まだまだ見えない

FF15エピソードダスカ、一通り終わらせました。
この体験版のメインは戦闘と冒険だが、戦闘は使える技や機能がかなり制限されてるし、冒険にしても車が使えなかったりして、本当に触り程度の内容だった。でも分かる範囲で思ったことを書いていきたい。
その前に、まずはこのゲームのコンセプトについて思うことをツラツラと。
・FF15のコンセプト
FF15が海外の大作を意識して作られていることは明白。今作の大前提にあるのは、大作としての風格を誇示する、というところだと思うが、今までのFFは主に映像のクオリティと世界観のスケールでそれを示していたのに対し、今作はシームレスだったりリアルタイムだったり物量だったりと、海外のAAAタイトルの基準となっている部分からその方向を追求しようとしている。これは海外のマーケットを意識しているのもあるだろうが、FF13で今の時代ストーリー主導のRPGはウケが悪いと思い知ったからだろう。
まぁFF13の場合は、タイミングが悪かったとしか言いようがないんだけど。当時PS3はRPG不足が深刻で待望の大作RPGとしてFFがユーザーの期待を一身に背負い、更にオブリビオンの影響で自由度が持て囃され次世代RPGのスタンダードはこうあるべきという風潮が強かったところに、その真反対の方向性を極めたFF13だもんなぁ。
FFは基本的に毎回ゲームの内容を刷新し、その新しい部分を、ねぇねぇこれ凄いでしょと押し付けてくるゲームデザインであり、ストーリーを見せたい、システムを見せたい、世界観を見せたい、という、スタッフが見せたい部分を中心に構築されている、作り手の意向が極めて強く現れているシリーズだが、特にFF13はその傾向が強く、ユーザーがあまり求めていない方向に向かって突っ走ったため、まぁとにかく叩かれた。
なので今作は目新しさよりも普通に人気の要素を取り入れて完成度の高いゲームを作っていこうという意図が強いのだろう。多分システムとストーリーと冒険がバランス良くまとまったゲームになると思う。今まではどれかに傾く事が多く、これはこういうゲームだからこう遊ばせたい!という作り手の自己中心的な強い意志が感じられたが、インタビューやPVを見る限り、今作は随分と空気を読んでるなぁと思った。
しかし、やはりFFはFFだった。安易な型にはまったものを作る訳がなかった。今作は世界観とキャラクターが強烈に尖ってる。現実世界とファンタジーが組み合わさった世界。現実世界の中に突発的なファンタジーが起こるという世界観は割と良くあるが、FF15はファンタジー世界をベースに現実世界が混ざったという感じで、普通この配分は現実的なガジェットが浮いて違和感を覚えるが、その違和感をあえて全面に押し出した歪なアンバランス具合がもう最高。男のみで固められたホモホモしいパーティがモンスターが闊歩しているフィールドの中を黒光りの高級車に乗ってサファリパーク気分で乗り回している光景とか珍妙過ぎて堪らない。こんなおかしな絵面を超絶クオリティで恥ずかしげもなく堂々と作ってくるあたり、実にFFらしいとしか言いようがない。
そして、このゲームのテーマは仲間との旅だ。ロードムービー的な作りにしたり、キャンプを張れたりと、旅を意識させるシステムを取り入れているのはとても大きい。オープンワールドゲームは遊び場を用意したからあとは自由に遊べとプレイヤーの発想に丸投げしてメリハリを付ける努力を怠っているのが多いが、FF15は自由度と物量に依存せずちゃんとゲーム側から味付けをしているのが見て取れる。オープンワールドの臨場感を漠然としたものにするのではなく、仲間との旅の雰囲気を作り上げるためという点から追求しているのは非常に良いアプローチだ。日本のRPGには珍しく女キャラがパーティに含まれていないが、このゲームの仲間とは男の友情に特化したものなのだからこれで良い。男のむさ苦しい友情を強調することで、仲間というテーマを特別なものにしている。
確かにFF15は今の大作ゲームのスタンダードをベースにして作られている。しかし安易にオープンワールドを取り入れました、自由度を高めました、というのではなく、その方向性を濃いものにするためにはどうすれば良いか考え、かなり思い切った独自のアプローチでそれに挑んでいる。ただ安易に流れに乗っただけのゲームでは決してない。今作もちゃんと芯がある。紛れもなくこれはFFだ。作り手が目指しているものは充分感じ取れる。
長くなったが、以下体験版の感想。
・フィールド
