カッコ良さ



・ファイナルファンタジー16(PS5)

IMG_2172
FF16の情報公開のペースが早いですね。2ヶ月足らずで2本もPVを公開。俺は2つ合わせてもう50回以上見てます。
ちなみにゲーム史上最高のPVとして俺の中で名高いFF15の2013年E3の動画は、もう300回以上は見てる。
いやだって、カッコ良いんだもん。大見得を切った演出を徹底的に押しまくる、これぞ日本のRPGという魅力がこれでもかと詰まっていた。

俺はストーリーゲームが大好きだけど、ゲームでストーリーを見る一番のメリットはやはりプレイヤーが自分自身でキャラクターを操作して物語を追えること。その特性を利用した、ゲームならではのストーリー手法は数多く存在する。
例えば、主人公を寡黙で無個性なアバターに据え置くことでプレイヤーが主役になりきれる仕組みだったり、オープンワールドによるリアルな空間を作って没入感を高めたり、プレイヤーの選択によって物語が柔軟に変化するインタラクティブ性を強調した物語だったり、システムや仕様をゲームの世界にリアルに統合してゲームプレイとストーリーの一体感を高めたり。
物語のクオリティを求めるなら映画やドラマといった映像作品の方がよっぽど話に集中して作られているので品質が高いけど、ゲームでしか表現ができない、ゲームだからこそ感動できるストーリーというのは沢山ある。

でも、FFのストーリーというのは、上のいずれにも当てはまらないのよね。
オープンワールドを取り入れたFF15のように例外はあるけど、基本的にFFのナンバリングというのは、笑ったり怒ったり泣いたりする感情豊かで自我を持っている主人公が、プレイヤーの選択なんて有無を言わさず、一方的に行動して勝手にストーリーを進める。
戦闘や育成システムも完全にゲームから浮いてるし、インタラクティブ性の欠片もないクソ長いムービーをふんだんに取り入れてるし、ストーリー以外の事に気を取られるなよと言わんばかりの一本道構造にしていることもよくある。
ゲームはプレイヤーが操作できる事に価値があるメディアだが、FFのストーリースタイルとは、映画やドラマのような一方的に物語を押し付ける鑑賞型であり、物語の世界に深く入り込んで没入させるというゲームの特性を活かしているとは言いにくい。
これはFFに限った話ではなく、キングダムハーツやゼノブレイドやスターオーシャンやテイルズや英雄伝説など、多くの日本のRPGが取り入れているある種の一大ジャンルである。

でも、なんでだろ。俺はそんな日本のRPGのストーリーにものすごく感情移入できるし、感動してしまうし、なんならこの形が一番好きな物語のスタイルだと胸を張って言えてしまう。
確かに主人公になり切るというロールプレイングの感覚は薄いし、プレイヤーの裁量も狭いが、でも、日本のRPGはドラマチックである。プレイヤーの心に熱いものを注入してくれる。
立ちはだかる強敵。響き渡るキャラの絶叫。恥ずかしげもなく堂々と語る青臭い理想論。やたらと壮大な音楽。カッコつけた演技で決めてくれるクソ長いムービー。
映画やアニメだと鼻で笑ってしまうようなシチュエーションでも、ゲームだとゾクゾクしてしまう。カッコいいとすら思う。思わずボタンを押す指に力がこもる。
ゲームという体験性が俺にアドレナリンを注入する。キャラの感情、音楽、演出、ストーリー、バトルなどが一体となったゲーム体験によって生み出される、とてつもない熱量。あれが、俺は堪らなく好き。あれを見たいから俺は日本のRPGをずっと買い続けてる。
確かに日本のRPGのストーリーは鑑賞型の成分が強いが、それでもあの熱量は間違いなくゲームだからこそ生まれるものだ。

そして、そのストーリーのスタイルを最も予算をかけてハイクオリティにやってくれるゲームが、FFである。
吉田Pが既に言っている通り、今作のFF16はオープンワールドではなく、ガチガチに演出とキャラクターに特化したストーリーゲーム。FF13ほど極端にはならないだろうが、探索や自由度よりもストーリー主導になることは間違いない。
それで良いんだよ、FFは。FFはストーリーがプレイヤーを引っ張るゲームで良い。AAAタイトルのRPGで需要があるのはオープンワールドだろうけど、自由進行はFFと相性が悪い。それを取り入れたFF15は祖国の危機が迫ってるのに主人公がのんきに釣りをしたり満面の笑顔で写真を撮ったりと感情をどこに持って行けば良いのか分からないトンチンカンな事が起こってた。
プレイヤー主観を重視していたFF15は更にプレイヤーが選んだ写真が最後のエンディングの場面で表示されるという仕掛けまでも施していたが、案の定一部のプレイヤーがカップヌードルなどの場違いな写真を選んで感動のシーンをぶち壊していて、まぁそれは極端な例だけど、自由度を優先したら演出のクオリティは絶対に落ちる。
FF15はプレイヤーの自由体験がストーリーの感動に繋がっているからあれはあれで良いけど、本来FFのストーリーはプレイヤーに有無を言わさず一方的に押し付けてくるものであり、遠慮することなく、恥ずかしげなく堂々と、作り手が思う「カッコいいもの」を見せ付けて欲しい。
カッコ良さは、インタラクティブ性や自由度だけを追求していたら中々作れない。
キャラの演技、見栄を切った台詞、凝ったカメラワーク、音楽のタイミング、手に汗握るゲームバランス、ストーリーのドラマ性。ゲーム側が、カッコいいものを見せたいという意思を持って調整しなければ、カッコ良さは生まれない。そのカッコ良さこそがFFのストーリーの源であり、プレイヤーを熱い気持ちにさせてくれる。
FF15のように遠慮することなく、とびきりカッコいいFFを見せて欲しい。期待してます。
2023年6月22日発売予定。


長くなりすぎたので次に続く。