とりとめがない




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WIIUのRPG。開発はモノリスソフト。

とにもかくにも目を引くのがフィールドのスケール感。
グランドキャニオン並みにそり立つ崖、地面に突き刺さった超巨大な円盤、見上げるほどデカい植物、遥か上空に見える浮き島、絶壁の崖と崖を結ぶ細い道、マグマの中にそびえ立つ巨大な神殿やコロシアム。
もう目に映るもの全てのスケールが規格外で圧倒された。とにかく立体的で、起伏に満ちている。広さという意味でも申し分ないが、それ以上にマップの作りがあまりにも大胆で惚れ惚れした。
このフィールドを最大限活かしているのが、キャラの超スペック。どこまでも走れる無尽蔵のスタミナ、無重力空間にいるかのような跳躍力、どれだけの高さから落下してもダメージを受けることのない衝撃耐性。
キャラの超身体能力により、フィールドを縦横無尽に駆け回る事が出来るのだが、マップの構造がまたアスレチックのように立体的かつ入り組んでいて、アクション感覚で踏破していくのがとても面白かった。特に馬鹿げた高さの滝や崖からダイビングした時のタマヒュン具合は凄まじいものがあり、このゲームのスケールの大きさを身を以て思い知らされる。
まぁそのキャラの超スペックを持ってしても本作のフィールドの規模は行き過ぎているため段々と移動が面倒臭くなってくるのだが、中盤から更なるハイスペックを備えたガジェットが使用可能になる。
ロボットである。そう、乗れちゃうのであるロボットに。ロマンの塊に。しかも終盤からはロボットで自由に飛び回ることも出来る。
ロボットを動かせるというだけでも興奮ものだが、このゲームのマップの中で動かせるという事に大きな意味がある。
散々回り道を強いられた崖をロボットのブーストであっさり超える快感がその一つだ。もう本当に移動が大変なゲームなので、全ての障害物を無視してひとっ飛び出来るようになった時の解放感は素晴らしいものがあった。入り組んだ道に右往左往しながらルートを開拓していくのもこのゲームの楽しさだけど、苦難が極楽に変わる時というのは、カタルシスを感じ取れる至福の瞬間だ。良いメリハリだと思う。
更に、ロボットのブーストさえあれば、人の足では到達不可能だった場所も開拓することが出来る。これだけ立体的でスケールのあるマップを作っていながら、それがハッタリでないのだから恐れ入る。
このゲームのオブジェクトや地形は、単なるスケールを作り出すためだけの飾りではない。それは全てアクセス可能な道なのだ。目に映るもの全てに足を踏み入れることが可能という信じられない事をやってのけている。だからフィールドのスケールが等身大の迫力で伝わって来る。
スケールがあるのはそれだけじゃない。そこら中を闊歩しているモンスターがまた馬鹿みたいにデカい。フィールドもモンスターもオブジェクトも常識外れのスケールに満ちていて、このゲームの設定である、未知の惑星に不時着したという部分に真実味を与えている。途方も無いところに来てしまったという未知のワクワク感は存分に発揮されていた。
前作のゼノブレイドもフィールドの手間のかけ方は尋常じゃなかったが、今作をそれを遥かに上回る。
マップの境目がなくなってシームレスだとか、映像がHDになったとか、そんなのは些細な事。このゲームのフィールドに整合性なんてものは欠片もないが、リアリティなんかどうでも良いから、とにかく面白いものを詰め込もうという意思が徹底されている。この大胆さが気に入った。
オープンワールドはとにかく物量が求められるのでどうしても密度よりもボリュームを優先しがちでそれ故に平坦な地形と似たような風景が続くテンプレートの集合体の域を出ないものが多いが、このゲームは一切それが感じられない。マップデザイン、という点だけで見れば数あるRPGの中でもトップクラスに位置する出来映えだ。

