「NO」と言い続けるゲーム



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スイッチのアドベンチャーゲーム。開発はStudio Fizbin。

インターシップの実習生として入社した主人公が、ひたすら相手に対して「NO」と言い続けるだけのゲーム。
スティックでキャラを動かせないし、アクションも全くないが、「NO」のバリエーションだけは異常に豊富。
例えば、十字キーにより4種類のNOを使い分けることができる。スタンダードなNO、少し澄ましたNO、粘っこいNO、激しいNO。と言った感じ。溜め込んで強力なNOを突き付けることも出来る。
更にはNOと言う前に小細工も可能で、頷いてYESと見せかけてからのNO、高笑いして相手の自尊心を傷付けてからのNO、拍手して気分を高揚してからのNOなど、コントローラーのボタンはNOの言葉を相手に突き付けること一点の目的の為に注ぎ込まれており、あらゆる状況に対応した「NO」を使い分ける事ができる。
そしてNOの言語だけ17カ国語のボイス対応。ちなみに日本語では「いやです」と表現されている。

そんな感じで、「NO」という言葉に対する力の入れ具合だけは異常なゲームだが、それで何をするのかと言うと、ただプレイヤーはボタンを押してひたすら「NO」と言うだけ。
色んな種類のNOや小細工があると言ったけど、殆ど意味はない。ただそうした事も出来るよというだけ。一部の相手には溜めNOでないと効かないとかはあるが、別に失敗しても何もないし、駆け引きという意味でのゲーム性は全くない。

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立ちはだかる先輩、上司、部長、社長、果てはCEOまで、あらゆるYES強要マシーンをNOという言葉一つで文字通り薙ぎ倒していく。
崩壊するオフィス、ド派手に吹っ飛んでいく同僚たち。映像はローポリだが動きは滑らかかつ賑やかで、理不尽な要求に対してNOと突き付けるカタルシスと相まって中々に爽快感がある。
ゲームはほぼ自動進行で、プレイヤーはNOと言ってるだけで勝手に進んでいく。ゲームとしては全く面白味がないけど、驚くほど映像が良く動くので退屈はしない。脈絡も道理も常識も全て無視して、勢いだけでゴールに向かって突き進んでいく。

このゲームのメインは、ストーリー。YESしか言えない人間は死んでると同じ。NOと言って自分らしく生きよう。というメッセージが根底にあり、その信念に従って主人公はNOと言い続ける。
とはいえ啓発というよりはコメディ的な意味合いが強く、日々の鬱憤を少し晴すぐらいの効果しかないけど、親友に対してNOと言う場面に関しては重みが感じられた。あそこは良かった。
自由意志は大事という主張をしながらも、社会人の苦労を肯定的に織り交ぜたり、自分の決断で人を傷付けてはいけないというブレーキもかけていて、バランスの取れた視点を保っているのも好印象。

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やって良かったと思える部分もあるけど、しかしこれで1980円かぁというのが一番の感想。色んなNOのバリエーションがあるんだし、もっとゲームとして工夫出来たんじゃないかと思うけど、まぁテンポを大事にしたってことなのかな。ボリュームもなく2時間もあれば終わる。
勢いと反骨精神だけはあるので、NO!と言いたい人にはオススメ。