悪魔の悲鳴と銃声が掻き鳴らすヘヴィーメタル



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PS4とXboxOneのシューティングゲーム。開発はidソフトウェア。

出だし、偉そうな奴がスピーカーから色々と指示や敵の説明をしてくるが、主人公は全く聞く耳を持たずそれを叩き壊す超クールなプロローグから伝わって来る通り、最高にヘビーでメタルなゲームだった。
シューティングと言えば、障害物に身を隠しながら、同じく隙間から撃ってくる小さな的を相手に撃ち合うという消極的な流れが殆どだが、これは全く性格が違う。ひたすらに攻撃的だ。
スムーズに動く軽快なアクション、流れを止めない心地良い操作性、大雑把でいい加減なシューティング精度、隠れるという選択肢がない男らしすぎる悪魔たち。四方から次々出てくる悪魔に囲まれながら、ひたすら走り回って攻撃をかわし、撃ちまくる。ただそれだけ。それだけだが、この小細工なしに力づくで悪魔を粉砕していくスピード感に乗った攻防は楽しすぎる。まさかリロードまで存在しないとは。
特に体術アクションのゴア表現が鮮やかで、このゲームの暴力性を決定的なものにしている。しかもそれで敵を倒すと回復アイテムが散らばり、どんどん体術を狙いたくなる様に誘導しているあたり、巧妙だ。
グロ満載の残虐ゲームだが、ここまで暴力的で、それが一気呵成になだれ込んで来ると、圧倒される。説得力がある。とにかく、単純明快で馬鹿らしくて、楽しい。そう思えるゲームだ。

しかも単なる脳筋ゲーではなく、意外と考えられている。個性のある武器の特性を理解し場面に応じて使い分ける必要があったり、マップが立体的で考えながら動く必要があったりして、手応えはかなりあった。
節目節目ではボスも出て来て盛り上げてくれるし、マップも入り組んでいてアスレチック的に道を突破していくのが楽しいし、探索要素も強くて隠されたアイテムをゲットしたりミッションをクリアーして強化していくのも面白い。
スピード感に溢れた超ハードで暴力的なアクション、という軸が強固でありながら、それ以外もバランス良く要素がまとめられていて実に見所が多い。

欠点は、若干単調なこと。新しい武器がどんどん手に入る中盤まではそれを試すのが楽しくて気にならないが、後半になると実は同じ事ばっかりやっていたと気付かされることになる。あと、ロードがちょい長い。

エイムやリロードすら存在せず、走って撃って殴って、というシューティングのシンプルさを極めた内容は、まさにFPSの元祖であるドゥームの真骨頂。
シンプルさは残虐なアクション性と繋がり、ゲーム全体に一つの勢いある流れを生んでいる。そのテンポ・攻撃性ときたらまるでへヴィーメタルのようなリズム感で、悪魔の悲鳴と銃声が実に良い音を奏でている。安易で薄っぺらいグロゲーには収まらない、唯一無二の魅力を放つ暴力フェスティバルに仕上がっていた。
表現的に人は選ぶが、あぁ、悪魔をブチ殺してやりてぇ・・・という思いに駆られている人なら絶対に買うべし。