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ステラーブレイドをやってる。主人公の超絶魅惑なボディが目を引くが、アクションゲームとしてかなり手応えのある作りで難しい。とあるボスがどうしても倒せず行き詰まってしまった。
完全に気持ちが高ぶりすぎて動きが一辺倒になっている状態。これは何をやってもダメなパターン。
とりあえず落ち着くためにコントローラーは置いて、現代病の如くTwitterもといXを眺めていると、スクエニという単語が目に入った。
ゲームサイトや公式からの発信は別にしても、基本的にネット上でスクエニという単語が出てきた時にポジティブな内容であることは少ない。いつもの俺ならスクエニという単語が目に入った時点で脳をシャットアウトするところだが、流石に次の言葉に目が釘付けになった。

「特別損失221億」。

特別損失って、何?まずそう思った。経営の知識なんて持ってないので、何を表した単語なのか分からない。でも、言葉の響き的に良い意味合いでないのは何となく分かる。
一般ユーザーのツイートだったのでそれ以上の情報は分からず、適当なゲームサイトを探して調べて見たら、詳しく書いてあった。ざっくり言うとHDゲームにおける開発中のタイトルを221億円分廃棄したらしい。
開発中止にしたゲームの数やタイトル名は明かされていないが、昨今のAAAタイトル一本の開発費の相場が200億と言われているので、これは相当な数字。
スクエニが言うHDゲームとはモバイルやMMOは含まず、コンシューマーやPC向けのゲームを指す。それだけで221億。

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最近のスクエニは明らかにHDゲームの部門が足を引っ張っていたから、やっぱりそうなるかという感じ。
振り返ってみれば、PS4やSwitchの世代が始まってから暫くは好調だった。
FF15、ドラクエ11、キングダムハーツ3、FF7リメイク、聖剣伝説3、ドラクエビルダーズ、ニーアオートマタ、オクトパストラベラー、トゥームレイダー、ライフイズストレンジとコンシューマーだけでもヒットを連発。
更にはFF14が絶好調&ソシャゲも幾つかは大当たりして経営は右肩上がり。
その好調ぶりを反映してか、ここ数年のスクエニはHDゲームの企画を通しまくっていた。リマスターを除いても毎年10本以上の新作を投入。2022年に至っては20本近く。
ところが、その中でヒットしたタイトルは?となると殆ど思い浮かばない。
パワーウォッシュシミュレーターだけは間違いなく大ヒットと言えるけど、それ以外はニーアレプリカントとトライアングルストラテジーとドラクエモンスターズ3が中規模ゲームの割には100万以上売れて良かったねというくらい。
大作に関してもフォースポークンやガーディアンズオブギャラクシーは明確に本営が売上としては失敗扱いしているし、オクトパストラベラー2は最初からマルチプラットフォーム化したのに売り上げのペースが大幅に落ちてるし、FF16や7リバースはPC版も控えて長く売れるポテンシャルがあるからまだ判断できないけど、シリーズの規模の割には初動の印象はあんまり良くない。

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スクエニの最近における傾向として、購入者の評価が高い割には売れないというのが目立つ。そこから導き出せるのは、スクエニ自体のゲームメーカーとしての看板にユーザーからの信頼性がないということ。
SNS全盛の今の時代。評判はすぐに世の中に出回って一般層にまであっさり浸透する。評価が高いものは大ヒットする一方で、ユーザーから一度嫌われてしまうと中々その風潮を覆すのは難しい。
その中で、スクエニは明らかに逆風にさらされている。近年、日本のメーカーやゲームは多くの場合ユーザーから称賛されているにも関わらず、スクエニだけは相変わらずボロクソに叩かれている。明らかにユーザーから「馬鹿にしても良い対象」という見方をされてしまっている。

理由はいくつも思い浮かぶ。ソシャゲ方面は全く関心がないので分からないが、コンシューマー方面ではまず、間違いなくFFの存在がユーザーの心を掻きむしっている。
スクエニの看板タイトルである「ファイナルファンタジー」は、注目度の高い大作でありながら、作り手の主張が極めて強い我が道を突き進むタイプのゲームであるため良い部分と悪い部分がハッキリしていて、ユーザーは突っ込みが入れやすい。結果、格好の批評の餌食となっている。当然、看板タイトルの評判はゲームメーカーの印象に直結する。
とは言え、出せば間違いなく一定の数は売れるし、キャラクター商売もできるので、リターンはデカい。スクエニにとっては諸刃の剣と言ったところ。
あともう一つは、単純にゲームを作りすぎて管理ができてない。たまに想像を絶するレベルで評価の低いゲームがあり、それが明らかにスクエニの看板に傷を付けている。