体験版で訪れるのはダスカ地方という、平原と湿原と森が組み合わさったマップ。地図で見ると大した事ないが実際走り回ってみるとかなり広い。マップのマーカーに向かって走り、もう着いたかな?と思って地図を確認しても全然近付いていないということがしばしば。ちなみにミニマップを表示しながら動くことはできない。地図ばかりに目が行ってしまうのを防ぐためだろう。一々地図を広げるのは面倒だが、仲間が近くにあるクエストの看板や目標物を教えてくれたりする。仲間は道中良く喋るし、一緒に旅してる感じがあって楽しい。
敵との遭遇は完全なシームレス。草木に紛れて相手がどこにいるか分からないということが多発するが、近くに敵対者が存在すると赤いラインでエンカウントのアナウンスをしてくれるので、急に不意を突かれるということはまずない。戦ってると近くのモンスターが続々と集まって参戦してくる。時には空中を徘徊してる飛空挺から敵国軍の兵士が強襲してきたりもする。この辺りはシームレスマップの特性が存分に発揮され迫力満点。
しかしマップの密度は薄い。サブクエストや集落が散らばっていたりするが大して中身はない。後述するキャンプの仕組みがそれなりにカバーしているが、もう少し探索に報いてくれる工夫があると嬉しいんだけどな。今のままだと典型的なガワだけのオープンワールドという感じが否めない。製品版では濃くなっている事を祈る。
・キャンプ
今作のキモ。マップの中にキャンプ地点が点在されておりそこで一夜を明かすことができる。一日の終わりを団欒で過ごすこのキャンプは、仲間と旅をしているという雰囲気作りを手伝ってるし、ホッと一息付けて緊張感から解放されるメリハリが心地良い。
最後にキャンプした場所しかワープは出来ないが、夜になるまでに目的近くのキャンプ場までに行っとこうと計画を立てたり、朝食の効果が切れるまでに探索を済まそうと考える事ができたりして、安易な移動を封じることで冒険シミュレーターの側面を高めている。その方向性を決定付けているのが夜の怖さ。このゲームは昼と夜でガラリと性格が変わる。夜になると途端に敵は強くなり、ゾロゾロと大量に湧いて出てくる。加えて視界は悪いし、食事の効果が切れてパーティ自体も弱体化。夜になるとそれだけで窮地に追い込まれるのが印象的だった。
夜=怖いという式を明確に位置付けることで、暗くなったら下手に動かない方が良いという考えが生まれ、一日のサイクルが実感でき旅の臨場感が強まっている。そして一日の締めくくりがキャンプになるよう自然に誘導している。冒険の駆け引きも臨場感も増幅させる素晴らしい仕組みだ。
・戦闘
今作の戦闘はシームレスな流れで突入するアクションタイプ。アクションじゃないとシームレスマップはあまり活きないのでこの判断は妥当。
しかし反射神経が求められる類のアクション性は極力排除され、MP管理やカスタマイズなどのRPG的なアプローチが強いのが特徴。ボタンの組み合わせによるコンボは一切なく、アクションで難しい部分である回避もボタン長押しで可能。ボタン長押しさえしていればほぼ無敵なので次はどう動くかとゆっくり考える事ができる。キャラのモーションもゆったりしていて激しいボタン捌きを求めるのではなくボタンを押すタイミングを意識付けさせるものとなっているし、立ち回りに関してもワープで簡単にカバーできる。パリィのタイミングも激ユル。アクションの敷居は相当に低い。
しかしアクション的な爽快感はちゃんとある。パリィは決まると痛快だし、ワープは見た目カッコいい。基本的にモッサリだが、必殺のファントムソードを使えばサクサク動いてくれて凄まじいカタルシス。また全くテクニックが求められないかと言うとそんなこともなく、回避によるボタンの長押しが短ければMP消費が抑えられたり、タイミング良くボタンを押せばダメージを跳ね返したりと、ちゃんとスキルアップに報いてくれるだけの奥深さもある。敷居の低さとテクニカルな部分の匙加減は丁度良い塩梅だった。
一方で、MP管理に関してはかなりピーキー。多くの行動でMPが必要となり、許容値を越えてMPを消費するとバーストして一定時間動けない+MPが自動回復しなくなるという仕様がある。MPが減ってくると回避は出来ないしワープで逃げられないしスキルで蹴散らすことも無理だし、と、一気に攻め込まれる恐れが出てくるが、攻撃にはMPを回復するものがあり、適度に攻撃を当てていればバーストを防ぐ事ができる。ボタン長押しによる回避は確かに強力だが、そればかりに頼っているとジリ貧になるのがこのゲームの上手いところで、攻めと守りを上手く切り替えてバランスの良い戦い方が必要になるよう調整されているのが素晴らしい。