なのに、全く探索しようという気にならないのはどういうことなのだろう。
いくつも理由はあるのだが、一番大きいのは新しい発見の喜びがまるで無いところだろうか。
探索とは、本来クリアーに関係の無い行動である。
では、何故そんな無駄な行動が楽しみとして成立するのかというと、見返りという形で報いてくれるのが大きい。
特にそのサイクルが顕著に表れているのがゼルダの伝説だろう。如何にもという場所にハートの欠片が置いてあったり、マップの辺境に街があったり、思わぬ場所で思わぬイベントが起こったりと、とても分かりやすい形で探索に報いてくれる。そういう発見があるから、あそこには何があるのだろう、向こうには何が待っているのだろう、と好奇心を駆り立てられ、また探索しようという気になる。
ところがゼノブレイドクロスは、そういうのがまるでない。探索してもイベントや街が見つかる訳でもないし、洞窟の奥に辿り着いても何もないし、如何にも何かありそうという場所に辿り着いても経験値が手に入るだけ。レアボスみたいなのもいるが大抵レベルがかけ離れてるから歯が立たないし、そいつを倒して強そうな装備を手に入れてもレベル制限で使えなかったりするのでガックリくる。
逆にアイテムだけは異様なペースで袋に入れられていくのだが、雑多過ぎて何が何に使えるのか把握出来ないし、あまりにもどんどん手に入るから有り難みがない。例えレアなアイテムを入手したところで何に使えるのか良く分からないから何の感動も無しに終わる。このゲームは、探索の苦労に分かりやすくアクションを返してくれない。
ゼノブレイドクロスのフィールドは確かに凄いが、ガワだけだ。単調になりがちな移動に面白味を見出し、風景や入り組んだ地形を堪能する「散策」という意味では申し分ないクオリティを誇るが、好奇心を駆り立てる「探索」という意味での密度は薄いと言わざるを得ない。
だから無駄に移動しているだけという気分にさせられる。このフィールドはアスレチックやロケーション的な意味で面白いだけであって、RPGとして有意義なものではない。

前作のゼノブレイドは、ここら辺のバランス取りがとても優れていたんだよね。
ゼノブレイドはストーリーの進行に合わせてマップを踏破していくという作りで、要所要所で山場があった。街が見つかったり、新しい出会いがあったり、ストーリーが起こったりと、自分の進行とシンクロしてどんどん世界が広がっていく感覚があった。
要するにそれぞれのマップにゴールが設定されている所謂レール型と呼ばれる類いのもので、自由度が持て囃されている昨今こういう作りのゲームはあまり歓迎されないが、ゲーム側で調整した演出のレールに乗せられるからこそ、展開に起伏が感じられ、大団円に向かって突き進んでいるという実感がある。
それでいながらゼノブレイドは、マップが単なる目的の為だけに進む道ではなく、彷徨いながらようやく目的地に辿り着くという、王道RPGの構造を持っているのだが、その規模が半端じゃなく、とてつもなく広くて立体感のあるフィールドを作っていたので、冒険したという充足感はとても濃いものがあった。ストーリーと冒険のバランスが高いレベルでまとまっていたのが、ゼノブレイドの特徴だ。
一方ゼノブレイドクロスは、ストーリーも寄り道も任意のタイミングで行えるようにとクエスト中心の進行になっており、話に沿って進むのではなく、進行に縛られず自由に遊べるという点を前面に押し出している。
クエストで物語が小分けにされているので話はブツ切りに感じられ、ストーリーに熱量があった前作に比べるとグイグイ引っ張られるものはないが、そこはこのゲームの構造上仕方ない事ではある。
しかし、この手のゲームはストーリー性を犠牲にした分サブクエストを濃くして補ってるものが多いのだが、これがまた薄っぺらいのだからガックリくる。クエストの中身は、何々を持ってこいとか何々を倒して来いとか、そういう類いのものが多く、その対象がちゃんと話と関連付けられているならまだしも取って付けたようなものばかりで、無理矢理過程を作りました感がありあり。
作業感丸出しなクエストが殆どなためさっさと終わらせようという気にしかならないのだが、ここでこのゲーム最大の魅力であるはずのフィールドが障害として立ちはだかる。
広すぎる上に崖などに遮られてるところが多いからルートが分かりにくく、ものすごく時間を取られてしまうのだ。
更に邪魔してくるのがモンスターの存在。このゲームはそこら中にプレイヤーのレベルよりも遥かに高いモンスターが彷徨いていて、この無秩序な詰め込みっぷり自体は未知の惑星という雰囲気があって良いのだが、一度エンカウントすると執拗に追いかけて来るのが鬱陶しい。当たり判定がRPG的な大雑把さなので、明らかに届いてないだろうという距離を取っていたり壁を挟んでいたりしても平気で攻撃を食らうし、中々追跡をかわせず本当に嫌になる。
探索とは自分から好奇心に惹かれて自発的に行ってこそ面白いのであって、そういう気にさせる作りであれば、モンスターとの鬼ごっこや入り組んだフィールドの構造も探索の臨場感を高めてくれるファクターとして機能するが、このゲームは作業で無理矢理マップを駆け回させるという受け身の形でしかアプローチ出来ておらず、目的の為に仕方なくマップの中を探索するという気分になりがち。結果、美点であるはずのマップの作り込みが邪魔な障害に感じられてしまう。
未知の惑星に不時着して探索するという設定なので自由度ありきのゲームデザイン自体は悪くないが、その方向性でありながら、自発的に探索させようという気にさせるアプローチが出来てないのは致命的過ぎる問題だ。
フィールドと自由度を押してるのにプレイヤー自ら探索しようという気にさせる誘導は出来てないし、フィールドの構造は凄いのに受け身なアプローチしかないので逆に仇になってる。何かもう本当に噛み合ってないね。

