そういうゲーム
PS5、XboxX.Sのアクションゲーム。開発はカプコン。
ファストトラベルが使いにくい!セーブが自由に出来ない!体力が減っていくのが面倒くさい!重量制限がいちいち不便!クエストがやたらと分かりにくい!でも結果的にキャラクターを自分の手で動かしている臨場感があって楽しい!
という感想は第一印象の記事で触れたので置いとくとして、やっぱり初代から続くドラゴンズドグマの見所と言えば、モンスターの野生味。
見てくださいよほら、あのオーガの毛!サイクロプスのデカさ!空から襲来するグリフィンのスピード!ドラゴンのクソ長い尻尾!ゴブリンの憎たらしさ!スライムのスライム感!オーガの毛!毛!
造形、アクション、佇まい。どこを取っても生命力に溢れ過ぎている。単なるプログラムされた敵ではなく、生物としての力強さが伝わってくる。
この部分は初代の頃から力が入っていたゲームのキモだが、ハードの世代が2つ進んだだけあって、更なる次元に表現力が到達していた。流石はカプコン。
そんな野生味に溢れたモンスター達がオープンワールドの世界に完璧なまでに溶け込んでいる。
森の奥から唸り声と共に現れるサイクロプス。空から猛スピードでこちらに向かって突撃してくるグリフィン。暗がりから急に襲ってくるキマイラ。脈絡もなく我が物顔でフィールドを闊歩しているドラゴン。
いやもう堪らんね。ファンタジーを象徴する場面がとてつもないクオリティ、スケール、リアルな感覚で体験できるのだから、最高としか言いようがない。あまりにも絵になるシーンがこのゲームには詰まっていた。
そうした臨場感を楽しむゲームであるため、戦闘は割と大雑把。何しろアイテムが使いたい放題。アクションゲームなのに時間を止めた状態でインベントリから手持ちの許す限り自由に使える。回復に時間がかかるという事もなく一瞬。
テクニックという意味でも、回避やパリィなどを的確に求められるタイプのアクションではない(そもそも、ガードや回避のアクションは特定のクラスでしか使用できない)
ある程度のパラメーターを備えて、アイテムさえ潤沢に用意しておけば基本的にゴリ押しできるようになっている。
ソウルシリーズやモンスターハンターのようにテクニカルな立ち回りで敵をいなしていくというより、身体を張って這いつくばりながら泥臭く戦うという感じ。
言ってみれば、雰囲気ゲーではある。駆け引きやテクニックなんか必要ない。そういう遊び方もできるが、とりあえずアイテムがぶ飲みで全て解決できる。あまりにもリスクとリターンのバランスが緩いので攻略性という意味では物足りない部分があるのは確か。
でも、ドグマというゲームにおいてはこの調整がハマっていたね。何故なら、おおらかな気持ちでモンスターと戦えるから。
巨大な身体でゴリ押しされても、ドラゴンの炎に燃やされても、ゴーレムのレーザーに吹っ飛ばされても、ゴブリンに囲まれてタコ殴りされても、まぁどうせ回復すれば良いしと笑って済ませられる。結構な頻度でプレイヤーをイライラさせるアクションをしてくるが、あまり気にならない。
結果的にそれが、モンスターとの戦いをリアルで泥臭いものにしている。
アイテム使用時にモーションを入れて隙を作ったり、回復までにある程度時間がかかったり、所持数に制限を入れたりすれば、それだけでアクションゲームとして締まったものになっただろうが、そういう秩序のあるフェアな勝負よりも、単純に巨大なモンスターを相手に仲間と共に挑むというそのシチュエーションにワクワクして欲しいというメッセージがこのバランス調整からは伝わってくる。
そもそも、このゲームのバトルは真正面きった正々堂々なアクションのぶつかり合いではない。
周りの環境、他陣営の乱入、仲間の突発的な行動など、様々なイレギュラーが発生し、それによって時にはカオス極まりないものになる。
タイマンならあっさり倒せるドレイクやゴーレムもそこにゴブリンが数体混じるだけで難易度が一気に跳ね上がるし、隙あらば空からグリフィンが乱入してきて戦況がぐちゃぐちゃになったり、仲間が崖から落ちて陣形が崩れたり、逆にモンスターが水に突っ込んであっさり死んでくれたり(水に一定の深さまで浸かるとヒュージブルという魔物に引き込まれて死ぬ)、などなど、同じ戦いは存在しないと言って良いほど、とにかく色んな事が起きた。
