真逆




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PS4とXbox Oneのフライトアクションゲーム。開発はバンダイナムコスタジオ。

クリアーした瞬間、思わず歓声を上げた。あまりにも難しくてずっと頭を抱えてたから。全20ステージ通して150回はやり直しさせられたと思う。
最初はエースコンバットなんてシミュレーター重視の雰囲気ゲーだろうと思い、カメラをコクピット視点にしてパイロットの成りきりプレイを楽しんでたが、4つ目ぐらいのチャプターからそんな事をしている余裕は全く無くなる。
すぐに死ぬ護衛対象。あまりにも厳しすぎるスコア目標。こちらの攻撃を全てかわしてくるエースパイロット。
お遊びしている暇なんて全くなかった。これはのんびりできる雰囲気ゲーじゃありませんよ、真剣に挑まないと乗り超えられないガチのアクションゲームですよという制作者の声が伝わってきた。
特にゲームを難しくしていたのが環境要素。今作、映像が非常に美しいのだが、特に雲のビジュアルが凄い。これに覆われると本当に何も見えなくなるのだから焦る。雲を抜けたと思ったら地面が目の前で、墜落してゲームオーバーなんて日常茶飯事。
ゲームの映像技術はどんどん上がっているが、その映像クオリティがゲーム性に繋がることはあまりない。しかしエースコンバット7は映像の視覚効果がプレイヤーを翻弄し、ゲーム性として昇華されている。これは何気に凄いことだと思う。
コクピット視点だともっと臨場感があって迫力があるんだけどね。雲の中はもちろん、雨雲だとキャノピーに水滴が付着して視認性が更に悪くなったりして。だけど主観視点だと輪をかけて難しくなるので途中で三人称視点にせざるを得なかった。
もちろんプレイヤーが不利な事ばかりではなく、雲の中ではロックオンの精度が落ちたり、敵の追撃をかわしたり、と戦略性がある。なにより、空を飛ぶのって怖えーという恐怖感をもたらし、パイロット気分を盛り上げてくれる素晴らしい体験性があった。映像面は文句なしのクオリティだ。
しかし難しさに異議を唱えたくなる部分も多い。基本的にゲームオーバーとなる理由が、護衛対象が撃墜されたとか、スコアが足りなかったとか、時間が間に合わなかった、というパターンで、つまるところ、あまり自分がやられたーと思える場面がないのに失敗扱いとなるから納得できないんだよな。
要するに、もっと周りも頑張ってくれよと。仲間が本当にポンコツでイライラする。無線で俺たち仲間だよな感を出してくるけど、こいつら全く役に立ってないくせに何偉そうに出しゃばってんの。
まぁ最後は正真正銘の自分の実力が求められるわけだが、ここがとてつもない難所で本気で制作者に殺意が湧いた。多分50回は死んだろうな。困難を超えたと思ったらまた困難の連続で、もういい加減にしてくれと叫んでたね。
とは言えエースコンバット7の難易度は納得できない部分もあるけど理不尽というわけではないので、かなり白熱したのは事実。やっぱりある程度難しくないとゲームをちゃんとやろうという気分になれないからね。簡単よりは難しい方が良いよ。
特に俺は最初、あまりエースコンバットのゲーム性を理解できてなかった。こんなゲーム、ロックオンで自動で攻撃当てて、アラート鳴ったら適当にグネグネ動いてかわすだけの、ヒットアンドアウェイの実感が薄い退屈なアクションゲームじゃん、という認識だった。
しかし、そんな考えでクリアーできるほど底の浅いゲームではないということはよく分かった。特にシューティング部分に関しては、ロックオンの威力が強いとは言え、角度だったり、スピードだったり、間合いだったり、敵の動きだったり、かなり複合的な要素が絡まっていて、相当なバランス調整されているなと感じた。
でも、敵のUAVやエースパイロットを相手にするとやっぱり腑に落ちない。そんな動きあり得ないだろうという超反応、超性能で攻撃を避けまくってきて、どのタイミングでどの角度から撃っても当たる気がしないんだよな。
一番バトルとして盛り上がりどころのはずだけど、あまり自分の実力で倒した実感がなくて面白くなかった。

さて、ストーリー。未プレイの過去作と繋がっている部分も多いらしいので、7だけで判断できない部分はあるにしろ、それにしてもこれは端折り過ぎだろうと感じる。
特に、人とAIという今作独自のテーマすらロクに掘り下げが出来ていないのだから、このストーリーは率直にガッカリだと言わざるを得ない。
無人戦闘機を開発したエルジアが主人公属するオーシアに宣戦布告し、誤爆を繰り返す有人戦闘機に対して確実に目標だけを破壊するクリーンな無人戦闘機は戦場でも世論でも形勢を圧倒しており、もはやパイロットの存在意義は失われつつある、というあらすじは大変面白そうだったが、蓋を開けてみたらこのあらすじの内容すらロクに伝わってこないストーリーでビックリした。何故か急にAIが悪者扱いされて、急に人間様が偉いという風潮になってたけど、あまりにも流れが唐突で意味不明。
最後らへんは国境関係なしに皆でAIをやっつけよう!という展開になるけど、そこに至るまでの過程がスカスカなので全く前のめりにならないクライマックスだった。
主にキャラクターの独白で物語は進み、台詞回しは洒落ているので雰囲気はあるが、正直それで誤魔化しているようにも感じてしまう。
立場や目的によってモノの見方は変わる、という立派な主張にしても、ただ言葉で表現しているだけでそれをストーリーとして感じさせる描写は無きに等しいし、そんなこと言いながらAIに関しては一方的に否定しているのだから説得力が薄い。
更に、ストーリーや設定がプレイヤーのモチベーションを邪魔してくることもある。途中から主人公は懲罰兵として任務に就くことになるのだが、あまりにも上司の言動が横暴でイライラする。
出動してはなじられ、敵を倒すとなじられ、任務を達成するとまたなじられる。何をしても褒めてくれない。何でこいつらの言うことを聞かなきゃいけないんだよという気分になる。
で、この懲罰兵という設定がストーリーに何か情緒をもたらしていたかと言うと、正直そうとは思えないし、本当にイライラしただけ。

ゲーム部分はかなり歯応えがあって面白かった。納得できないところもあるが、久しぶりにクリアーしたあとに俺はやったぜと余韻に浸れる白熱したゲーム体験だった。
ストーリーは全くの期待外れ。過去作をプレイしないと分からない部分もあるだろうが、今作でキチンと語らなければいけない部分もスカスカなので印象は良くない。
最初はゲーム部分は期待してなくて、ストーリーを楽しみにしてたけど、実際やってみたら真逆だった。アクションゲームとして面白かったし、空を飛ぶ楽しさや怖さが十二分に伝わってくる体験性も素晴らしかった。反面、ストーリーはガッカリと言わざるを得ない。
忘れてたけど、VRモードはめちゃくちゃ楽しかったです。