予定調和のループ



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PS5、PS4、XboxX.S、XboxOneのRPG。開発はアトラス。

育成にハマってしまういつものアトラスゲーだった。
ソウルハッカーズ2の最大の特徴は、自由度の高い育成に対してある程度の正解を教えてくれていること。
どういう事かと言うと、4人のキャラクターにはそれぞれ独自の強みがあり、例えば炎の魔法が得意だったり銃の攻撃が強かったりと言った具合で、その個性に合わせた悪魔と組み合わせることで最大の効果を発揮できるようになっている。
今作はバトル中、女神転生ほど臨機応変に悪魔の入れ替えが出来ないし、一体の悪魔が覚えられるスキルの数も少ない。つまり、今までよりも的を絞った育成が求められる。
そしてその的を絞るやり方としてこのゲームは、キャラの個性に合わせて悪魔を選ぶと良いよ!という道筋を示してくれている。
アトラスのゲームと言えば、悪魔合体をひたすら繰り返して最強の悪魔作りを目指す、というのが育成の根幹にあるが、スキルの継承など考えるとあまりにもバリエーションが無数にありすぎてどういう悪魔を作れば良いのか迷いがちだった。
しかし今作は目標がハッキリしているのでそこに向かってひたすら育成と合体に励むことができる。
個人的には、自由度が高すぎるよりもある程度方向性を示してくれる方が好みなので、今作のゲームバランスはツボにハマった。

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迷いがなくなった俺は、ひたすら悪魔合体とレベル上げを繰り返す機械と化していた。
敵が強い→じゃあレベル上げしよう→悪魔が全てのスキルを覚えると良いアイテムをくれるのでどんどんレベル上げしたくなる
→その間にも悪魔の仲間が増えていく→合体する前にとりあえずスキルを全部覚えさせるまでレベル上げする
→レベル上げのついでに探索しているとキャラクター固有の強力なアビリティを解放するためのアイテムもどんどん集まる→素材を使ってキャラを強化
→その強化の特性に合わせて相性の良い悪魔を作るためにひたすら悪魔合体を繰り返す→悪魔合体に納得できないのでまた新しい悪魔を探す→合体させる前にまたレベル上げ・・・

ひたすらこんな感じのループが続く。しかもこのループが高速で回転するのだから抜け出せない。
ダンジョンからは一瞬で離脱できるし、速攻で拠点で回復できて、ワープ地点さえ解放できていればすぐに元の場所からやり直せる。
街などはかなり簡略化されていてキャラクターが直に移動できる範囲は狭く、基本的にカーソル移動だが、逆にこの仕様のおかげで拠点やショップや施設など行きたい場所にすぐ行ける。
レベル上げのために用意されているダンジョンも、ブロックが並べられた迷路をひたすらグルグルするだけで味気ないけど、逆に何も考えず育成に集中できるので機械と化している俺には丁度いい。しかもキャラクターのストーリーを掘り下げるオマケまで付いてくる。
テンポが良いと言っても、ワープ地点は結構な間隔で設置されているので雑魚戦においてMPの使い所など考えさせられたり、全くの思考停止ではなくそれなりに頭を使うメリハリがあるのがまた程良い。
とにかく次々と目的と達成が繰り返される育成のループが気持ち良いし、テンポが良いから抜け出せないし、それなりにメリハリを作ってくれるから刺激もある。
いつものアトラスシステムが炸裂しているとしか言いようがない。アトラスは、プレイヤーがどうすれば気持ち良くなるか完全に理解してる。
このループに身を任せているのがあまりに心地良くてひたすら沼に浸かっていた。

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でも、なんだろう。正直釈然としない部分もある。あまりにもシステムちっくというか。ノウハウでゴリ押ししているだけというか。
アトラスのゲーム作りの熟練っぷりは見事だし、俺も完全に掌の上で踊らされたけど、結局のところ予定調和の域を出ない。決まりきった流れをひたすら繰り返すだけ。
仲間4人に焦点を絞ったストーリーが、システム化されたこのゲームの中では数少ない味の出しどころだけど、特に印象に残ることもなかった。
いや、ストーリー自体はそこまで悪くないけど、このゲームの構造上、物語を体験として受け取ることが難しいので、差し迫って伝わってくるものがなかった。完全にゲームとストーリーが分離してるから。
ペルソナや女神転生よりも低予算で作られた結果、体験の生っぽさが完全に排されて純然たるアトラスのノウハウだけが浮き彫りになったゲームが今作という印象。
ハクスラに特化したゲームなら別にこのシステムちっくな作りでも良いけど、一応ストーリーを中心としている構造でここまで機械的なゲーム進行だと冷めるところがある。
育成は中毒性があったが、それは楽しいという感情とは少し違うもので、このゲームをプレイしていて何か湧き立つものは特になかった。