人間の底知れぬ悪意




IMG_1867

色んなハードで出てるスクロールアクションゲーム。開発はNicalis Inc。

8bit映像のスクロールアクションという古き懐かしきスタイルのゲーム。
なんて思いを馳せている余裕はない。死ぬ。とにかく死ぬ。一瞬でも油断をすると即死する。このゲームの特徴は明快だ。死んで死んで死にまくる。それだけ。
タイトルの1001の意味は、残機。最初に1001個の残機が与えられ、更にステージの最後をクリアーすると相当数の残機を回復してくれるので実質2000機くらいの残機があるのだが、はっきり言ってこれでも足りない。本当にとんでもないスピードで死にまくるから。
このゲーム、とにかく初見殺しが多い。地面から唐突にトゲが生えてくるし、唐突に地面が崩れるし、唐突にナイフが飛んでくる。本当に前触れもヒントもなく唐突に殺しに来るので、一瞬でも油断ができない。難所を突破してヨッシャと思ってると着地した地面からトゲが出てくるのはもはや見慣れた光景。
なんというか、ある意味すっごい計算して作られてるんだよな。「ここでトゲ生やしたらプレイヤー発狂すんだろなーw」とか「ここ地面崩しとこうぜ!プレイヤー油断して絶対落ちるからw」とか、そういう嫌がらせという意味での調整に関してこのゲームは神がかっているレベルで凄い。プレイヤーが嫌がることを一切の容赦も妥協もなくやってくる。ここまで人は悪魔になれるのかという、人間の底知れぬ悪意を感じて戦慄した。
はっきり言って一人でやってると作り手に殺意が湧くだけの酷いゲームだが、このゲームはローカルのマルチプレイに対応しており、シェアプレイでフレンドと遊んだらメチャクチャ面白かった。いやー、笑った笑った。作り手の掌の上で転がされて死にまくるのがとても愉快で笑いが止まらなかった。
罠の起動が基本的にプレイヤーの行動で起こるので二人でのプレイになると余計に意味不明な死に方が増えるが、それも含めて笑えて面白かった。たまに二人プレイだからこその抜け道的な攻略法が見つかることもあって、凄い盛り上がりながら遊べる。
死にまくるとは言うが、油断してると死ぬだけで意外と理不尽さが少ないのは良いポイント。計算して作られているのは何も嫌がらせをするためだけではなく、攻略の道筋もちゃんと用意している。テクニックもそうだが隠された攻略の導線もたくさんあり、試行錯誤で何とかなるレベルデザインは良く出来ている。
しかもボリュームが凄い。終わりかと思ったらまだ折り返しだと気付かされた時は絶望した。ストーリーモード以外にも遊べる要素がたくさんある。ボリューム的にこれで1000円は安い。

しかしまぁ誰かと遊べば面白いのはゲームなら当たり前。結局一人でやってると疲れるだけで面白くも何ともない。それでは楽しいゲームとは言い難い。正直、終盤はフレンドと遊んでいても楽しさより圧倒的に苦痛が上回った。
ストイックさは良いが、度がすぎると辛いだけ。突き抜けたものを作れるのがインディーズの価値ではあるが、作り手の一方的なノリにずっと付き合わされるのはしんどいので、ある程度のバランス感覚は大切にして欲しいなと思う。