3回



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日が変わったタイミングでいつものようにプレイステーションストアをチェックしていると、あるサムネイルがやたらと目に付いた。タイトルは「レプリカ」。スマートフォンのホーム画面をクローズアップしたジャケットが印象的だった。
気になったのでより詳しく見てみる。なになに、持ち主の分からないスマートフォンの中身を覗き見るゲーム、だって。余計に興味がそそられますなぁ。値段も498円とリーズナブル。
そうは言ってもFFオリジンやトライアングルストラテジー、忘れられた都市など数々の積みゲー達の顔が頭の中に過ぎったが、値段からしてボリュームは控え目のはずだから大丈夫というゴーサインが下され購入。

さっそくゲームを起動すると、サムネイルにあるようなスマートフォンの本体が大々的に映し出された。画面をクリックしてみるとパスワードの入力画面が立ちはだかる。全く赤の他人のスマホなので当然見当もつかない。
途方に暮れている間にも家族や先生から次々とメールが送られて来て、連絡がつかなくて心配しているやら誕生日おめでとうやらテロがあって大変なことになっているやら色んな情報が入ってくる。
俺はピンと来た。誕生日?パスワードの30%は誕生日の月日だと相場が決まってる。名探偵やたさんは、さっそくスマートフォンに表示されている11月4日という数字をもとに、1104というキーを入力する。
画面が震えただけだった。どうやら違ったらしい。
いや待て。母親らしき人からのメールには、「もうすぐ」誕生日とある。つまり、今日じゃなくて明日。11月5日が持ち主の誕生日のはずだ。
ビンゴ。ロックは解かれた。随分と殺風景なホーム画面で、設定や写真やメールなどの標準的なアプリしか見当たらない。
唐突に電話が鳴った。応えるか悩む俺。その間もずっと電話は鳴り続けている。悩んだ末に応答ボタンを押すと、出たのは国家安保部を名乗る人だった。持ち主はテロリストで、スマートフォンの中に国家の安全を脅かす情報が隠されているはずだからそれを探して欲しい、と言われる。なんとなくこの世界の事情が掴めて来た。
「TODO」アプリをダウンロードするよう言われたので、ストアにアクセスして・・・
いや、ごめんちょっと待って。もう我慢できないから言わせて欲しい。このゲーム、操作性がクソすぎる。具体的に言うとカーソルの感度が繊細すぎる。スティックを倒すとかなりのスピードでカーソルが動くのでコントロールがものすごく大変。
じゃあ設定で感度の調整すれば良いじゃんという話だが、オプションが存在しないのが諸悪の根源。あり得ない。
しばらく我慢しながらプレイしていたが、これはちょっと無理。結構細かいところにポインタを合わせる必要があるのに、感度が良すぎるせいで微妙なカーソル操作が難しく、ノイローゼになりそうなくらいストレスが俺に降り注ぐ。
ゲームの大半でカーソル操作を求められるのにこの操作性はテストプレイをしたのかと言いたくなる。耐えられずゲームを切った。

・・・でも、しばらくしてもこのゲームの事が頭から離れず、もしかして俺がオプションを見つけ出せなかっただけかも知れない、慣れたらあの感度も気にならないかも知れない、と思い、また起動してみる。やっぱりオプションは見つからないし、感度にも慣れず、ゲームを切る。
という事を数回繰り返しているうちに、俺はあることを思い付いた。このゲーム、Switchでも出てるんじゃないかと。
あった。498円。何も考えずそのまま購入。Switchなら携帯モードだと画面タッチに対応しているので、タップで操作させてくれるかもしれない。明らかにそういう操作性のゲームだし。

・・・タッチ?このゲームの容量は軽いのでダウンロードが終わるまで数分もかからないのだが、その僅かな時間の間でタッチというキーワードから連想して俺のもとに天啓が降りてきた。このゲーム、スマホで遊ぶのが一番良いんじゃないか?
ゲームはゲーム機で遊ぶもの、というとてつもなく強固な固定概念に縛り付けられているやたさんの中からそんな発想を捻り出せたのが自分でも驚きだったが、スマホを操作するというゲームなのだから、操作性としても、体験性としても、どう考えてもこれはスマホで遊ぶべきゲームな気がしてならない。

app storeを見ると、あった。370円。購入。
タッチの操作、バイブレーション、スマホを握っているという臨場感。プレイステーションで操作していた時とは雲泥の差の体験性だった。いくつかエンディングを見たが、とても面白いゲームだった。
俺は据え置き至上主義者だけど、世の中には色んなゲームの形があるわけで、大画面で遊ぶことが適していると言えないゲームだってもちろんある。
デュエルリンクスとデュエルマスターズのソシャゲを除けば、本当に久しぶりにスマホでゲームを遊んだ。意外と悪くなかった。これからは少しはスマホのゲームにも目を向けていこうかなと思いました。