獣日記。ネタバレ注意。狩人の夢まで



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ブラッドボーン、買いました。楽しんでます。そして、苦しんでます。フロムのRPGではいつもの事です。プレイ日記を始めますが、きっと苦難に満ちたものになるでしょう。苦しみ、試行錯誤し、時には人間性にまで踏み込んだ、獣狩りの夜の記録を綴っていきたいと思います。

“一人の男がいた。彼は獣の病を患い、もはや人間でなくなろうとしていた。人間としての理性が失われつつある中、最後の望みをかけて古都ヤーナムを訪れる。そこには古い医療があるという。治療の手立てがあるかもしれない。
だが、街には医療を求めて多くの病み人が訪れ、奇病を蔓延させていた。ヤーナムにかつての面影はなく、病と血が充満した街路には獣憑きの人が蠢いている。獣狩りの夜が幕を開けた。”

キャラクリエイト。性別は男。名前はやたさん。顔はどうしよう。いつもはランダム作成で適当に作られた良い感じの顔に決めてるけど、今回はその機能がない。仕方がない、自分で作るか。無味乾燥な主人公を動かすのは味気ないしね。ブラッドボーンは存分に楽しみたいから。
今作は主人公の過去を選択することで能力の初期値が決まるみたい。これは丁度良い。そこから膨らませて顔を考えるとしよう。顔はその人の生き様を如実に現すからな。選んだ過去は一族の末裔。それを元にして彼にバックボーンを与えるとする。

男は生まれながらにして器ではなかった。ある高名な一族の女から生まれた彼は、幼い頃から一族の名に恥じない高貴な人間になるべく苛烈な英才教育を受けたが、当の本人に一族のプライドを背負う気はさらさらなく、親の望む境地に全く近付く事なく成人した。
彼は良く知っていた。大事なのは振る舞いではなく、名前だと。一族の名前さえあれば、何をしても許される。いくら小綺麗な服を身に纏って機械のように精密な動きをして高貴な姿を装っても彼の目には道化にしか映らなかった。彼は幼い頃から何度も見ていたのだ。親が気に入らない人間は、アリを踏み潰すかの如く処刑される様子を。どうやらこの一族にとって、ネクタイが歪んでいるのは恥らしいが、人を殺すのはその範疇ではないようだった。初めて人が殺されるのを見たときから、彼は真面目に教育を受けることをやめた。
だが、さして彼にやりたいことや目標があったわけではない。一族の傲慢さに呆れながらも、そこから抜け出そうとはしなかった。単に面倒くさいのだ。一族の庇護のもとにいれば何をすることなく好きなものが手に入り、美味しい食べ物にありつけ、フカフカのベッドで眠ることができる。人が死ぬのは嫌いだが、処刑を注意しようとは思わない。面倒くさいのだ。自分がカリスマ性を発揮して一族の生き方を抜本的に改革するシミュレーションを何度も頭の中で行ったが実際に実行したことはない。面倒くさいのだ。ただ何をすることもなく、ぬくぬくと日々だけが過ぎ去って行った。そして彼はある日、獣の病を患った。
堕落した息子を日頃から良く思っていなかった両親は、大義名分を得たとばかりに彼との縁を切った。突如として一族の庇護を失い、更に奇病まで患った男は、焦った。死ぬのは怖い。両親が知らなかったことを彼は知っている。死は、人の可能性を一切の余地なく摘み取ってしまう、ということを。生きてさえいれば希望はある、それが彼の信条だった。
しかし病状は悪化する一方だ。パトロンもいない。もはや面倒くさいと言っている場合ではなかった。生きる為に、彼は自らの意思で動き始める。

うん、主人公が背負ってきた人生はこんな感じで。典型的なダメ人間だけど、超人にするよりは親近感があって入り込みやすい。では、ゲームスタート。

目を覚ました場所はどこかの診療所。やたさんはどうやら無事ヤーナムの医療に辿り着いたようだな。しかし医師の様子がおかしい。そもそもこいつ医者なのか?山高帽と毛で顔は隠されている。明らかに治療する立場の風貌ではない。診療所の中も一切の明かりがなく薄暗い。何をする気だこいつ。

「まずはヤーナムの血を受け入れろ」

え、いや遠慮しときます。だってこの街、病が蔓延してるし。その血に何が混じってるのか分かったもんじゃないし。
そんなやたさんの意向は無視され無理矢理輸血を受ける羽目になる。次第に意識は薄れ・・・

「狩人様を見つけたのですね」

目を覚ますと医者の姿は消えていた。やたさんはベッドから起き上がる。
奥の方から音が聞こえた。嫌な予感がするが反対側の扉は鍵がかけられている。行くしかない。
足元を見ると色白のガリガリ小人が湧いて出て来た。お世辞にも可愛いとは言えない。顔は醜悪。だが害はないようだ。巻かれた羊皮紙を持っている。読めってことか?

