ただ純粋に、面白い



IMG_0527
PS5、PS4、XboxX、XboxOneのアクションゲーム。開発はHAZELIGHT。

面白かった。面白いという言葉は、このゲームの為にあるのかというくらい、掛け値なしに面白かった。
まず目を引いたのが、アクションが軽快であること。ジャンルとしては、マリオのようにアスレチックステージを突破していくアクションゲームだけど、驚くほどキャラのフットワークが良い。
ジャンプ中もスティックで制御が効き、2段まで飛べるし、なんなら空中でステップもできる。動きはサクサクで、ダッシュのスピードも早く、スタミナのような制約もない。ロックオンも程良く効いていて、操作もシンプル。
キャラの動きがモッサリしていたり、制約が強かったりして、ミスした時に「違うし、俺は悪くないし!ゲームが悪いんだし!」と言い訳したくなることは良くあるが、このゲームはそんなことが言えないほどキャラを自由に軽快に動かせる。とにかく小回りが効くのでアクションでもたつくことがない。水中ですら快適に動けるよう工夫されていたのには感動した。
もちろんストレスない作りが必ずしも正解ではないが、このゲームの方向性においては極めて良い方向に働いている。
と言うのもIt Takes Twoは、面倒くさいことを抜きにして、とにかく面白く、とにかくプレイヤーが楽しめるようにという快楽主義のゲームだから。
例えば、これでもかというほどプレイヤーの気持ち良くなるツボを刺激してくる。アクションゲームをプレイしていると、レールを滑ったり、雪道をひたすら降ったり、襲ってくる敵を乗り物にのりながら撃ち落としたり、というプレイヤーを気持ちよくさせたいだけのアクションパートが混ざったりするけど、このゲームはそうしたギミックが大量に詰め込まれていて常に気分をハイにしてくれる。
しかもありとあらゆるシチュエーションを使って色んなパターン、構成でプレイヤーを気持ち良くさせようとしてくるからとても愉快。良くもまぁここまで思いつくなぁと感心するばかり。

IMG_0526
プレイヤーを楽しませるための努力も惜しまない。
ステージが9つくらいあり、それぞれ大きくロケーションが違って全く異なる世界観を楽しめるのも素晴らしいが、一つ一つのエリアで特殊なメインギミックを仕込んできて遊び方がガラッと変わるから凄い。
蜂の巣の中でのシューティングアクション、磁石のギミックを活かした雪山、身体のサイズを変化できる玩具箱ステージなど、5本くらいゲームが詰まってるんじゃないかと思うくらい多種多様の世界、遊びが収まっていて全く飽きる暇がない。
小ネタも大量に仕込まれており、唐突に始まるストリートファイター、急にジャンルが変わるディアブロ風のアクション、やたらと手応えのあるフライトシューティングなど、整合性なんて微塵も気にしない何でもありのサービス精神を見せてくれる。
とにかく面白ければ良いんでしょ?と言わんばかりの、このゲームの面白さに対する貪欲さは凄い。13時間くらいで終わるが、ちょっとダレてきたなぁと思う瞬間が片時も無かった。最後の最後までこのゲームはプレイヤーを掴んで離さない。

IMG_0523
システムが良く出来てるとか、調整が練られているとか、コンセプトに沿って筋が通ってるとか、メッセージ性があるだとか、そんな理屈をこねくり回す必要などなく、もう純粋に面白かった。
ゲームとは、楽しいもの。大人になった今では面白さに理由を見つけようとしてしまうが、子供の頃はゲームを遊ぶことそのものが楽しくて仕方なくて、そこに理由なんて必要なかった。このゲームには、あの頃の童心を取り戻してくれるような純粋さがある。
面白いものを作ろう、プレイヤーを楽しませよう。ゲーム作りの出発点、そして最終目的は常にそこにあると思うが、その過程で色々と面倒なものが混じってきて、面白さを伝えるための手段が複雑で分かりにくかったり、個性を求めすぎて独りよがりになってしまっているゲームは多い。
俺は作り手の面倒な感情こそが作品の魅力を作り出すと思っているので、むしろそういうゲームは肯定するけど、一方で、本作の純粋に面白さを追求しようとする姿勢も素晴らしいと思う。面白いものを作ろう、プレイヤーを楽しませよう、という出発点から全くブレていない。最後の最後までその信念をもとにゴールまで突っ走っている。
見方を変えれば、ただ安易に面白そうなものを詰め込んだだけのごった煮なゲーム、という言い方もできるし、俺も正直諸手を挙げて絶賛したいタイプのゲームではないけど、「面白い」という説得力の前には関係ない。面白いというのは、それだけで素晴らしいことだ。

