典型的なキャラ萌えゲー



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PS4、PS3、PSVITAのアクションRPG。開発はガスト。

アクションのノウハウに乏しいガストだが、コーエーが関わってるだけあって、意外とレスポンスが良い。動きは軽快で、サクサク反応する。モンスターを召喚して一緒に戦うシステムがあるが、4体フルに連れ立っても処理落ちは殆どない。
が、だからと言って面白いかと言うとそれはまた別の話で、アクションは薄っぺらい。基本的にゴリ押しで何とかなる。タイミングや相性とか考えず適当に使用可能な技を連打していれば何とかなる大雑把なゲームバランス。時間制限で緊張感を出そうとはしているが、あんまり機能していない。ヒット時の手応えが弱いからアクションとしての爽快感も薄いし、逆に自分が攻撃受けた時も反応が弱いのでいつの間にか死んでるという事が多々ある。
流石にボス戦はそこそこ上手く立ち回る必要があるが、変身してサイヤ人状態になればやはりゴリ押せるため、単純。
全体的な作り込みもスカスカで、マップはハリボテだし、それなりにスケールのある設定を作ってる割には閉じられた世界の中でしか話が展開しないからこじんまりと感じられるし、ストーリーも短い。低予算ゲーの切なさを感じる。

が、何故だかやめられない。面白い、と思える部分は殆どないが、だらだらとやり続けてしまう微妙な中毒性がある。
例えば戦闘。考えながら行動する必要性はほぼ無いゲームバランスだが、逆に言うとサクサク進むからテンポが良いし、召喚獣への指示や武器の変更、召喚獣入れ替えなど、アプローチの幅は広いから、色々なボタンをガチャガチャ押してるだけでも何となく必死に戦ってる感がある。ボス戦にしても、そこそこ苦戦させられたあとに、変身を使って一気に押し込めるのがカタルシス。
ストーリーのテンポも良く、目的を果たす毎にゲージが溜まって次々と章が完了とされていくのが何だか爽快。どんどん進めていこうという気になる。
逆にレベルは全く上がらないのだが、一つ上がる毎に出来ることが一気に増え、戦術がガラッと変わる感覚が面白い。持続的に新しい側面を見せてくれる事で、単調になりがちなところを抑えている。

作り込みはスカスカで、ここがウリで光っているという部分もないが、テンポの良さ、飴と鞭のバランス、単調を感じさせ無い工夫など、老練とした作りで、プレイヤーのツボを絶妙に付いてくる。流石RPGを作り慣れているガストなだけあって、上手さを感じさせられる。
言い換えると無難で特徴が無いという事でもあるのだが、唯一個性と言えるのが百合を全面に押し出したキャラクター。
が、これが酷い。最初から関係が築かれた状態で始まり、百合以前に恋愛ドラマとして薄っぺらすぎる。イベントも既に出来上がった愛を確認するものばかり。
感情の共有もないままに恋愛描写ばかり押し付けられても、何も伝わって来ない。まして同性愛という、言い方は悪いが、普通とはちょっと違った形の恋愛を題材にしているのだから、そこに至るまでの過程をじっくり描いてくれないと感情移入のしようがない。
ただこれでは百合を見せる為に百合をやっているだけ。そこに伝えたいメッセージは何もなく、お前らこういうのが好きなんだろという作り手の魂胆だけが透けて見える。

で、ストーリー。常の夜とかいう諸悪の根源がいて、普通のやり方じゃ倒せないから生贄を捧げる必要があって、その条件に当てはまったのが主人公の百合相手で、でも実は常の夜は召喚された魔物で、倒しても結局復活するから意味がなくて・・・という、どこかで見たような話が展開される。どこかって言うと、FF10なんですけど。
FF10の場合は、常の夜の立ち位置にシンという怪物がいて、とても強大な存在として感じられるように描かれていたのに対し、このゲームは常の夜の実態が殆ど見えず、何のために戦っているのかという部分が弱い。
そもそも、とにかく百合描写を見せておこうという、表面的な事に気を取られ過ぎてストーリーラインがガタガタ。
何か伝えたい事があって百合を題材にしたのではなく、単にキャッチーだから、キャラ萌えとして映えるから、という理由だけで作られている典型的な、表面だけのキャラ萌えゲーだった。
まぁでも、今の市場の傾向を見るに、キャラで釣っただけのゲームであるのは分かりきっていた事か。売れる事は大事だもんな。