本当に俺がバットマンだった





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PS4のアクションゲーム。
開発はrocksteady。

バットマンらしさとゲーム性を両立させるステルス、コンバットアクションを完成させたアーカムアサイラム。
バットマンの滑空能力を軸に、バットマンらしさと移動の快適性を両立させるオープンワールドを作り上げたアーカムシティ。
rocksteadyの作るバットマンは、単なるキャラゲーとしてクオリティが高いだけではなく、バットマンの性質を上手いことゲーム性に落とし込め、ゲームとしても面白いものに仕上げていた。

で、今作。
本作の魅力は何と言ってもバットモービルに乗れること。とにかくクオリティがヤバい。
メタリックのようにテカテカ光る映像がカッコ良いのは勿論だが、L1ボタンを押すだけでリモートで駆け付けたバットモービルにバットマンがシームレスに乗り込んでそのまま走り回れるのが快適だし絵的にもクールすぎる。
わざわざモービルに走り寄ってボタンを押して乗るみたいなダサい事をする必要はない。空中からダイブしてそのままモービルに乗り込んだり、モービルから射出してグラインドするという事も可能。実にカッコ良くバットマンを演じる事が出来るわけだ。
これまでも、愛のあるキャラクター表現、ハイレベルな映像、質の高いステルス、コンバットアクションのおかげで十二分にクオリティの高いバットマンごっこが遊べたが、最後のピースだったバットモービルの登場により、ついにこの道は極まった感がある。
例のCMにある、俺がバットマンだと言う叫びは、まさしくこのゲームの本質を突いている。

今作はこのバットモービルをふんだんに活かしたゲームデザインとなっているのだが、謎解きは面白かった。モービルのスピードやパワー、リモートコントロールなど、今までのシリーズには全くないアプローチを活用した仕掛けが満載でとても新鮮。
また、バットモービルは戦闘モードに変形する事ができ、敵のドローンや戦車と戦う事になる。バットマンは不殺を信条としているため、肉弾戦が基本であまり派手なアクションは無いのだが、モービル戦は無人車両機が相手なため容赦無くミサイルや機銃をぶっ放す事ができて今までのバットマンにはあまりなかった爽快感を生み出していた。
ただ、最初は良いんだけど段々ダレてくるんだよね。あまりにもクドいから。車両戦闘自体は底が浅くて単調だから新鮮味が無くなるとつまらないアクションでしかないのだが、とにかく敵の数が多いし、やたらと難しいし、似たようなシチュエーションが頻発するからイライラさせられる。何回やらせるんだよ本当に。
バットモービルは、クオリティは凄いし、謎解きは面白いし、乗り回してるだけでも楽しいので、充分満足できるレベルではあるが、キャラゲーとしての演出の側面が強く、コンバットやステルスシステム、オープンワールドほど、ゲームに上手く落とし込めてはいないなと感じる。

あとはいつものバットマン。基本的にやってることは変わらない。
今作はステルスを求められるシチュエーションがあまり無かったが、そのぶん難しい。対バットマンに特化した組織が敵であるため、こちらの癖を付いた、実に嫌らしい動きをしてくる。
ダクトにフレアを放出したりとか、敵を気絶させても衛生兵が復活させに来たりとか、一度引っかかった罠は再度通用しなかったりとか、学習して動いてくるのが手強い。
これはやりごたえあるし、単に難しいだけでなく、あらかじめフレアの機械を破壊したり衛生兵を倒しておくという対抗の手段がプレイヤーにはあるわけで、より戦略性が上がっていると言えるが、ちょっと面倒くさいなとは感じた。
ただでさえステルスプレイは敵の動きのルーチンや死角を見計らって動かないとならない面倒くさいものなのに、そこに更に考えさせられる要素が付け加えられたせいで、情報量が多すぎてかったるい。戦略性を感じる前に、ステルスが上手くいかない事にイライラさせられた。もうちょっとテンポ良くステルス出来るようにして欲しかったな。
特にガジェットが一切通用しない敵をステルスマップに配置するのは勘弁して欲しい。これは対抗手段もないし、ただ面倒くさいだけ。

ストーリーは普通。最後らへん、言葉で語らず映像表現でテーマを見せてくれる演出が面白かった。
ストーリーよりもキャラが魅力的なのが個人的には良かった。海外のゲームはプレイヤー自身が主人公になること、または次々に派手なアクションが起こるテンポを重視しているため、ストーリーに個性を持ち込もうとせず記号化し、そのためキャラもあまり魅力的に見せてくれないものが多いが、流石にこれはバットマンを題材にしたキャラゲーなだけあって、とても印象的に描かれている。
特にタイトルにもなっているアーカムナイト。バットマンと同じようにパワードスーツに身を包め、バットマンの戦い方を徹底的に研究した、対バットマンのエキスパート、という存在で、実にライバルとしてキャラが立っていた。
なのに、あんまりなのがボス戦。魅力的なボスキャラが、戦闘では雑魚すぎて本気でつまらない。
別に弱くても、そのキャラならではの戦いが繰り広げられたら満足なのだが、普通のコンバットやステルスに紛れて出て来たりとか、そんなのばっかりでボス戦と呼べるボス戦がない。アーカムナイト戦とか本気でガッカリ。今までのシリーズはボス戦もユニークで面白かったのに残念過ぎる。

基本的にやってることはアーカムシティと変わらないが、バットモービルに乗れるだけでも大変革だった。バットモービルのアクションは本当に素晴らしい。
バットマンを演じる、という意味では完全に究極に到達した感がある。キャラゲーとしては完璧だと言わざるを得ない。
一方で、ゲームとしては一段落ちちゃったなという印象。本来キャラゲーとゲーム性は両立しにくいので高望みし過ぎな気はするが、過去作ではそれをやってのけたわけだからどうしてもハードルが高くなっちゃうね。
でも、俺がバットマンだ!をするのが本命のゲームであるし、その願望は十二分過ぎるほど満たしてくれるので、バットマン好きなら絶対買うべきだね。