集中
またも年を越してしまったが、俺には投稿時間を操作するという時を巻き戻す力があるのでそれを駆使して昨年更新したことにする。
今年は自分のことで大きな環境の変化があったが、ゲームの購入頻度、クリアー率、楽しみ度合いはさほど変わらず。
むしろ時間の縛りがキツくなったことでより集中してゲームができた側面もある。
反面、ブログに対する気力はめっきり減ってしまった。もっと感想を書きたかったなぁと思う。モンスターハンター。デトロイト。この辺りは書き出すと半日潰れるのが目に見えていたので億劫になってしまった。
でもブログはやめない。ブログは俺が唯一、我を忘れて一心不乱に打ち込めるツール。ゲームや映画やスワローズよりも、ブログが一番俺を突き動かしてくれる。
だから疲れちゃうんだけどね。書く前は本当にやる気が出ない。でも書き始めると止まらなくなる。今も止まらない。
心のままに、今年の総決算を。
・今年、気に入ったゲーム
5位『メタルギア サヴァイブ』コナミ
タイトル通り、サバイバル体験に全身全霊を注ぎ込んだゲーム。
限られた資源をやりくりするゲームは多数あるが、ここまで面倒くさいゲームは中々拝めない。
常に満たされない空腹と渇き。一発の重みが大きい弾薬事情。プレイヤーが抱えるハンデを10倍にしてくれる霧環境。
何が起こるか分からない、常に死と隣り合わせの世界。容赦がない、本気の極限状態というものを体験させてくれる。
実にそれはサバイバルで、面白かった。
4位『レッドデッドリデンプション2』Take2インタラクティブ/ロックスター
嘘偽りのない、本物の世界を作りたい。
ロックスターが次の新作としてGTAではなく、何故RDRを選んだのか分かる気がする。
GTAと違って、馬鹿馬鹿しさも爽快感もない。だけど、他のオープンワールドと比べても、かつてないほどの「そこにいる」という臨場感がある。
キャラは動かしにくいし、持ち運びの制限は強いし、探索しても実利的な褒美があるわけでもなく、強敵や強い装備といったゲーム的な楽しみも弱い。
快適性もゲームとしての面白さも犠牲にして、徹底的にこのゲームはリアリティを追求している。上で挙げた点は一見すると欠点でしかないが、全ては現実的な世界を作り上げるための調整だ。
ガンマンが夕日を背景に撃ち合ってるとか、荒野を馬が走り回ってるとか、そんな象徴的な西部劇ではなく、その時代の息吹を感じるような現実的な空間として表現された、生の西部の世界を体験できて感動したよ。単なる劇としてのウエスタンではなく、一つの世界として確立していた。
商品には、受け手と作り手がいる。受け手という需要があるから作ることができるわけだが、しかし時として、ユーザーが求めることよりも大切にしなければいけないモノがある。
ロックスターはブレずに信念を貫き通して、筋の通ったものを作り上げた。
3位『デトロイト ビカムヒューマン』SIE/クァンティックドリーム
クァンティックドリームの真髄、ここに極まれり。
ストーリーに特化し、全編をプレイヤーが動かせるムービーとしてゲームを作ってきた同社。
ただ決められたとおりに動かすだけなら映画でやれば充分だが、分岐を多数作りプレイヤーの行動次第で話が変化するという、ゲームだからこそ出来る取り組みにも力を入れていた。
しかし過去作であるファーレンハイトもヘビーレインもビヨンドもそれが成功していたとは言いがたく、選択肢による変化はそれほど大きく運命を変えることはなかったし、無理やり話を繋ぎ合わせて取って付けたような分岐も多く存在した。
しかし、デトロイトがついに今までの欠点を払拭し、クァンティックドリームが本当にやりたかったことを完璧に実現しちゃったんだな。
全編ムービーで作られたような圧倒的な映像クオリティと演技はいつも通りだが、プレイヤーの行動によって違和感なく緻密に大胆に揺れ動くストーリーがとにかく凄い。
