ホラーとアクション
"ルイジアナの事件から生還したイーサンは、妻と生まれたばかりの子供と一緒に平穏な日常を過ごしていたが、突如クリス達が家に押し入り、一家はバラバラにされてしまう"
PS5、PS4、XboxX、XboxOneのアクションゲーム。開発はカプコン。
前作7のホラー路線を引き継ぎながらアクションを目立たせたいという方向性は明確で、概ねそれは上手く機能している。
バイオはホラー第一主義ではなく、サバイバル体験の結果としてホラーが表現されていますよというアドベンチャーゲームであり、弾さえあればあっさり敵を倒せるが、手持ちが少なくなると雑魚ですらも途端に強大な存在になりビクビクしながら対処しなければならないという、そのゲームバランスのメリハリがホラーとカタルシスを作っていた。
シリーズ通してそのコンセプトは一貫としているが、アクションの強弱はタイトル毎に大きく違い、それによってホラーの度合いがガラリと変わる。
今まではアクションに大きく振るか、パズルと探索に大きく振るか、かなり極端に方向性が分かれていて、今回のバイオはこういう楽しみ方をすれば良いんだなと分かりやすいながらも好き嫌いがはっきり別れる内容になっていたが、RE:2がホラーとアクションの良いとこ取りというバランスを重視したゲームとなり、RE:3もそれを引き継いで、そしてナンバリングとなる今作でもその折衷案を採用している。
7に続いて今作も主観視点。ホラーという観点ではやはりここが大きい。
目の前に敵がいるという迫力。後ろが見えないという臨場感。一人称視点はそれだけでホラーの緊張感を何倍にも高めてくれる。ゲーム情報を極限まで削減したリアルな映像がまた大きな迫力を作っている。
サウンドの品質も中々なもので、数ヶ月前に買ったきり効果を発揮する場所がなかったソニーの3Dワイヤレスヘッドセットがついに大活躍。幾度となく後ろを振り返る羽目になったし、小屋の外から聞こえる唸り声など相当な圧迫感があった。
一方で、アクションという意味では主観視点は微妙。敵との間隔が分かりにくいからどうしても何となくでの立ち回りになるし、部位を撃って敵を怯ませて体術を決めるというシステムもないので銃撃一辺倒になりがち。細かい立ち回りを求めるゲームではないことに関連してか、回復も全回復する薬の一種類しかなく大雑把になった。
まぁでも、ここら辺は仕方ないよな。ゲームとしての楽しさを作ろうとしたら、どうしたってゲームっぽくなってしまう。ゲームっぽいという作りもの感はホラーを著しく阻害する。
脚や頭を撃ったら敵が決まった反応をしてそこに回し蹴りを決めるとか、それはもう只のアクションゲームだもんね。4からのバイオは主人公をカッコよくアクションさせるという方向性が明確だったからそういう思い切ったことが出来たんだろうけど、ヴィレッジはバトルもホラーも頑張りますよというゲームだからそうもいかない。
この辺りが、良いとこ取りの弊害ではある。結局、あれもこれもなんて出来るわけがない。ましてホラーとアクショは本来正反対の要素だから相性が悪いわけで、何も考えなしに両方詰め込んだら破綻するだけ。その辺りのバランス取りに苦心しているのがヴィレッジからは伝わってくる。
7はホラーに徹して戦闘も控え目だったからあまり気にならなかったが、アクションシーンが多い今作だとバトルの単調さは気になった。特にボス戦は明確に面白くない。
ただ、何発撃っても怯まずに敵が突っ込んできて、ハンドガンをめちゃくちゃに撃ちまくってようやく倒れてくれるなど、ゲームっぽさが抑えられているからこそ味わえる泥臭いバトルは見もの。
特に今作は基本的に、どこに行けば良いのか、何をすれば良いのか分からない。大まかな最終目的しか明かされず、地図を見ても根拠のある情報を得るまで目的地を指し示してくれない。そんな手探り状態の中で敵がどんどん湧いて現れる。
