遊びやすく、惰性じみたピクミン



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スイッチのアクションゲーム。開発は任天堂。

いつも通りのピクミンだが、いつもと違うのは相棒のスペック。
ピクミン4は、相棒となる「オッチン」が何でも解決してくれる。
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高火力・高耐久、最大100ピクミンに相当する怪力、ダウジング内蔵、水陸両用、ジャンプ持ち、可愛い。あらゆる能力を兼ね備え、敵の撃退も荷物運びも宝探しも探索も全てにおいてこのオッチン様が絶大なる存在感を発揮している。
しかもピクミンを投げたり呼び寄せたりという主人公の数少ない見せ場である指示出しまで出来てしまうのだから、オッチン様こそ万物の霊長と言っても過言ではない。とりあえずオッチン様にお伺いを立てれば大抵の物事は解決できてしまう。

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犬のスペックも含めてとにかく遊びやすさが強調されているのが今作であり、他にも1や3にあったゲームオーバーのリミットが無くなったり、装備の要素がかなり強化されていたり、細かくリスタートできたりもする。
今までは単体ではか弱いピクミンと無力な調査員が力を合わせて管理職と組織の力で事態を打開するというストラテジー色の強いゲームだったが、今回は万能なオッチンが何とかしてくれるし、迫り来るリミットもないから効率性を意識する必要もなく、ピクミンがせっせと宝物を運んでいる姿を見ながら可愛いなぁと感慨に耽る余裕を持ち合わせたのんびり楽しめるゲームと化していた。

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そっちの方向性に舵を切った分、フィールドのスケールは増して探索の要素は濃い。
レベルデザインが凝っていて一手間加えないと運び出せない宝物や調査員が多く配置されているが、時間のゆとりがあるので頑張って全部回収したくなる。
そうやって宝物や調査員を集めることで色んな要素が解除されていき、ストーリー自体も進行する。探索によってどんどんゲームが広がっていく感覚は心地良い。
エンディングのあとにも沢山やる事があってむしろここからが本番という構成だが、一旦区切りを付けながらも、まだまだ遊んでくれたらもっと深い所を見せてあげるよという作りは探索重視ならではという感じ。
エンディング後は、効率性を重視した高難度のコンテンツや時間制限があるモードが登場したりと、探索だけでは物足りないという人に向けた従来のストラテジー色が強い要素も解禁される。

ピクミン4は、プレイヤーに無理強いをさせない。目標が大雑把なので自由なルートでゲームを進行させられるし、リミットもないから急かされずのんびりと遊べる。難易度の高いコンテンツも強制ではなくコンプリートを目指したり物足りなさを感じる人だけ手を付ければ良いという風になっている。
メイン部分でもダンドリバトルや夜の探索などストラテジー色のあるパートは存在するが、難易度はかなり抑え目。
とにかくプレイヤーが気軽に自分のペースで遊べるとても優しくて寛容的でゆとりのあるゲームとなっていた。

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でも俺は、ほらほら!もう時間ないよ!もっとそこのピクミンちゃんと動かさないと間に合わないよ!と口うるさくプレイヤーに無理強いさせてくる、ゆとりのないピクミンの方が好きなのであった。
だってピクミンのシステムは、のんびりと遊んでるよりも、如何に効率性を追求するか考えさせられる方が明らかに合ってる。
一応本作にも15日間という時間で全ての宝物を集めろというリミットを設けた従来のモードがサブ要素としてあって、プレイしたけどやっぱり楽しかった。
作中に「ダンドリ」という言葉が多く登場しながらメインでそれが求められる場面は殆どなかったが、このモードでようやくピクミンのシステムを活かした遊びができた。難易度自体は緩かったが、リミットがあるというだけで気持ちの入り方が全く違う。
シリーズの二大要素である「ストラテジーのシステム」「ピクミンというキャラクター」という部分で、後者を重視してより間口を広くするという方向性を選んだピクミン4。
ピクミン4は確かに遊びやすいし、ピクミンが動いているのを見てるだけでも楽しいし、コレクション欲もくすぐられる。間違いなく面白かったが、振り返ってみればダラダラとゲームを進めていただけだった。そうやって何となく遊べてしまうのがピクミン4のコンセプトだし魅力ではあるけど、個人的には好きな方向性ではなかった。
締まりがないせいで、惰性の気持ちが付き纏っていたのは否めない。