最後まで、泣くんじゃない。若干ネタバレ注意。

"リカルド共和国の警官であるルークは、警察署の方針を無視して、誘拐されたとみられる女性の行方を追っていた。
しかし監禁場所として目星を付けた場所に潜入してみると、そこには女性ではなく、世界的な大泥棒である「怪盗ビースト」がいた。"
スイッチのアドベンチャーゲーム。開発はルビーパーティー。
素晴らしいストーリーでした。色んなテーマが備わっているが、詰め込み過ぎという印象は全くなし。
「仲間との絆」「感情を持つという人間性の素晴らしさ」『互いを認め合う大切さ」「目の前の人も、周りの人も、全てを救ってみせるというヒーロー魂」
全部、これでもかというほど伝わってくる。使い古されたテーマだし、理想論ばかりだが、ここまで言葉と行動を尽くして見せられたら、納得するしかない。
どんなに甘くて青い理想でも、どんなにご都合主義な出来事でも、そこに至るまでの道のりを真摯に描けば、それは美しい奇跡になる。そういう現実では絶対に起こり得ない奇跡を見せてくれるのが、物語の成せる技だ。
このゲームは現実の厳しさや陰湿なところをかなりハッキリと描写しているが、最後はこれ以上ないくらいの大団円を迎える。そしてそれは安易なご都合主義なんかではなく、キャラの意思と行動にしっかり裏打ちされた、何かを積み重ねった結果として起こる、とても真実味のある奇跡だった。本当に感動しました。

が、そこに至るまでが結構大変。と言うのもこのゲーム、ストーリーゲームの割にはかなりキッチリとしたプレイを求めてくるのよね。
定期的にちゃんと文章を読んでいるか確認するような選択肢を問うてくるけど、これがストーリーの本筋とは関係ないような細かいところまで聞いてくるから嫌らしい。どんだけ遡るんだよという昔の話題を質問してくることもある。
まぁ過去の場面を振り返ったり、間違えてもやり直せるから何とかなるようにはなってるけど、ミスをするとクリアーランクが下がっていき、サブストーリーのアンロックに影響を与える。
サブストーリーはキャラの魅力を掘り下げてくれたり、ちょっと良い話や胸糞悪くなる話、更にはストーリーの理解に関わってくるものなど、どれも気になるものばかりで漏れなく読みたい気持ちにさせられるが、このクリアーランクの仕組みのせいで一筋縄ではいかなかった。

ちゃんと文章を読んでいるかだけでなく、かなりの推理力や観察力が問われる場面も多く、高ランクを目指すのは割と難しい。
特に辛かったのがQTE。これがやたらと難しいくせして、最後の方に設置されているせいでミスしてもリカバリーできる機会がないという嫌がらせ。QTE肯定派の俺でもこのゲームのQTEは不快感しかなかった。
まぁでも、QTEは別にしてもプレイヤーをちゃんとゲームに向き合わせようという工夫は悪いことじゃない。集中した方が楽しめるのは言うまでもないが、どうしたってテキストゲームはダラダラ遊んでしまいがち。そこを引き締めてくれる調整にはなっていた。
ただ、俺はこのゲームをかなり間を空けながらプレイしていたこともあって、半分くらいのチャプターで高ランクを維持する事ができず、あまりサブストーリーをアンロックできなかった。
まぁ面倒だしもう良いかなと思いながらエンディングを迎えたが、土壇場で想定外の出来事が発生する。そして真実を知るためには全てのエピソードで高ランクを取る必要があるという。
本当は早くマリオ3Dワールドをやりたかったけど、流石に気になる展開だったので頑張ってやり直しました。テキストゲームのやり直しプレイは大抵の場合面白くないけど、このゲームは輪をかけてつまらない。特にキャラを実際に操作して潜入するパートが大変で、周回プレイのために複数ルートあるので全く同じことを求められるわけではないが、ストーリーが気になる俺としては面倒なだけだった。
結局、4時間くらい周回に時間を使って真エンドを解放。うん、それだけの価値がある内容でしたね。ヒーローになりたいと願う主人公の愚直な想いはこの時の為にあったのかと感動できる、素晴らしい結末だった。
最後のエピソードをもって、真にバディミッションは完結する。最後の最後まで楽しませようとするこのゲームの姿勢は凄い。

特に良いなと思ったのは、主人公の愚直なヒーロー魂。目の前の人も、周りの人も、全てを救う。彼には、何かを犠牲にしなければ救えないものもあるという理屈は通用しない。何もかも、全てを救おうとする。
中途半端なヒーロー精神を持っている主人公は多いのでいつもなら鼻で笑うところだけど、こいつは本気度が違った。心の底から、それが出来ると信じて行動している事がわかる。
これは俺の推測だけど、多分作者はこの主人公のことを人間ではなくヒーローの化身として描いてるのかなと思った。比喩という意味ではなく、そういう神が宿った存在だと匂わせる設定がいくつか見受けられた。
只の平凡に生まれた人間だとしたらあまりにもこの主人公は高尚すぎるから、個人的にはそういう設定の方が説得力を感じる。
いやー、本当に素晴らしい物語でした。色んなテキストアドベンチャーゲームを遊んできたけど、間違いなくトップクラスの内容。個人的には一番心に残ったかもしれない。
ゲームならではの「体験」による効果はそれほど大きくないけど、純粋にストーリーの密度が濃いとしか言いようがない。
スイッチを持っててストーリーゲームが好きなら絶対に買うべき作品。

