タイムトラベラーの苦悩を体感できるゲーム

PS4、PS3のアドベンチャーゲーム。開発はドントノッドエンターテイメント。
ストーリーを中心に作られたゲーム。戦闘や育成や収集と言った能動的な要素はほとんどない。ゲーム進行の軸はプレイヤーの意思ではなくストーリーラインにあり、ひたすらお話を楽しむゲーム。テキストノベルゲーを動かせるようにしましたという感じ。
この手のゲームは、ストーリーを見せるだけなら映画や小説で充分じゃん、と言われないようにするために分岐を用意してプレイヤーの選択によってストーリーが変化するようにしている。これも例外ではない。
が、他と違うのは、選択肢を選んだあとに気に入らなければやり直せる、ということ。何しろ、主人公は時を巻き戻す力を持っている。戻せる時間は限られているが、使用回数など特に制限はなく、L1を押すと高速で映像が巻き戻る演出が面白い。
特徴的なのは、分岐が日常風景の中に何気なく溶け込んでいる場面が多いこと。例えば、ベンチに座っている女性にラグビーボールが当たる光景を目撃したあと、時を巻き戻して、その女性に注意することで危機を回避する。しかし、そのボールが女性に当たらなかった事で寮の窓ガラスにぶつかってヒビが入り、これがある人物の運命を変える。
この感覚は、チュンソフトの傑作ノベルゲーム、428や街と近い。同作も、過去の出来事が密接に未来に影響を与えるゲームだった。
例えば、主人公Aパートをプレイ中に、信号を無視するかしないかの選択肢で「無視する」を選択したとする。すると、主人公Bが乗った車がAを引きそうになり、BはAを注意する。
しかし、このちょっとしたタイムロスで、Bは会うはずだった人物と出会えなくなり、主人公Bパートをプレイした時にゲームオーバーとなってしまう。
こうなったら、主人公Aのパートをやり直し、選択肢で「信号を無視しない」を選ぶことによって、Bは無事にその人物と対面し、物語は進んでいく。
どちらのゲームも、日常の何気ない選択、行動が積み重なって、運命を大きく変えていく。現実の世界でも「あの時ああしておけば良かった」と思うことは多いが、この作品はそんな人生そのものを体現していると言えるし、現実世界でも僕たちは緩く薄い関係で確かに繋がり合っているんだと実感させてくれる。
しかし、428や街と、ライフイズストレンジには大きな違いがある。前者は、いつでも過去を振り返れるフローチャートを利用しながらゲームオーバーを繰り返して正しい選択肢と未来を探す、つまるところ色々と試行錯誤してゴールを目指すというゲーム的な側面が強い作品だった。
一方で、ライフイズストレンジはほんの少ししか過去を戻せないし、特定の場面を除いてゲームオーバーという概念が存在しない。時を巻き戻す力を利用してパズルのように解いていく場面もあるが、基本的に正解はなく、過去を変える事で未来が変わる、というバタフライ効果を体感するのが主な目的となっている。
誰かを救うつもりだったはずの行動が結果的に誰かを傷付けることになる、という事が往々にしてあり、変化した運命に翻弄され、自分の選択が与えた影響を受け入れて先に進まなければならない、というタイムトラベラーの苦悩をダイレクトに共有できる感覚がとても面白かった。
肝心のストーリーは普通。よくあるバタフライエフェクトもの。主人公と幼馴染の友情関係がキモだが、そこに感情移入出来なかったのであまり何も感じなかった。なんというか、親友のクロエが好きになれない。自己中かつ粘着質であまり友達になりたくない感じ。都合の良い時だけ友達面してくるのがまたムカつく。クロエの「私たち親友だよな」感が押し付けがましく、主人公はただ振り回されてるだけで、友達って感じがあまりしないんだよな。
細かな因果の絡み合いは凄い。かなり前の選択があとになって影響を与えたり、今までの積み重ねによって運命が変わったりする。見せ方が違うだけでストーリーそのものが大きく変化するわけでないが、バタフライ効果してんなーとちゃんと実感できる。
そのわりに最後の結末はそれまでの積み重ね関係なく最後の選択肢だけで左右されるんだけどね。最初からやり直すの面倒くさいからこれはこれで有難いけどさ。分岐ありきの無理矢理な展開も多く、違和感を感じる事もままある。
作り込みは凄い。調べられるオブジェクトが大量にあり、特にハイスクールの寮に住んでいる同級生の部屋を勝手に漁れるのが楽しい。芸術系の学校が舞台なだけあってオタク学生が多く、アメリカ的サブカル文化を見て回れるのが面白い。
この行為の過程でもバタフライ効果が発生することがあり、ただ作業的に調べるだけで終わってないのもポイント高い。
現実はやり直せないが、ゲームならやり直せる。でも、やり直したからと言って上手くいくとは限らない、という感覚が面白かった。紛れもなく、ゲームだからこそできるストーリー体験だ。細かな因果の絡み合いを感じさせる作り込みも見事。
ストーリーはちょい残念だが、お話を楽しむゲームが好きなら買い。