今までは結局大まかに決められたストーリーラインをなぞるだけだったが、今作は違う。選択肢による変化はその場だけでなく、それまでの選択による出来事が少しずつ、何重にも積み重なって、結果的に大きな変化をもたらす。まさに自分がストーリーを動かしているという確かな実感がある。
しかも分岐の数は今までの比ではない凄まじい量が用意され、それが全てハイクオリティの映像で動かせるのだからこの作り込みは本当に凄い。ゲームが実現したい目的に向かって、妥協なく本気で作られているのがよく分かる。魂がこもってる。
ストーリー自体はそれほど面白いと思わないが、物語をゲームとして見せる、という点に対してのこのゲームの執念は凄まじい。
PS2のファーレンハイトから一途に続いていたクァンティックドリームの想いは、ついに本物になった。
2位『ゴッドオブウォー 』SIE/サンタモニカスタジオ
映像さえ凄けりゃそれで良いっしょ?と今までグラフィックとカメラワークにしか興味がなかったゴッドオブウォーが、本気でゲームとして面白いものを目指して作ったら、あらゆる面で隙がない、見事なゴッドゲームを作り上げてしまいましたとさ。
1位『モンスターハンター ワールド』カプコン
これの面白さを理屈で語ることは出来る。でも、このゲームにはそんな物差しでは推し量れない、特別な何かが宿っていたとしか思えない。
超ビッグタイトルでありながら、携帯機で停滞していたモンハンが、ついに据え置き機の新作として出た。
しかも、単なる携帯機のバージョンアップではなく、据え置き機でしか出来ない事に挑戦し、見事な進化を遂げていた。そして売り上げは据え置き機のゲームとしては異例の300万本を超える大ヒット。
ポテンシャルのあるビッグタイトルが据え置き機で本気で作られるとどうなるのか。ユーザーはどう応えてくれるのか。その答えが、モンハンワールドにあった。
モンハンの新作を据え置き機で遊びたい、という夢を、カプコンは完璧に実現し、ユーザーも購入という形でそれに応えた。その熱量に俺はやられた。なんというか、あの瞬間、あのタイミングでしか宿らない魔力のようなものが、このゲームにはあった。
発売からたった2週間で俺のプレイタイムは150時間を突破。
あの時俺は、このゲームの魔力に完全に取り憑かれていた。
・今年、気に入った映像作品
3位『ブラックミラー バンダースナッチ』デヴィッド・スレイド監督
分岐を選び、それによって話が変化するというゲーム的な手法を使った斬新な映画。
それも取って付けたようなものではなく、かなり複雑に分岐は入り組んでいるし、隠されたストーリーは多い。正しい?エンディングに導くまでには結構苦労する。
ただ、これを映画でやる必要があるのかというと微妙ではある。ゲームでやればよくね?と思ってしまう。分岐点に戻るインターフェースも洗練されてなくて、正直途中から面倒くさいと思ってしまった。
しかしストーリー自体がゲーム作りを舞台にし、主人公は現実なのかバーチャルなのか次第に分からなくなっていくという構造で、視聴者が映画に介入するというメタ的な仕組みを物語としてリンクさせているのは上手い。引き込まれる。
何も知らずに見てたら急にコントローラーが振動して、選択肢を求められたのがとにかく驚きだったな。
2位『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督
今年話題になったゾンビ映画。
俺自身ものすごーくハードルを上げて観たのだが、なんか想像を軽く超えて面白かった。
単なるサプライズありきの映画だと思ってたが、それは前座も前座で、制作側の情けない部分と情熱が入り混じったモノづくりの風景を、コミカルに軽いノリで描いていたのが見事。
モノを作るってこんなに大変なんだよ、という主題があり、そういうテーマは制作者の思い入れが強すぎてかなり深刻になりがちだが、これはドラマ制作の裏側で起こったドタバタ劇を通して自然に伝えているから押し付けがましさを感じない。