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FFに関しては昔からアンチが多いシリーズなので今に始まった話じゃないけど、後者に関しては簡単に確率を上げる方法が思い付く。タイトルを極限まで絞って一本の品質に拘り、少数精鋭のラインナップにすれば良い。
最近のスクエニは「大作も中小規模のゲームも作りますよ。新規タイトルも出しますよ。休眠していたシリーズも出しますよ」という他の大手メーカーではあまり見られない積極的なゲームリリースの方針を取っていた。
その結果、良くも悪くも勢いだけで作られたゲームだったり、大作を目指して成りきれない中途半端なゲームが多数あったりした。評価の高いゲームも多い一方で、とんでもなく雑なゲームも定期的に出していた。
良い風に言えばチャレンジスピリッツが旺盛でクリエイターに甘い会社、悪く言えば粗製濫造でユーザーを裏切っている会社、どちらとも言える。
経営陣からしてみれば、それだけ企画を通してあげたにも関わらず、売り上げ的にヒットしたのは、ここ3年くらいに限ればパワーウォッシュくらいとなれば、流石にクリエイターに甘い顔ばかりしてられなくなるのは当然の話。

今後の方針としては、新作や外注を絞って一部の大作ゲームに注力すると明言している。
他の大手メーカーと同じく、少数精鋭になるんだろうね。そうなると、FF、ドラクエ、キングダムハーツ、ニーアくらいかな。当面の間、コンシューマーで企画を通してくれそうなのは。
ソシャゲと違ってコンシューマーゲームは数を出しても特大ホームランの可能性は低い。しかもスクエニが提供するHDゲームとなればそれなりの注目度があるので、下手なものを出せば会社の評価に関わる。
見返りが乏しく、リスクしかないHDゲームを縮小するのは妥当な判断と言える。

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ここまでが建前です。少数精鋭の方が理にかなっているのは分かる。でも俺は、年に1本か2本、売れ線シリーズの超大作だけを出しますよというスクエニよりも、大作は隔年だけど大量の新作を作ります、その中にはレフトアライヴやバランワンダーワールドやクワイエットマンなどのヤバいゲームもたまに混じってます、というスクエニの方がずっと魅力を感じる。それが本音。
コンシューマーゲームに飢えている俺は、とにかく色んなゲームが遊びたい。だからゲームメーカーは、とにかく沢山の新作を作って欲しい。
別に全部が大作でなくても構わない。キッチリ作られた完成度の高いゲームじゃなくたって良い。手抜きでない限り、意志を込めて作られた全てのゲームに可能性がある。
それが自分の中のゲーム哲学の根本にあるので、大手メーカーでありながら、ユーザーも売上も安心できる絶対に保証されたゲームしか作らないと厳選するのではなく、粗削りでも低予算でも良いからゲームを世に出して、新しい可能性を追求しようとする近年のスクエニの姿勢に拍手を送らずにはいられなかった。下手な鉄砲と言ったらそれまでだが、リスクを考えたら中々できる事じゃない。
でも、この考え方は綺麗な側面にしか目を向けてないただのロマンであり、異常なゲームオタクの視点でしかないのは分かってる。それをスクエニに押し付けるのは酷。むしろコンシューマーでゲームを作るのが大変な時代に、今までよく頑張ってくれたなという気持ち。

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FF14の立ち上げが大失敗したあと、新たに作り直した「新生FF14」が大成功を収め、スクエニは大きく変わった。その勢いのまま今日まで突っ走っていたが、また岐路に立たされてている。
齋藤Pが表現した「新生スクエニ」の決断が、良い未来に繋がることを祈るしかない。

ちなみにステラーブレイドは、雑にスキルをぶっ放しながら戦えば良いことに気付いてからあっさりボスを倒せるようになりました。