いつものようにミニマップを見てひたすら目的地に突き進むという戦法は通用せず、狼狽しながら敵を倒し続け、アイテムが手薄になったら各地を走り回りながら弾をかき集め、何とか対処する。このてんやわんや感が今回のバイオは面白かった。これはアクションを強調しているからこそ作り出せるシーンだし、アクションとホラーが融合した素晴らしい瞬間だった。
あと、探索中に絶対に倒せない敵が現れたりして、緊張感を煽ってくることも良くある。俺はそのシチュエーションがとても苦手なので主観視点と相まって辛かった。特にあるステージはホラー1本に特化していてゾッとした。
ストーリーも良かった。主人公イーサンによる一世一代の大活躍を見ることができる。
顔すら明かされない地味なキャラだが、ヒーローではない平凡な人間であるイーサンだからこそ主観視点のホラーに徹することができたわけで、イーサンという存在があったから7から続くバイオの新たな形が作れたと言っても過言ではない。
バイオ8は、そんなイーサンに捧げる物語になっている。フィクションの都合にしか見えなかった部分にもちゃんと理由付けがされていて、意外なほどに設定も凝っていた。
ただバイオテロを抑えて終わりといういつもの記憶に残らないストーリーではなく、イーサン個人に及んだ物語は印象に残るものがあった。
総合的に、今回のバイオも怖かったです。そりゃ7程ではないけど、充分にホラーの緊張感が伝わる内容。それでいてアクションの爽快感もある。
バトルシーンの比率が高まったことで確かにホラーは弱まっているけど、バイオとは、恐怖の対象に打ち勝って安堵を得るゲーム。緊張と緩和の連続こそがこのシリーズの醍醐味。
アクションとホラーというのは水と油のような存在だが、バイオに関してはそれを織り交ぜてホラーに打ち勝つ快感を作り出すことを大事にしていた。
コンセプトが一貫としていて強いインパクトがあった7と比べるとヴィレッジは無難な良いとこ取りゲームだが、バイオらしいバイオはどっちかと言うと俺は今作かなと思う。
それにしても色々と怖い場面があったけど、一番怖かったのは視界外から突然聞こえてくる商人の呻き声だったのは間違いない。
"ルイジアナの事件から生還したイーサンは、妻と生まれたばかりの子供と一緒に平穏な日常を過ごしていたが、突如クリス達が家に押し入り、一家はバラバラにされてしまう"
PS5、PS4、XboxX、XboxOneのアクションゲーム。開発はカプコン。
前作7のホラー路線を引き継ぎながらアクションを目立たせたいという方向性は明確で、概ねそれは上手く機能している。
バイオはホラー第一主義ではなく、サバイバル体験の結果としてホラーが表現されていますよというアドベンチャーゲームであり、弾さえあればあっさり敵を倒せるが、手持ちが少なくなると雑魚ですらも途端に強大な存在になりビクビクしながら対処しなければならないという、そのゲームバランスのメリハリがホラーとカタルシスを作っていた。
シリーズ通してそのコンセプトは一貫としているが、アクションの強弱はタイトル毎に大きく違い、それによってホラーの度合いがガラリと変わる。
今まではアクションに大きく振るか、パズルと探索に大きく振るか、かなり極端に方向性が分かれていて、今回のバイオはこういう楽しみ方をすれば良いんだなと分かりやすいながらも好き嫌いがはっきり別れる内容になっていたが、RE:2がホラーとアクションの良いとこ取りというバランスを重視したゲームとなり、RE:3もそれを引き継いで、そしてナンバリングとなる今作でもその折衷案を採用している。
7に続いて今作も主観視点。ホラーという観点ではやはりここが大きい。
目の前に敵がいるという迫力。後ろが見えないという臨場感。一人称視点はそれだけでホラーの緊張感を何倍にも高めてくれる。ゲーム情報を極限まで削減したリアルな映像がまた大きな迫力を作っている。
サウンドの品質も中々なもので、数ヶ月前に買ったきり効果を発揮する場所がなかったソニーの3Dワイヤレスヘッドセットがついに大活躍。幾度となく後ろを振り返る羽目になったし、小屋の外から聞こえる唸り声など相当な圧迫感があった。