でも、ドラゴンズドグマ特有の緩さのおかげで、理不尽なイレギュラーが起きても笑顔で迎える事ができる。ただ、モンスターと戯れるのが楽しいという気持ちにさせてくれる。そしてそれは思い出という体験性に昇華される。
ドラゴンズドグマは、そういうゲームだった。バトルの勝ち負けに一喜一憂したり、効率的にゲームをプレイするのではなく、ただその世界で起きることにワクワクして欲しいという純粋さに満ち溢れていた。
そういうゲームだから、ファストトラベルが使いにくかったり、セーブが自由に出来なかったり、体力がロスしたり、クエストが分かりにくかったり、重量制限が厳しかったり、仲間が病になって周りのNPCが壊滅したり、という面倒な仕様も、破天荒な仕組みも、体験性として肯定的に受け取ることができた。
間違いのない企画を練り上げて、ユーザービリティに徹底的に拘って、絶対に失敗しない安全策のゲームばかり作っていたカプコンが、賛否両論待ったなしの尖りに尖ったゲームを送り出してきた事に驚きを隠せない。
一方で最近は「エグゾプライマル」みたいなよく分からない対戦ゲームも出してるし、祇やプラグマタ(これは随分前から発表されてるけど)と言った新規タイトルも仕込んでいて、経営が安定しているからチャレンジ的な事もやっていこうという機運が高まってるんかね。
俺は好き嫌いで言えば、シミュレーターちっくな雰囲気ゲームよりも、リスクとリターンの駆け引きが濃い攻略性の強いゲームの方が好きだけど、ここまで筋が通ったものを出してくれたら、それは受け入れるしかない。
各種の面倒な仕様も、コンセプトに沿うものであれば、それは立派なゲーム性だ。
ゲームをリアルな体験として感じ取って欲しいというコンセプトに向かって、今の時代では中々出来ない取り組みも恐れずに取り入れて、他のオープンワールドゲームにはない風情に溢れている。
リアリティとユーザービリティの兼ね合いというのは多くのゲームが突き当たる宿命のようなもので、どちらに傾けた方が良いのかはもちろんゲームの方向性によるが、少なくともドラゴンズドグマにおいてはリアルさを重視することで、ユーザービリティよりも価値のあるものを作り上げていたと断言できるね。
PS5、XboxX.Sのアクションゲーム。開発はカプコン。
ファストトラベルが使いにくい!セーブが自由に出来ない!体力が減っていくのが面倒くさい!重量制限がいちいち不便!クエストがやたらと分かりにくい!でも結果的にキャラクターを自分の手で動かしている臨場感があって楽しい!
という感想は第一印象の記事で触れたので置いとくとして、やっぱり初代から続くドラゴンズドグマの見所と言えば、モンスターの野生味。
見てくださいよほら、あのオーガの毛!サイクロプスのデカさ!空から襲来するグリフィンのスピード!ドラゴンのクソ長い尻尾!ゴブリンの憎たらしさ!スライムのスライム感!オーガの毛!毛!
造形、アクション、佇まい。どこを取っても生命力に溢れ過ぎている。単なるプログラムされた敵ではなく、生物としての力強さが伝わってくる。
この部分は初代の頃から力が入っていたゲームのキモだが、ハードの世代が2つ進んだだけあって、更なる次元に表現力が到達していた。流石はカプコン。
そんな野生味に溢れたモンスター達がオープンワールドの世界に完璧なまでに溶け込んでいる。
森の奥から唸り声と共に現れるサイクロプス。空から猛スピードでこちらに向かって突撃してくるグリフィン。暗がりから急に襲ってくるキマイラ。脈絡もなく我が物顔でフィールドを闊歩しているドラゴン。
いやもう堪らんね。ファンタジーを象徴する場面がとてつもないクオリティ、スケール、リアルな感覚で体験できるのだから、最高としか言いようがない。あまりにも絵になるシーンがこのゲームには詰まっていた。
そうした臨場感を楽しむゲームであるため、戦闘は割と大雑把。何しろアイテムが使いたい放題。アクションゲームなのに時間を止めた状態でインベントリから手持ちの許す限り自由に使える。回復に時間がかかるという事もなく一瞬。
テクニックという意味でも、回避やパリィなどを的確に求められるタイプのアクションではない(そもそも、ガードや回避のアクションは特定のクラスでしか使用できない)
ある程度のパラメーターを備えて、アイテムさえ潤沢に用意しておけば基本的にゴリ押しできるようになっている。
ソウルシリーズやモンスターハンターのようにテクニカルな立ち回りで敵をいなしていくというより、身体を張って這いつくばりながら泥臭く戦うという感じ。