"リカルド共和国の警官であるルークは、警察署の方針を無視して、誘拐されたとみられる女性の行方を追っていた。
しかし監禁場所として目星を付けた場所に潜入してみると、そこには女性ではなく、世界的な大泥棒である「怪盗ビースト」がいた。"
スイッチのアドベンチャーゲーム。開発はルビーパーティー。
素晴らしいストーリーでした。色んなテーマが備わっているが、詰め込み過ぎという印象は全くなし。
「仲間との絆」「感情を持つという人間性の素晴らしさ」『互いを認め合う大切さ」「目の前の人も、周りの人も、全てを救ってみせるというヒーロー魂」
全部、これでもかというほど伝わってくる。使い古されたテーマだし、理想論ばかりだが、ここまで言葉と行動を尽くして見せられたら、納得するしかない。
どんなに甘くて青い理想でも、どんなにご都合主義な出来事でも、そこに至るまでの道のりを真摯に描けば、それは美しい奇跡になる。そういう現実では絶対に起こり得ない奇跡を見せてくれるのが、物語の成せる技だ。
このゲームは現実の厳しさや陰湿なところをかなりハッキリと描写しているが、最後はこれ以上ないくらいの大団円を迎える。そしてそれは安易なご都合主義なんかではなく、キャラの意思と行動にしっかり裏打ちされた、何かを積み重ねった結果として起こる、とても真実味のある奇跡だった。本当に感動しました。

が、そこに至るまでが結構大変。と言うのもこのゲーム、ストーリーゲームの割にはかなりキッチリとしたプレイを求めてくるのよね。
定期的にちゃんと文章を読んでいるか確認するような選択肢を問うてくるけど、これがストーリーの本筋とは関係ないような細かいところまで聞いてくるから嫌らしい。どんだけ遡るんだよという昔の話題を質問してくることもある。
まぁ過去の場面を振り返ったり、間違えてもやり直せるから何とかなるようにはなってるけど、ミスをするとクリアーランクが下がっていき、サブストーリーのアンロックに影響を与える。
サブストーリーはキャラの魅力を掘り下げてくれたり、ちょっと良い話や胸糞悪くなる話、更にはストーリーの理解に関わってくるものなど、どれも気になるものばかりで漏れなく読みたい気持ちにさせられるが、このクリアーランクの仕組みのせいで一筋縄ではいかなかった。

ちゃんと文章を読んでいるかだけでなく、かなりの推理力や観察力が問われる場面も多く、高ランクを目指すのは割と難しい。
特に辛かったのがQTE。これがやたらと難しいくせして、最後の方に設置されているせいでミスしてもリカバリーできる機会がないという嫌がらせ。QTE肯定派の俺でもこのゲームのQTEは不快感しかなかった。
まぁでも、QTEは別にしてもプレイヤーをちゃんとゲームに向き合わせようという工夫は悪いことじゃない。集中した方が楽しめるのは言うまでもないが、どうしたってテキストゲームはダラダラ遊んでしまいがち。そこを引き締めてくれる調整にはなっていた。
ただ、俺はこのゲームをかなり間を空けながらプレイしていたこともあって、半分くらいのチャプターで高ランクを維持する事ができず、あまりサブストーリーをアンロックできなかった。
まぁ面倒だしもう良いかなと思いながらエンディングを迎えたが、土壇場で想定外の出来事が発生する。そして真実を知るためには全てのエピソードで高ランクを取る必要があるという。
本当は早くマリオ3Dワールドをやりたかったけど、流石に気になる展開だったので頑張ってやり直しました。テキストゲームのやり直しプレイは大抵の場合面白くないけど、このゲームは輪をかけてつまらない。特にキャラを実際に操作して潜入するパートが大変で、周回プレイのために複数ルートあるので全く同じことを求められるわけではないが、ストーリーが気になる俺としては面倒なだけだった。
結局、4時間くらい周回に時間を使って真エンドを解放。うん、それだけの価値がある内容でしたね。ヒーローになりたいと願う主人公の愚直な想いはこの時の為にあったのかと感動できる、素晴らしい結末だった。
最後のエピソードをもって、真にバディミッションは完結する。最後の最後まで楽しませようとするこのゲームの姿勢は凄い。

特に良いなと思ったのは、主人公の愚直なヒーロー魂。目の前の人も、周りの人も、全てを救う。彼には、何かを犠牲にしなければ救えないものもあるという理屈は通用しない。何もかも、全てを救おうとする。
中途半端なヒーロー精神を持っている主人公は多いのでいつもなら鼻で笑うところだけど、こいつは本気度が違った。心の底から、それが出来ると信じて行動している事がわかる。
これは俺の推測だけど、多分作者はこの主人公のことを人間ではなくヒーローの化身として描いてるのかなと思った。比喩という意味ではなく、そういう神が宿った存在だと匂わせる設定がいくつか見受けられた。
只の平凡に生まれた人間だとしたらあまりにもこの主人公は高尚すぎるから、個人的にはそういう設定の方が説得力を感じる。
いやー、本当に素晴らしい物語でした。色んなテキストアドベンチャーゲームを遊んできたけど、間違いなくトップクラスの内容。個人的には一番心に残ったかもしれない。
ゲームならではの「体験」による効果はそれほど大きくないけど、純粋にストーリーの密度が濃いとしか言いようがない。
スイッチを持っててストーリーゲームが好きなら絶対に買うべき作品。
コメント