一方で、アクションという意味では主観視点は微妙。敵との間隔が分かりにくいからどうしても何となくでの立ち回りになるし、部位を撃って敵を怯ませて体術を決めるというシステムもないので銃撃一辺倒になりがち。細かい立ち回りを求めるゲームではないことに関連してか、回復も全回復する薬の一種類しかなく大雑把になった。
まぁでも、ここら辺は仕方ないよな。ゲームとしての楽しさを作ろうとしたら、どうしたってゲームっぽくなってしまう。ゲームっぽいという作りもの感はホラーを著しく阻害する。
脚や頭を撃ったら敵が決まった反応をしてそこに回し蹴りを決めるとか、それはもう只のアクションゲームだもんね。4からのバイオは主人公をカッコよくアクションさせるという方向性が明確だったからそういう思い切ったことが出来たんだろうけど、ヴィレッジはバトルもホラーも頑張りますよというゲームだからそうもいかない。
この辺りが、良いとこ取りの弊害ではある。結局、あれもこれもなんて出来るわけがない。ましてホラーとアクショは本来正反対の要素だから相性が悪いわけで、何も考えなしに両方詰め込んだら破綻するだけ。その辺りのバランス取りに苦心しているのがヴィレッジからは伝わってくる。
7はホラーに徹して戦闘も控え目だったからあまり気にならなかったが、アクションシーンが多い今作だとバトルの単調さは気になった。特にボス戦は明確に面白くない。
ただ、何発撃っても怯まずに敵が突っ込んできて、ハンドガンをめちゃくちゃに撃ちまくってようやく倒れてくれるなど、ゲームっぽさが抑えられているからこそ味わえる泥臭いバトルは見もの。
特に今作は基本的に、どこに行けば良いのか、何をすれば良いのか分からない。大まかな最終目的しか明かされず、地図を見ても根拠のある情報を得るまで目的地を指し示してくれない。そんな手探り状態の中で敵がどんどん湧いて現れる。
いつものようにミニマップを見てひたすら目的地に突き進むという戦法は通用せず、狼狽しながら敵を倒し続け、アイテムが手薄になったら各地を走り回りながら弾をかき集め、何とか対処する。このてんやわんや感が今回のバイオは面白かった。これはアクションを強調しているからこそ作り出せるシーンだし、アクションとホラーが融合した素晴らしい瞬間だった。
あと、探索中に絶対に倒せない敵が現れたりして、緊張感を煽ってくることも良くある。俺はそのシチュエーションがとても苦手なので主観視点と相まって辛かった。特にあるステージはホラー1本に特化していてゾッとした。
ストーリーも良かった。主人公イーサンによる一世一代の大活躍を見ることができる。
顔すら明かされない地味なキャラだが、ヒーローではない平凡な人間であるイーサンだからこそ主観視点のホラーに徹することができたわけで、イーサンという存在があったから7から続くバイオの新たな形が作れたと言っても過言ではない。
バイオ8は、そんなイーサンに捧げる物語になっている。フィクションの都合にしか見えなかった部分にもちゃんと理由付けがされていて、意外なほどに設定も凝っていた。
ただバイオテロを抑えて終わりといういつもの記憶に残らないストーリーではなく、イーサン個人に及んだ物語は印象に残るものがあった。
総合的に、今回のバイオも怖かったです。そりゃ7程ではないけど、充分にホラーの緊張感が伝わる内容。それでいてアクションの爽快感もある。
バトルシーンの比率が高まったことで確かにホラーは弱まっているけど、バイオとは、恐怖の対象に打ち勝って安堵を得るゲーム。緊張と緩和の連続こそがこのシリーズの醍醐味。
アクションとホラーというのは水と油のような存在だが、バイオに関してはそれを織り交ぜてホラーに打ち勝つ快感を作り出すことを大事にしていた。
コンセプトが一貫としていて強いインパクトがあった7と比べるとヴィレッジは無難な良いとこ取りゲームだが、バイオらしいバイオはどっちかと言うと俺は今作かなと思う。
それにしても色々と怖い場面があったけど、一番怖かったのは視界外から突然聞こえてくる商人の呻き声だったのは間違いない。
コメント