雰囲気ゲーすぎ




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PS4のアドベンチャーゲーム。開発はPlastic。

パズルやアクションや育成や探索やアイテム集めやストーリーと言った、ゲーム側からこうやって楽しんで下さいねーというおもてなしはほぼ存在せず、世界観や映像美の情緒を自分で感じ取って勝手に浸ってくれよという、まごう事なき雰囲気ゲー。一寸の狂いなくそれ以上でもそれ以下でもない。
その肝となる世界観は、抽象的すぎてこれまた何とも。妊婦の内面世界を現しているらしいが、登場する変な生き物以外は何を意味してるのかさっぱり分からん。というか何で題材が妊婦なの・・・いや、斬新だけど多分妊婦さんやらないよこのゲーム・・・
とはいえ、苦難のあとに解放があるというステージの起承転結はとても明快で、また、ストーリーもなきに等しいが一応プロット的なものはあって、そこの比喩に関してもかなり分かりやすいので、別に妊婦さんじゃなくてもディティールにさえ拘らなければ普通に理解できる内容ではある。
ただ、妊婦の内面世界という世界観の文脈を無視して映像表現だけ見ると、割と普通すぎて退屈。息をのむほど美しくもないし、何かどっかで見たような映像と空気感だし、そこまで特別なものがあるわけではない。唯一、リボンをなびかせながらバレリーナの如く舞う主人公の踊りが美しいくらいか。
この世界観だからこそという仕掛けやコースやシステムも全くないので、操作するユーザーとしても何かただ傍観してるだけって感じ。世界観のインパクトが弱い上にゲームとしてその世界に引き込ませる何かがないから、まるで迫ってくるものがない。いくら雰囲気ゲーだからって映像だけ押し付けられてもね。
雰囲気ゲーとしてそこまで飛び抜けて特別な世界が広がっているわけでもなく、ゲームとしては本当に退屈で、値段も2160円とやたら高いので、よほど雰囲気ゲーが好きな人以外は買わなくて良いと思う。妊婦さんがやったらどう感じるのかは少し気になる。