王道



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スイッチのアドベンチャーゲーム。開発はトゥーキョーゲームス。

独立したダンガンロンパの小高氏が元鞘のスパイクチュンソフトとタッグを組んで制作したアドベンチャーゲーム。
今作の最大の特徴は、スケールがデカいこと。何しろダンガンロンパは隔離場所に閉じ込められた人間が殺し合いをするという、狭くて身内感の強い閉じたシチュエーションが大きな特色だったが、対してレインコードはある大企業が管理する一つの地区が舞台。
割と作り込まれた3D空間のマップがあったり、街中で起きる他人事とも言える事件にも積極的に関わったりして、社会の歪みをヒシヒシと感じながらその奥に潜む根源に立ち向かうというスケール感のあるストーリー展開となっている。

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つまるところ、今作は良くも悪くも王道な方向に寄っていた。
ダンガンロンパは舞台や人間関係がとても狭く、閉塞的な息苦しい環境だった。だからこそ、個人の捻じ曲がった感情をじっくりと煮詰めることができて、その行き場を無くし濃縮された独りよがりな感情が暴走する想像を超えた展開に度肝を抜かれた。
それと比べるとレインコードは視野が広い分、理性的で分かりやすいストーリーとなっている。
ダンガンロンパの方が尖った面白さがあるのは間違いないが、レインコードはレインコードで良さがあり、世界の実情を肌で感じ取りながら蔓延っている問題に立ち向かうという構成は目的が明確で、善良な使命感に満ちていた。そこに小高氏らしいサプライズに富んだ仕掛けが随所に織り込まれて一筋縄ではない展開も見せてくれる。
ダンガンロンパよりも捻くれてないというだけで、ちゃんといつものエグ味のあるエッセンスは取り込まれているので最後まで飽きる事なく突っ走れたね。

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推理ゲームなので謎解きパートもある。今回は「謎迷宮」と呼ばれる摩訶不思議なダンジョンで次々とアトラクションをこなしていく。ちなみに、ここに入ると付きまとってくる相棒の死に神ちゃんが何故か女の子に変身する。
謎解きと言っても選択肢をほぼ三択に絞ってくれるので基本的に詰まることはないし、ミスしても殆どリスクがないのでゴリ押しも可能。ちなみに、女の子に変身した死に神ちゃんは口から剣を出したり、鎌で主人公の首を切ったり、ゲロを吐いて鍵を取り出したりしてくる。
とにかくテンポが全てという感じで、アトラクションの演出もトロッコで滑走したり巨人になって進撃したり崩れゆく足場を乗り移ったりとジェットコースター的な見せ方をしていて、論理的に謎を解く面白さよりも、謎が次々と解かれていく勢いが強調されている。実際、畳み掛けるように謎が明かされていくのはカタルシスがあった。特にラストバトルは盛り上がって良かったね。ちなみに、死に神ちゃんが決着時にやたらと口上の長いおしおきのスペシャルアタックをしてくれる。
しかし、勢いがあるパートだけにロードが長いのがとにかく辛い。ことあるごとにローディングが入って20〜30秒くらい待たされる。昨今のゲームは殆どロードが無いので尚更気になって仕方ない。
謎迷宮だけでなく、マップの移動中もロードが多い。区画を超える度に数十秒暗転する。マップが用意されているということでサブクエストなどが散りばめられているのだが、ただでさえお使い感が強いのにロードのせいで更に辛い事になっている。しかもサブクエストの中で嫌がらせのようにあっちこっち区画を行き来させてくるのだからタチが悪い。

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というわけで、ダンガンロンパの成分を取りいれながらより幅広い層に向けた王道でスケールの大きいゲームを作るという狙いを感じる内容だった。
今まではあんまりキャラクターを動かせなかったが今作はそのスケール感を演出するために大き目のマップが用意されたりして、ロードが長いので移動は面倒だしテンポが悪かったりもするけど、大きな社会が臨場感として伝わってくる体験型のゲームならではの一体感はあったし、それを活かしたストーリーにちゃんとなっていた。都市という舞台をまるごと活用した大掛かりな仕掛けは見事。
一方で、理解して貰えない事を怖がっているような説明がクドい見せ方が目立っていて結構冷める。分かりやすいのは悪い事じゃないけど、行き過ぎると作りもの感が出てしまう。もう少しユーザーを信じてくれても良いんじゃないか?
特に最後のエピローグ部分は野暮としか思えない。あまりにも都合が良すぎるのでボカして想像の余地を残して欲しかった。
ダンガンロンパに比べると物足りないが王道故の面白さはあり、基本的に満足。ちなみに、相棒である死に神ちゃんの倫理観が0で、コンプライアンスのギリギリを突いてくる発言が毎回面白かった。