更に岩陰に隠れたり柱にワープして捕まっていれば体力とMPが高速回復するという、マップと一体化して戦えるシームレスならではの手段も存在し、故に粘っていれば大抵は何とかなる。しかし、上で言ったようにこのゲームは夜になると一気に苦しくなるので、如何に効率良く戦うかというところを意識させられそこで絶妙なバランスが取れている。特に倒すのに時間がかかる大型な敵との戦いでそれは顕著に現れており、パターンが分かれば間延びしがちな強敵との戦いにも緊張感を生んでいた。キャンプと夜の仕組みはあらゆる面でゲーム性を引き締めている。
そしてカスタマイズ。これが素晴らしく面白い。このゲームは一つの武器を装備して攻撃するのではなく、攻撃の形態によってそれぞれ武器を装着できるという特殊なものになっており、例えば初段攻撃は槍でフィニッシュは大剣と言った具合。カウンターやジャンプ攻撃にもそれぞれ武器を設定することができる。その攻撃の特性と武器の間合いや振りの早さをマッチさせるのは勿論相性が良いが、決してそれが最適解というわけではなく、武器にはそれぞれMP回復効果やHP吸収などの補助があるので、例えば手数が多い二段攻撃目にMP回復効果のある武器をセッティングしたり、フィニッシュ攻撃はダメージが大きいからクリティカル率の高い武器にしたりと、様々な方向から考える事ができる深さがある。一辺倒にならないカスタマイズの巧妙さは流石スクエニ。面目躍如と言ったところ。体験版では武器が5つで固定されているが、製品版は武器集めがとても楽しそうだ。
FFの魅力の一つは練りに練られた戦闘システムであり、アクションになったことで単純にボタン捌きや反射神経を求められる部分が強くなって思考的な側面が弱まるのでないかと思った事もあったが、全くの杞憂だった。FF13のように斬新なものがあるわけではないが、アクションとRPGの成分が非常にバランス良くまとまっていて、どちらの長所も存分に味わえる素晴らしい兼ね合いだ。
が、不満もある。戦闘における仲間の存在感が薄いのはどうにかして欲しい。連携要素がパリィの演出と蘇生くらいしかない(多分)のは寂しすぎる。仲間がこのゲームのキーワードなのだから、一緒に戦っているという手応えを強く実感させるために連携の仕組みはふんだんに仕込んでくれないと。操作キャラを主人公一人に絞っているのだから尚更。製品版で命令は出せるようになるらしいが、それくらいでは物足りない。もっと練り込んでくれることを切望する。
・映像
FFと言えば超絶クオリティのグラフィック。さーて今回もどれだけ度肝を抜かしてくれるのかな・・・ってえ、あれ?もしかして大したことなかったりするこれ?いや、充分凄いクオリティではあるんだけど、思ったほど感動がない。何か蜃気楼みたいに遠くがボヤけて見えるし、キャラやモンスターのモデリングは凄いがマップのオブジェクトは微妙。時たまフレームレートがガクガクするのも地味に気になる。ロードの長さに至っては地味どころではないレベルで気になる。まぁここら辺は製品版で改善されるだろう。
凄いところはちゃんと凄い。ブラキオサウルス並みにデカいモンスターが何体もフィールドの中を歩いていてスケール満点だし、空中を徘徊していた飛空艇から突如兵士が地上に降り立ってくるのがスペクタクルだし、戦闘で相当数のモンスターが入り乱れ派手にエフェクトが散ってもほぼ問題なく動いているのも迫力がある。
そして何より、シドニーのモデリングが神がかっている。別にそこまで露出しているわけではないのにやたらとエロい。CGであそこまで艶かしさを醸し出すことができるとは。スクエニ、恐るべし。
概ね期待通りの内容だった。ポテンシャルは十二分に感じ取れる。ハードルが上がり過ぎたこともあって、まぁこんなもんかぁとは思ったが、あくまでこれは体験版だからね。
製品版は更に映像に磨きがかかっているだろうし、戦闘はできる事が増えて敵の種類も増えればもっと面白くなるだろうし、武器集めはとても楽しくなりそうだし、それに伴い探索のモチベーションも上がるだろう。何よりまだ、世界観やストーリーや車と言った、このゲームの本領となる部分は明かされていない。体験版じゃあ全然見えないね、FF15の底は。
体験版をプレイしてしまうとFF15のベールが解かれワクワク感が薄まるのではないかと思ったが、全くそんなことはなかった。むしろ更に期待は高まった。
もう待ち切れない。早くしてくれ!