「狩りの時間だ」

成る程ね。今回はお前らが他世界の住人の言葉を紡いでくれるのね。

音の正体は獣の食事だった。死体を貪っている。幸いこちらには気付いていない。
あれが獣の病が進んだ人間の成れの果てか。身体は黒い毛で覆われ、手と足からは鋭利な爪が生えている。更に口と鼻は獲物を捕らえるために特化した形状に変化。その姿、仕草、行動原理は一言で言えば獣だ。一方で、人だった頃の面影もある。四肢の関節が明らかに4足歩行に適しておらず、人間そのものの作りをしているのがそれだ。パッと見ただけではナチュラルな獣と見分けが付かないが、良く見るとその生き物は獣になるべくして生まれたのではなく、事情があって獣にならざるを得なかった事が分かる。尋常じゃない存在なのは間違いない。
見た目だけではなかった。こいつのヤバさは周りの帯びただしい血だまりが物語っている。一体ここで何人死んだんだ?俺の手持ちは己の拳のみ。周りを見てもアイテムはない。恐らく勝てる見込みは薄いだろう。しかし、ここを通らなければ先には進めない。獣は食事に夢中だ。気付かれていないという利点を活かさない手はない。
ソロりソロりと裏側に回る。見つからずにやり過ごしてやろう。クール過ぎるぜ俺。
浅はかな考えだった。裏側に回っても目と鼻の距離。バレるに決まってる。目と目が合った。もはや取る手段は一つしかない。己の拳でこいつに挑む。
幸いこいつは手負いだ。既に体力は半分を切っている。更に獣といえど所詮は人間として生まれた身。二足歩行向きの身体で無理矢理四足歩行しているのでたどたどしい。本物の獣と違って動きにキレがない。
間合いを取ったり様子を見たりと、頭を使った動きをしているのも元人間らしい。それは厄介な面でもあるがタイマン戦では好都合。こちらもじっくり態勢を立て直せる。タイマンで怖いのは死を恐れずに特攻覚悟で押し込んでくる奴だ。怯えが見える間に鉄拳ラッシュ。獣は爪で反撃してくる。しかし振りかぶりが遅い。バックステップで軽く避ける。
今作はガードがない代わりに回避の性能がめちゃくちゃ高い。距離が長い上に動きがキレまくり。回避だけでなく全体的に行動が俊敏。とにかくサクサク動く。スタミナ消費も少な目に設定されてるから激しい動きが出来る。
が、過信がすぎた。紛いものでも獣は獣。爪の一撃は致命的。拳でチクチク溜めたダメージはたった一撃で返上された。これが人間と獣の差か。

目が覚める。死んだはずなのに何故か生きている。今回は一体どういう原理なんだろ。
目覚めた場所は狩人の夢の中を体現したものらしい。その割には寂れているな。枯れ木と墓と教会しかない。もっと楽しいドリームを見ようぜ。
夢の中では現実よりも小人の湧き場が多い。見た目は気持ち悪いが主人公に懐いているらしい。武器と銃を渡してくれるという。武器は鉈か斧。銃は短銃か散弾銃。手にできるのは二つに一つ。
さて、どうするか。普通に考えれば鉈は間合い重視で斧はパワー重視。短銃は射程が長くて散弾銃は範囲が広い、って感じか。一撃タイプは隙が大きい上に攻撃を外した時のリスクが怖いからな。ここは無難に鉈で。銃は初めての仕組みなのでよく分からないが、遠距離に対応しやすいよう短銃で良いや。これで行く。
他には人形と車椅子の老人がいるが、人形は話しかけても応えてくれないし、老人は深い眠りに付いている。いずれ覚醒するのを待つしかないみたい。
でも行くあてがない。教会には鍵が、井戸は靄で塞がれている。あとは墓か。ヤーナムの墓石。あ、これだな。成る程、エリアワープ式なのか。
行き先は診療所。最初の場所だな。さっきはやられたが、今の俺には狩人の武器がある。ここからが本当の狩りの幕開けだ。
今日はここまで。