全てがパワーアップ(面倒くさいのも)




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PS4のアクションゲーム。開発はSIEジャパン。

重力を操るゲーム。自由に空を移動したり、えげつない高さから落下する感覚が楽しかったが、前作はハードが携帯機だったため、せっかく立体的な構造ながらあまりスケールを感じ取れないのが残念だった。
しかし、ハードがPSVITAからPS4に変わり、あらゆる部分が超パワーアップ。特に不満点だったフィールドのスケールはとんでもないことになっている。
前作は空中都市という設定ながらほぼ平面的に繋がっていたが、今作は空の至るところに街が浮かんでいて、より空間的な構造になった。もの凄い高度に街があったり、その逆だったり。このアップダウンの激しさは決して他のゲームでは味わえない感覚。
映像の進化も目覚ましく、特に雲の不鮮明でガスがかった表現とか凄い。分厚い雲を突き抜けながら空を徘徊するのが凄くダイナミックで楽しかった。

アクションもパワーアップ。前作は重力一辺倒だったが、今作は他に重さと軽さにフィーチャーした2つの特殊な力が手に入る。それぞれ特徴があり、自由に使い分ける事ができるので、戦闘のアプローチが増えた。
また、全くいらない子だったオブジェクトを浮かしての投げ付け攻撃が非常に有用な手段に。安全地帯からガンガン攻撃できるので非常に楽で素晴らしい。

ボリュームもパワーアップ。単純にメインストーリーは3倍。サブクエストも増え、更にハクスラ要素まで追加され、やり込み要素もかなり増している。
ストーリーは放置されていた伏線がやたらと多かったが、それも見事に回収。次から次へと強敵が登場し、どんどん謎も明かされていき、非常に盛り上がる展開になっている。
このシリーズは魅力的なキャラがとても多いんだよねー。底抜けにピュアで真っ直ぐな主人公はもちろんのこと、小さな役割のキャラにも捻りの効いたエピソードや人間性を与えて、魅力的に見せている。
サブクエもそれなりにストーリー性あるし、話を追いかけるのが楽しかった。

そして、面倒くさいのもパワーアップ。とにかく、一つのミッションが異様に長い。
元々グラビティデイズはアクションゲームとしてはそれほど面白いものではない。重力はゲームシステムのためのアイディアではなく、空中都市や操作感覚が楽しいという要素だ。だから戦闘自体は大雑把だし、駆け引きもないし、そして何より重力特有のフワフワ挙動がアクションとしてはイライラポイントだった。
ただ前作はテンポ重視でスピード感のある作りだったので、底の浅い戦闘はそれほど気にならず、アクションとしては邪魔でしかないフワフワ挙動も味として楽しめた。
が、今作は次から次へと敵が出てくる上に複雑な手順を求められる事が多く、重力の面倒くささとアクションの単調さが思いっきり目立つ格好に。バリエーションが豊富で長くなっているなら良いが、ひたすら同じ事の繰り返しなのでただただ冗長。これはメインだけでなくサブクエも同じ。最初は楽しんで寄り道してたけど、途中からやってらんねーよと放り投げた。
特にステルスミッションはもう勘弁して。前から退屈だったけど、今作はつまらない上に難易度が上がっていて本当に辛かった。しかもメインストーリーでもやらせて来るから鬱陶しい。

と、言うわけで、面倒くさいのも含めてあらゆる部分がパワーアップ。携帯機から解き放たれて重力の操作感や空のスケールは大幅に引き上げられたが、据え置きのガッツリしたスタイルに合わせてか、かなり面倒くさいことになっている。
奥が深いゲームなら面倒くさいのはむしろウェルカムなんだけど、グラビティデイズのような雰囲気重視のシステムで面倒くさいのはただただ単調に感じるだけだから微妙だな。
それでもPS4によってこのゲームのポテンシャルは十分引き出されていた。ストーリーも完結したし、満足。