FF15エピソードダスカ、一通り終わらせました。
この体験版のメインは戦闘と冒険だが、戦闘は使える技や機能がかなり制限されてるし、冒険にしても車が使えなかったりして、本当に触り程度の内容だった。でも分かる範囲で思ったことを書いていきたい。
その前に、まずはこのゲームのコンセプトについて思うことをツラツラと。
・FF15のコンセプト
FF15が海外の大作を意識して作られていることは明白。今作の大前提にあるのは、大作としての風格を誇示する、というところだと思うが、今までのFFは主に映像のクオリティと世界観のスケールでそれを示していたのに対し、今作はシームレスだったりリアルタイムだったり物量だったりと、海外のAAAタイトルの基準となっている部分からその方向を追求しようとしている。これは海外のマーケットを意識しているのもあるだろうが、FF13で今の時代ストーリー主導のRPGはウケが悪いと思い知ったからだろう。
まぁFF13の場合は、タイミングが悪かったとしか言いようがないんだけど。当時PS3はRPG不足が深刻で待望の大作RPGとしてFFがユーザーの期待を一身に背負い、更にオブリビオンの影響で自由度が持て囃され次世代RPGのスタンダードはこうあるべきという風潮が強かったところに、その真反対の方向性を極めたFF13だもんなぁ。
FFは基本的に毎回ゲームの内容を刷新し、その新しい部分を、ねぇねぇこれ凄いでしょと押し付けてくるゲームデザインであり、ストーリーを見せたい、システムを見せたい、世界観を見せたい、という、スタッフが見せたい部分を中心に構築されている、作り手の意向が極めて強く現れているシリーズだが、特にFF13はその傾向が強く、ユーザーがあまり求めていない方向に向かって突っ走ったため、まぁとにかく叩かれた。
なので今作は目新しさよりも普通に人気の要素を取り入れて完成度の高いゲームを作っていこうという意図が強いのだろう。多分システムとストーリーと冒険がバランス良くまとまったゲームになると思う。今まではどれかに傾く事が多く、これはこういうゲームだからこう遊ばせたい!という作り手の自己中心的な強い意志が感じられたが、インタビューやPVを見る限り、今作は随分と空気を読んでるなぁと思った。
しかし、やはりFFはFFだった。安易な型にはまったものを作る訳がなかった。今作は世界観とキャラクターが強烈に尖ってる。現実世界とファンタジーが組み合わさった世界。現実世界の中に突発的なファンタジーが起こるという世界観は割と良くあるが、FF15はファンタジー世界をベースに現実世界が混ざったという感じで、普通この配分は現実的なガジェットが浮いて違和感を覚えるが、その違和感をあえて全面に押し出した歪なアンバランス具合がもう最高。男のみで固められたホモホモしいパーティがモンスターが闊歩しているフィールドの中を黒光りの高級車に乗ってサファリパーク気分で乗り回している光景とか珍妙過ぎて堪らない。こんなおかしな絵面を超絶クオリティで恥ずかしげもなく堂々と作ってくるあたり、実にFFらしいとしか言いようがない。
そして、このゲームのテーマは仲間との旅だ。ロードムービー的な作りにしたり、キャンプを張れたりと、旅を意識させるシステムを取り入れているのはとても大きい。オープンワールドゲームは遊び場を用意したからあとは自由に遊べとプレイヤーの発想に丸投げしてメリハリを付ける努力を怠っているのが多いが、FF15は自由度と物量に依存せずちゃんとゲーム側から味付けをしているのが見て取れる。オープンワールドの臨場感を漠然としたものにするのではなく、仲間との旅の雰囲気を作り上げるためという点から追求しているのは非常に良いアプローチだ。日本のRPGには珍しく女キャラがパーティに含まれていないが、このゲームの仲間とは男の友情に特化したものなのだからこれで良い。男のむさ苦しい友情を強調することで、仲間というテーマを特別なものにしている。
確かにFF15は今の大作ゲームのスタンダードをベースにして作られている。しかし安易にオープンワールドを取り入れました、自由度を高めました、というのではなく、その方向性を濃いものにするためにはどうすれば良いか考え、かなり思い切った独自のアプローチでそれに挑んでいる。ただ安易に流れに乗っただけのゲームでは決してない。今作もちゃんと芯がある。紛れもなくこれはFFだ。作り手が目指しているものは充分感じ取れる。