PS4、PS3のアドベンチャーゲーム。開発はドントノッドエンターテイメント。
ストーリーを中心に作られたゲーム。戦闘や育成や収集と言った能動的な要素はほとんどない。ゲーム進行の軸はプレイヤーの意思ではなくストーリーラインにあり、ひたすらお話を楽しむゲーム。テキストノベルゲーを動かせるようにしましたという感じ。
この手のゲームは、ストーリーを見せるだけなら映画や小説で充分じゃん、と言われないようにするために分岐を用意してプレイヤーの選択によってストーリーが変化するようにしている。これも例外ではない。
が、他と違うのは、選択肢を選んだあとに気に入らなければやり直せる、ということ。何しろ、主人公は時を巻き戻す力を持っている。戻せる時間は限られているが、使用回数など特に制限はなく、L1を押すと高速で映像が巻き戻る演出が面白い。
特徴的なのは、分岐が日常風景の中に何気なく溶け込んでいる場面が多いこと。例えば、ベンチに座っている女性にラグビーボールが当たる光景を目撃したあと、時を巻き戻して、その女性に注意することで危機を回避する。しかし、そのボールが女性に当たらなかった事で寮の窓ガラスにぶつかってヒビが入り、これがある人物の運命を変える。
この感覚は、チュンソフトの傑作ノベルゲーム、428や街と近い。同作も、過去の出来事が密接に未来に影響を与えるゲームだった。
例えば、主人公Aパートをプレイ中に、信号を無視するかしないかの選択肢で「無視する」を選択したとする。すると、主人公Bが乗った車がAを引きそうになり、BはAを注意する。
しかし、このちょっとしたタイムロスで、Bは会うはずだった人物と出会えなくなり、主人公Bパートをプレイした時にゲームオーバーとなってしまう。
こうなったら、主人公Aのパートをやり直し、選択肢で「信号を無視しない」を選ぶことによって、Bは無事にその人物と対面し、物語は進んでいく。
どちらのゲームも、日常の何気ない選択、行動が積み重なって、運命を大きく変えていく。現実の世界でも「あの時ああしておけば良かった」と思うことは多いが、この作品はそんな人生そのものを体現していると言えるし、現実世界でも僕たちは緩く薄い関係で確かに繋がり合っているんだと実感させてくれる。
しかし、428や街と、ライフイズストレンジには大きな違いがある。前者は、いつでも過去を振り返れるフローチャートを利用しながらゲームオーバーを繰り返して正しい選択肢と未来を探す、つまるところ色々と試行錯誤してゴールを目指すというゲーム的な側面が強い作品だった。
一方で、ライフイズストレンジはほんの少ししか過去を戻せないし、特定の場面を除いてゲームオーバーという概念が存在しない。時を巻き戻す力を利用してパズルのように解いていく場面もあるが、基本的に正解はなく、過去を変える事で未来が変わる、というバタフライ効果を体感するのが主な目的となっている。
誰かを救うつもりだったはずの行動が結果的に誰かを傷付けることになる、という事が往々にしてあり、変化した運命に翻弄され、自分の選択が与えた影響を受け入れて先に進まなければならない、というタイムトラベラーの苦悩をダイレクトに共有できる感覚がとても面白かった。
肝心のストーリーは普通。よくあるバタフライエフェクトもの。主人公と幼馴染の友情関係がキモだが、そこに感情移入出来なかったのであまり何も感じなかった。なんというか、親友のクロエが好きになれない。自己中かつ粘着質であまり友達になりたくない感じ。都合の良い時だけ友達面してくるのがまたムカつく。クロエの「私たち親友だよな」感が押し付けがましく、主人公はただ振り回されてるだけで、友達って感じがあまりしないんだよな。
細かな因果の絡み合いは凄い。かなり前の選択があとになって影響を与えたり、今までの積み重ねによって運命が変わったりする。見せ方が違うだけでストーリーそのものが大きく変化するわけでないが、バタフライ効果してんなーとちゃんと実感できる。
そのわりに最後の結末はそれまでの積み重ね関係なく最後の選択肢だけで左右されるんだけどね。最初からやり直すの面倒くさいからこれはこれで有難いけどさ。分岐ありきの無理矢理な展開も多く、違和感を感じる事もままある。
作り込みは凄い。調べられるオブジェクトが大量にあり、特にハイスクールの寮に住んでいる同級生の部屋を勝手に漁れるのが楽しい。芸術系の学校が舞台なだけあってオタク学生が多く、アメリカ的サブカル文化を見て回れるのが面白い。
この行為の過程でもバタフライ効果が発生することがあり、ただ作業的に調べるだけで終わってないのもポイント高い。
現実はやり直せないが、ゲームならやり直せる。でも、やり直したからと言って上手くいくとは限らない、という感覚が面白かった。紛れもなく、ゲームだからこそできるストーリー体験だ。細かな因果の絡み合いを感じさせる作り込みも見事。
ストーリーはちょい残念だが、お話を楽しむゲームが好きなら買い。
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