感じる印象的な見せ方が結構多い。テキストのフォント。綺麗にまとめられた資料。解答する前の演出。事務所の雰囲気。パソコンを操作しているとモニターの前をたまに事務所で飼っている猫が横切ったりもする。
そうした細かい演出や、実写を活かしたシステムが積み重なって、独特な空気感が作り上げられていたのは間違いない。そこは良かった。
でも、面倒くさい。このゲームは、本当に面倒くさいんです。動画の観察も面倒くさいし、音声の解析も面倒くさいし、掲示板でやり取りするのも面倒くさいし、資料を読み漁るのも面倒くさい。
普通ならテンポ良く済ませてくれるところをリアリティの為にプレイヤーに手間をかけさせるというゲームなので、全体的にこのゲームは面倒くさいで出来ている。
とは言え、面倒くさいというのは言い換えれば臨場感なので、このゲームのコンセプト上ある程度は仕方ないが、臨場感による楽しさよりも明らかに不快感の方が上回っているのが、資料から重要なワードを探してそこにカーソルを合わせるという作業。
小さなカーソルを動かして細かい文章の中から特定のワードを探す(しかも視線が寄って視野が狭くなる)というのが全く面白くないうえにユニークな事をしているわけでもなく、ただただダルかった。
この仕組みがあるせいで資料の中にフラグが残っているという可能性が捨てきれないから、調査に行き詰まった時は何回もカーソル合わせをする羽目になるのがまたしんどい。
他の要素はゲーム性として受け止められる範疇だけど、これだけは我慢できない。
あと、今作のウリである防犯カメラの映像調査も最初は滅多にない体験なので楽しんでいたが、段々と動画を眺めているのが手持ち無沙汰になってくる。
2倍速、30秒送りという機能はあるが、前者はまだ遅いし、後者は融通が効かない。操作性がゴチャゴチャしていて、もたつきやすいのもストレス。
また、後半は似たような動画を繰り返し見るというパターンが多くて単純につまらなかった。
そう言うわけで、このゲームは面倒くさいです。にも関わらず、強制的にゲームが落ちてデータが一章分丸々飛んだ。時間にしておよそ3時間分。
その時は、もうやってらんねーよ、と思った。ただでさえテキスト系ゲームは同じ事を繰り返すのが面白くないのに、輪をかけてこのゲームはかったるいので、完全にやる気が無くなった。
でも一晩寝て、起きて、仕事が終わって、またやたさんはこのゲームに取り組むのであった。
やっぱり、終わりは見ときたいなと思って。もう終盤っぽいところまで来てたし。ストーリーは正直あんまり期待が持てない内容だが、物語は最後まで見届けないと判断できない。
終わらせた結果、ストーリーはビックリするほどしょぼかった。コロナなどの色んな時事ネタを取り入れていたが、それだけ。主人公側も相手側も主張が薄っぺらすぎる。物語として見ると、全く面白くない。
まぁでも、ストーリーやキャラクターの掘り下げが薄いは意図しているのかなとも思う。何となく、物語の中身で勝負する、という話では無いように見えた。あまりにも時事ネタが露骨すぎるから。
話を掘り下げていくほどメッセージ性が高まって解釈の余地は狭まりやすい。
このゲームにおいてストーリーは建前であり、恐らく真にやりたいのは、プレイヤーへの問いかけ。昨今の激しい世の中の動きに対して、常識を疑ってみませんか?とプレイヤーに問いたいのだろうなと思う。
特にこのゲームは実写なども取り入れて現実感を重視しているので、そういう意味では脚色を薄くするのは筋が通ったストーリー作りだと言える。
だとすれば、もう少し事件のトリックを練って欲しいところ。
あまりにも突っ込みどころがありすぎるし、その裏に隠されていた秘密に関してもご都合主義が過ぎるので、結局これじゃあただの薄っぺらい陰謀論にしか見えないよねと思ってしまう。プレイヤーに問えるほどの真実味がない。
あと、どうしても突っ込みたいのは、大詰めとなる謎解き。あれの趣旨が理解できなかった。
脈絡が全く無いとは言わないけど、一番の見せ所であるクライマックスの場面なのに、何でこんな唐突な事をやらせるんだろうと思わずにいられなかった。ストーリーもシステムもコンセプトもまるで活かしているように見えない。
リアル感と言うのは魅力があるものだけど、やっぱり面倒くさい。それが良く分かるゲームだった。
とは言え、面倒くさいという一言で切って捨てるのが勿体無い体験性があったのは確か。低予算な作りでありながらも想像よりバラエティは豊かだった。個性が強調されていて、このゲームに求める期待にはある程度応えてくれた。
とりあえず、これから始める人は、小まめにセーブはした方が良いです。
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