あまりにもゲームの世界だった




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PS4のアクションアドベンチャーゲーム。開発はグランゼーラ。

震災を題材にしたゲーム。東北大震災によって発売直前だったオリジナル版が凍結され、販売元のアイレムから制作チームが独立し、色々あってようやく今年販売にこぎつけた。
そうした歴史が詰まっているゲームだが、とりあえず絶望的に面白くない。アクションは作業だし、ストーリーはいい加減すぎるし、初見殺し多すぎだし。
特に面倒なのが目的地が明確に示されないことで、それだけならまだいいが、特定の順番でフラグを消化しないと先に進めないのでやらされている感がめちゃくちゃ強い。
例えば特定の人に話しかけないと鍵を拾えないとか、ある場所に行かないと余震が発生しなくて永久に封鎖が解けなかったりとか。
そりゃゲームだからある程度はフラグを建てる必要があるのは仕方ないけど、これはあまりにもガチガチに手順が決められていて、なんかもうここはゲームの世界なんだなぁという感じがしまくり。
ゲームとしてもプレイヤーが介入できる部分は殆どなく、空腹や渇きなどのサバイバル要素はあってないようなものだし、過去シリーズでは顕著だったアイテムのやり繰りは存在しない。
謎解きも仕掛けも何もなく、ただ決められた手順の通りにフラグを消化していくだけで、ゲームとしてあまりにも退屈だし、何より現実っぽい雰囲気がまるでない。
震災の現実を体験するシミュレーターとして作られているのに、ここはゲームの世界じゃないですよー!という事を誤魔化す工夫が全くされていないどころか、積極的にここはゲームの世界ですよー!と叫んでいるのだから余りにもお粗末。
リアルタイムに建物が倒壊する映像は中々頑張っているが、それも決まったタイミングで発生するので人工的な感じがしまくり。
会社の規模を考えれば仕方ないかも知れないが、もっと工夫できる事は無かったのかと思う。

ストーリーも酷すぎる。全く脈絡も伏線もなく意味不明な結末に流れ込む。3つエンディングがあるが、マトモなオチがない。
これがアイレム時代から続く絶対絶命都市の魅力だって?こんなのは魅力とは言わない。ただの荒唐無稽。こんないい加減で良いなら誰でも出来る。

唯一見所と言えるのは、震災の被害にあった人は無条件で可哀想な人である、とせずに、こうした極限状況だからこそ起きてしまう人間の暗い部分もかなりハッキリと描写しているところかな。
今までの絶対絶命都市は震災をエンターテイメントとして捉えていた節があったが、今作は震災を避けられない現実として真摯に向き合おうとする意図が感じられる。
今の時代だからこそと言える作りだが、そのせいで無理矢理絶対絶命都市感を出したエンディングは噛み合ってないし、ストーリーの盛り上げも弱いのでゲームとしては面白くない。
何より、重く受け止めさせるほどのリアリティがこのゲームには全くない。
アイレムという後ろ盾もなく出来ることは限られているんだから、いつも通りゲーム性を重視した絶対絶命都市を作れば良いのにと思ったが、時代を考えるとどうしてもこういう風になっちゃうんだろうな。