いや、それだけならまだマシか。大陸の場所だけ指してあとは全くノーヒントで何のアテも無しにアイテムを探せという劇的にやる気を無くしてくれるメチャクチャな仕様に比べれば。うん、こんなクソみたいな条件のクエストが割と挟まってくるんだよね。
何回も言ってる通り、本作のフィールドは広大だ。しかし、大陸の種類自体は5つしかない。つまり、一つ一つの大陸がめちゃくちゃ広いのである。だけでなく、かなり入り組んでいる。そんな中から、ノーヒントでアイテムを探せと言ってくる。これは正気の沙汰じゃない。
しかもキズナクエストで割と頻繁にそれを求めて来るのがタチ悪い。キズナクエストとは、特定のキャラクターに焦点を当てたストーリーが展開されるクエストで、サブクエストの中でも中身がある方だからまだやる気が起きるのだが、上のような条件を突き付けられる事が多いので嫌になった。
他にも、一定のレベルに達してないと受注出来なかったり、任意のキャラをパーティに加える必要があったり、一度受注してしまうとクリアーするまで他のキズナクエストやストーリークエストが受けれなかったりと、やたら面倒な仕様が詰め込まれていて積極的にこちらのやる気を削いでくる。
けど、やらざるを得ないんだよな。何故ならストーリークエストの条件に特定のキズナクエストをクリアーしろというのがあるから。
ストーリーを進めたいと思ってもキズナクエストに阻まれ、仕方ないからそのキズナクエストを受けようと思ったらレベル制限に阻まれ、ようやくそのレベルに達して受注出来たと思ったら今度はノーヒントでアイテムを探して来いと言われて、と、クソみたいなサイクルが展開される。
たとえ目の前の目標が嫌になっても違う遊びで気を紛らわせられるのがオープンワールドの美点だが、このゲームは一度ストーリークエストやキズナクエストを受注すると他のキズナクエストは受けられない。
それ以外のサブクエストは可能だが、この間はパーティの変更も出来ないからレベルの低いキャラを仲間に入れていると攻略の難易度が高くなって思うように進まなくなるし、主力キャラを外していた場合はレベル上げもままならない。結局、目の前の難題に専念せざるを得なくなる。
自由度を押してるはずなのに、このゲームは自分のペースで遊ばせてくれない。あまりにも窮屈だと言わざるを得ない。