でも話のギミックに制作側の事情が深く根付いている構成なので、自然と映画が伝えたい事を理解させられてしまう。そこが素晴らしい。
要するに明らかに三谷幸喜を意識した作りなのだが、クオリティは全く劣っていない。ラヂオの時間に並ぶ快作。むしろ俺はこっちの方が好きかな。
最後のオチも異様な爽やかさに包まれていて良かった。これは話題になるのも納得。
1位『斉木楠雄のΨ難』麻生周一原作/櫻井弘明監督
はぁ。これは説明できないよ。俺も未だになんでこのアニメがここまで好きなのか分からないもん。
どこが?なぜ?好きなのか?と聞かれても困る。俺はこのアニメの事が全部好きなんだから。嫌いな部分は全くない。
そんな事ってあるのか?と自分でも思うが、本当にあるんだから仕方ないね。
斉木楠雄のΨ難という作品が、俺の心のど真ん中に寸分の狂いもなく突き刺さった、としか言いようがない。
・番外 旧作
『遊戯王5ds ファイブディーズ』小野勝巳監督
カードゲームというご都合主義ありきの勝負になりがちな題材で、ここまで熱い人間ドラマを描けているのは凄い。
異常とも言える自己犠牲の精神と他人との結び付きの執着の裏には大きな闇が存在する主人公。
王者の座から陥落し、失意のドン底に堕ちた元キング。
妹を守るヒーローになりたいと願うが、特別な力を持っている彼女と比べて自分は平凡で、大切な人を守る力もなく、無力さを感じている双子の兄。
デュエルをするだけで人を傷つけてしまう体質に思い悩み、考えることをやめて他人に依存しているヒロイン。
その人が背負っているもの、脆さ、葛藤を丁寧に描き、何のために戦っているのかを明確にしたキャラ描写のおかげで彼らの視線に立ちやすい。
主人公の切り札であるドラゴンは、他のカードが破壊されそうになったとき自らが犠牲になって守るという能力が特徴で、エースモンスターのくせに献身的すぎるが、主人公の人格を考えればそれも納得がいく。こういう細かいところで描写を強化しているのもこのアニメは上手い。
非常にスローテンポなストーリーなのでカタルシスを得られるまで長いが、その分描写の積み重ねは分厚く、キャラの成長に感動してしまう。
伏線の張り方も見事だが、クライマックスにおける盛り上げ方も素晴らしい。
主人公の自己犠牲精神と絆への想いの裏には贖罪の意味が込められていたことを暗示するシーンとか、
考えることをやめていたヒロインが自分自身で道を選び、自信を取り戻して自分で自分を愛せるようになったシーンとか、
平凡な人間である双子の兄が、選ばれし存在では無くても大切な人を守ろうという姿勢だけは崩さずに命を張り続け、結局力及ばず倒れてしまうが、妹から私の最高のヒーローだよと言って貰えて、たった一人にとってだが特別な存在になれたシーンとか、
自分一人で戦っていたつもりだったのに実は絆で結ばれていた事に最後の最後で気が付いたラスボスの切なさを感じるシーンとか。
印象的な場面が非常に多く、長丁場だが終盤全く勢いが落ちなかった。絆というテーマも、最後の戦いではあまりにも押し付けがましかったが、64話もかけてずっとこのアニメが言い続けていたことだから、遊戯王5dsの真意として伝わってくるわ
本当に久しぶりに50話以上で構成された長編を見終えることができたな。そういう満足感も含めて、充実したアニメだった。
・Yata of the year
3位『ゴッドオブウォー 』SIE/サンタモニカスタジ
アクションもカスタマイズもストーリーもS級。映像はもちろんゴッド級。
面白いゲームをやりたいならとりあえずこれ買っとけという一作。
2位『斉木楠雄のΨ難』麻生周一原作/櫻井弘明監督
やっぱり斉木楠雄が大好き!
1位『モンスターハンター ワールド』カプコン
超ビッグタイトル×据え置き機という組み合わせが放つ魔力を宿らせたモンスターゲーム。
今年1年を飾るのに相応しい。
ではでは良いお年をー。
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