言ってみれば、雰囲気ゲーではある。駆け引きやテクニックなんか必要ない。そういう遊び方もできるが、とりあえずアイテムがぶ飲みで全て解決できる。あまりにもリスクとリターンのバランスが緩いので攻略性という意味では物足りない部分があるのは確か。
でも、ドグマというゲームにおいてはこの調整がハマっていたね。何故なら、おおらかな気持ちでモンスターと戦えるから。
巨大な身体でゴリ押しされても、ドラゴンの炎に燃やされても、ゴーレムのレーザーに吹っ飛ばされても、ゴブリンに囲まれてタコ殴りされても、まぁどうせ回復すれば良いしと笑って済ませられる。結構な頻度でプレイヤーをイライラさせるアクションをしてくるが、あまり気にならない。
結果的にそれが、モンスターとの戦いをリアルで泥臭いものにしている。
アイテム使用時にモーションを入れて隙を作ったり、回復までにある程度時間がかかったり、所持数に制限を入れたりすれば、それだけでアクションゲームとして締まったものになっただろうが、そういう秩序のあるフェアな勝負よりも、単純に巨大なモンスターを相手に仲間と共に挑むというそのシチュエーションにワクワクして欲しいというメッセージがこのバランス調整からは伝わってくる。
そもそも、このゲームのバトルは真正面きった正々堂々なアクションのぶつかり合いではない。
周りの環境、他陣営の乱入、仲間の突発的な行動など、様々なイレギュラーが発生し、それによって時にはカオス極まりないものになる。
タイマンならあっさり倒せるドレイクやゴーレムもそこにゴブリンが数体混じるだけで難易度が一気に跳ね上がるし、隙あらば空からグリフィンが乱入してきて戦況がぐちゃぐちゃになったり、仲間が崖から落ちて陣形が崩れたり、逆にモンスターが水に突っ込んであっさり死んでくれたり(水に一定の深さまで浸かるとヒュージブルという魔物に引き込まれて死ぬ)、などなど、同じ戦いは存在しないと言って良いほど、とにかく色んな事が起きた。
でも、ドラゴンズドグマ特有の緩さのおかげで、理不尽なイレギュラーが起きても笑顔で迎える事ができる。ただ、モンスターと戯れるのが楽しいという気持ちにさせてくれる。そしてそれは思い出という体験性に昇華される。
ドラゴンズドグマは、そういうゲームだった。バトルの勝ち負けに一喜一憂したり、効率的にゲームをプレイするのではなく、ただその世界で起きることにワクワクして欲しいという純粋さに満ち溢れていた。
そういうゲームだから、ファストトラベルが使いにくかったり、セーブが自由に出来なかったり、体力がロスしたり、クエストが分かりにくかったり、重量制限が厳しかったり、仲間が病になって周りのNPCが壊滅したり、という面倒な仕様も、破天荒な仕組みも、体験性として肯定的に受け取ることができた。
間違いのない企画を練り上げて、ユーザービリティに徹底的に拘って、絶対に失敗しない安全策のゲームばかり作っていたカプコンが、賛否両論待ったなしの尖りに尖ったゲームを送り出してきた事に驚きを隠せない。
一方で最近は「エグゾプライマル」みたいなよく分からない対戦ゲームも出してるし、祇やプラグマタ(これは随分前から発表されてるけど)と言った新規タイトルも仕込んでいて、経営が安定しているからチャレンジ的な事もやっていこうという機運が高まってるんかね。
俺は好き嫌いで言えば、シミュレーターちっくな雰囲気ゲームよりも、リスクとリターンの駆け引きが濃い攻略性の強いゲームの方が好きだけど、ここまで筋が通ったものを出してくれたら、それは受け入れるしかない。
各種の面倒な仕様も、コンセプトに沿うものであれば、それは立派なゲーム性だ。
ゲームをリアルな体験として感じ取って欲しいというコンセプトに向かって、今の時代では中々出来ない取り組みも恐れずに取り入れて、他のオープンワールドゲームにはない風情に溢れている。
リアリティとユーザービリティの兼ね合いというのは多くのゲームが突き当たる宿命のようなもので、どちらに傾けた方が良いのかはもちろんゲームの方向性によるが、少なくともドラゴンズドグマにおいてはリアルさを重視することで、ユーザービリティよりも価値のあるものを作り上げていたと断言できるね。
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