でも、やりたいことは分かる。
キズナクエストはそれなりにキャラクターを掘り下げる役割を果たしているのである程度こなさせないとストーリーにドラマ性が感じられないし、ストーリーやキズナクエストの中断が出来ないのも物語性がある部分はなるべく間を置くこと無く熱を保ったままやり切って欲しいという思いがあるからだろう。ストーリーを盛り上げるための調整だ。
海外のゲームはあえて調整や演出をせず、ユーザーの想像力に委ねてプレイヤーの感じ方次第としているものが多い。それはプレイヤーがそのゲームの主人公であるという意味でまさにロールプレイングではあるが、ある程度ゲーム側から介入しないと、盛り上がりは生まれず単調で味気ないものになってしまうのも事実。
本作はクエスト中心の作りからして、リニアな構造を取っ払ってプレイヤーの想像力に委ねるゲームを目指しているのは分かるが、ストーリークエストやキズナクエストの押し付けがましい仕様、更にやたらと長いムービーを見るに、ストーリーと自由度の狭間で相当な葛藤があったのが垣間見える。
そりゃそうだ。ゼノシリーズは元来ストーリーを第一に優先してきたゲームだ。ストーリーへの拘りを捨てる事は出来なかったのだろう。

日本のゲームは、遊びの幅よりも、スタッフが頑張って考えたシステムやストーリーを強調する事を優先する方向でコンセプトが考えられているものが多い。
作り手がここを見て欲しいという部分を嫌という程押し付け、プレイヤーはそれに合わせろというのが日本の伝統的なゲームデザインだ。
それは時に批判されることもあるが、俺は決して悪い事だと思わない。
何故なら、作り手の熱量を感じる事が出来るから。その熱量がゲームにとって良い影響になるか悪い影響になるかは作り手のセンス次第だが、間違いなく言えるのは、ゲームに勢いを生んでいる事だ。
その勢いに乗せられて、こちらもガーッと入り込む事が出来る。押し付けがましいのは、日本のゲームの美点だ、と俺は思う。
だけど、このゲームは中途半端。自由度とオープンワールドを中心にしてストーリーはそれなりに演出するという、上手くないやり方を取ってしまった。
逆だよなぁ。ストーリーは核になり得るが、自由度やオープンワールドはあくまでその世界でプレイヤーが行動しているという臨場感を作り上げるためのファクターであり、その目的を達成させる手段として採用するものでしかない。ただ自由です、どこでも行けますというだけで終わっては何の面白さも生み出さ無いわけで、故に、何のビジョンも無しにこの二つの要素ありきでゲームを作ってしまうと面倒臭くてあやふやなものにしか生まれ無い。
まさしくこのゲームがそれだ。ゼノブレイドクロスは完全にその二つの要素が先行している。そこがこのゲームの最大の問題点だ。だからあらゆる部分が漠然としていて噛み合ってない。RPGとして機能してないガワだけのオープンワールドはその際たる例だ。

ゼノブレイドは前世代でもトップクラスの評価を得た日本のRPGで、その評価を返上しないためにも、大作で最も需要のある自由度とオープンワールドに着目したのだろうが、そこを意識し過ぎたね。
この二つはあくまで臨場感を構築するための要素に過ぎないのに、ここさえ伸ばせばとりあえず凄いものになるだろうという、安易な考えに陥ってしまってるなと感じる。ビジョンが貧相だと言わざるを得ない。
でも長くなり過ぎたから面倒臭くて触れなかったけど、戦闘はカスタマイズ要素やアプローチが豊富で考えた分だけ応えてくれる深さがあって面白かったし、ストーリーもズッコケざる得ないオチだったりブツ切りで入り込みにくかったりはするが割と先が気になる感じでモチベーションになった。何よりフィールドの構造は突き抜けた凄さがある。要素要素で見れば、決して悪いゲームではない。むしろとても輝いている。
それだけに、まとまりがないのが残念で仕方ない。要素をまとめあげる明確な軸があれば、と思わざるを得ないね。