IMG_0524
一方で、全く作り手のエゴが無いわけではない。むしろ、ゲームの遊び方を強要する強烈な制約がある。
それこそがこのゲームの最大の特徴でもあるわけだが、今作は2人でのプレイが必須の協力タイプのアクションゲームとなっている。
屋根の下で隣合わせになって一緒に遊ぶか、ネットを通じてオンラインプレイという選択肢があるが、オンラインの場合は見知らぬ人とのマッチング機能がないのでフレンドが必要となる。つまるところ、知り合いとコミュニケーションを取りながら遊んでね、という強力なコンセプトがこのゲームにはあり、そのプレイスタイル以外の遊び方は認めてくれない。
そもそもこのゲームの制作者は「ブラザーズ 2人の息子の物語」や「A WAY OUT」など、2人のキャラクターを軸にストーリーを描くというゲーム作りを信条としていて、協力プレイという点に対する強い拘りがある。
ブラザーズは一人でも遊べたが、A WAY OUTからは知り合いとのプレイが必須となり、今作でも同じ形式となっている。そこまでしているだけあって、協力ゲームのプレイ体験は素晴らしいものがあった。
協力とはまさにこのこと。2人それぞれに明確に役割があって、そのキャラクターでしか使えない能力を組み合わせないと突破できないので共同したプレイは必須。
実際に遊んでみるとローカルかフレンドとしか遊べない仕様は納得。画面が分割されていて相方の状況が確認できるとはいえ、息を合わせることが常に求められるのでやり取りしながらでないとちょっと厳しい。裏を返せば、名ばかりではない本物のコミュニケーションプレイが求められるわけで、一緒にゲームを遊んでいる感覚があり、とても楽しかった。
そしてそれはストーリーにも繋がっている。今作の主人公となるのは、不仲により離婚の危機に陥った中年の夫婦。恐らく本作くらいでしかお目にすることがないであろう設定だけど、協力プレイというスタイルによって活きてる。
難しいパズルを一緒に考えたり、共同作業によって難所を突破したり、悪戯でわざと仕掛けを動かして相方を突き落としてみたり、ミニゲームの対決で大人げなく本気になってちょっと険悪なムードになったり、2人で遊ぶからこそ色んな感情が沸き起こるが、そうしたゲーム内での出来事が、見事に物語の情緒に繋がっている。
シナリオ自体はそこまで良いとは思わなかったけど、ゲームプレイ自体が物語として受け取れるような内容になっていて、実にゲームらしいストーリー体験ができる。

IMG_0525
It Takes Twoは、ゲームとは単純に楽しいものであるということに気付かせてくれるとても純粋でサービス精神豊富な内容であるが、そこに「ゲームは誰かと遊ぶともっと楽しい」という方程式まで乗っかってきているのだから、そりゃ面白くないわけがない。

しかもこのゲームにはフレンドパスという仕組みがあり、購入した人は無料でフレンドにプレイの権利を与えることができる。何人までという制約もなし。
設定やストーリーからして、彼氏や彼女やパートナーと一緒に遊んでこそ楽しいゲームであり、コロナ禍で外に出にくい状況でも巣ごもりしながらゲームを通して愛を育めるというまさに今のご時世に打って付けの作品。
ちなみに僕にはこのゲームを一緒に遊んでくれる彼女はいないので、男2人でむさ苦しくプレイしてたけど、それでもとてもとても楽しいゲームでした。