長くなったが、以下体験版の感想。
・フィールド
体験版で訪れるのはダスカ地方という、平原と湿原と森が組み合わさったマップ。地図で見ると大した事ないが実際走り回ってみるとかなり広い。マップのマーカーに向かって走り、もう着いたかな?と思って地図を確認しても全然近付いていないということがしばしば。ちなみにミニマップを表示しながら動くことはできない。地図ばかりに目が行ってしまうのを防ぐためだろう。一々地図を広げるのは面倒だが、仲間が近くにあるクエストの看板や目標物を教えてくれたりする。仲間は道中良く喋るし、一緒に旅してる感じがあって楽しい。
敵との遭遇は完全なシームレス。草木に紛れて相手がどこにいるか分からないということが多発するが、近くに敵対者が存在すると赤いラインでエンカウントのアナウンスをしてくれるので、急に不意を突かれるということはまずない。戦ってると近くのモンスターが続々と集まって参戦してくる。時には空中を徘徊してる飛空挺から敵国軍の兵士が強襲してきたりもする。この辺りはシームレスマップの特性が存分に発揮され迫力満点。
しかしマップの密度は薄い。サブクエストや集落が散らばっていたりするが大して中身はない。後述するキャンプの仕組みがそれなりにカバーしているが、もう少し探索に報いてくれる工夫があると嬉しいんだけどな。今のままだと典型的なガワだけのオープンワールドという感じが否めない。製品版では濃くなっている事を祈る。
・キャンプ
今作のキモ。マップの中にキャンプ地点が点在されておりそこで一夜を明かすことができる。一日の終わりを団欒で過ごすこのキャンプは、仲間と旅をしているという雰囲気作りを手伝ってるし、ホッと一息付けて緊張感から解放されるメリハリが心地良い。
最後にキャンプした場所しかワープは出来ないが、夜になるまでに目的近くのキャンプ場までに行っとこうと計画を立てたり、朝食の効果が切れるまでに探索を済まそうと考える事ができたりして、安易な移動を封じることで冒険シミュレーターの側面を高めている。その方向性を決定付けているのが夜の怖さ。このゲームは昼と夜でガラリと性格が変わる。夜になると途端に敵は強くなり、ゾロゾロと大量に湧いて出てくる。加えて視界は悪いし、食事の効果が切れてパーティ自体も弱体化。夜になるとそれだけで窮地に追い込まれるのが印象的だった。
夜=怖いという式を明確に位置付けることで、暗くなったら下手に動かない方が良いという考えが生まれ、一日のサイクルが実感でき旅の臨場感が強まっている。そして一日の締めくくりがキャンプになるよう自然に誘導している。冒険の駆け引きも臨場感も増幅させる素晴らしい仕組みだ。
・戦闘
今作の戦闘はシームレスな流れで突入するアクションタイプ。アクションじゃないとシームレスマップはあまり活きないのでこの判断は妥当。
しかし反射神経が求められる類のアクション性は極力排除され、MP管理やカスタマイズなどのRPG的なアプローチが強いのが特徴。ボタンの組み合わせによるコンボは一切なく、アクションで難しい部分である回避もボタン長押しで可能。ボタン長押しさえしていればほぼ無敵なので次はどう動くかとゆっくり考える事ができる。キャラのモーションもゆったりしていて激しいボタン捌きを求めるのではなくボタンを押すタイミングを意識付けさせるものとなっているし、立ち回りに関してもワープで簡単にカバーできる。パリィのタイミングも激ユル。アクションの敷居は相当に低い。
しかしアクション的な爽快感はちゃんとある。パリィは決まると痛快だし、ワープは見た目カッコいい。基本的にモッサリだが、必殺のファントムソードを使えばサクサク動いてくれて凄まじいカタルシス。また全くテクニックが求められないかと言うとそんなこともなく、回避によるボタンの長押しが短ければMP消費が抑えられたり、タイミング良くボタンを押せばダメージを跳ね返したりと、ちゃんとスキルアップに報いてくれるだけの奥深さもある。敷居の低さとテクニカルな部分の匙加減は丁度良い塩梅だった。
一方で、MP管理に関してはかなりピーキー。多くの行動でMPが必要となり、許容値を越えてMPを消費するとバーストして一定時間動けない+MPが自動回復しなくなるという仕様がある。MPが減ってくると回避は出来ないしワープで逃げられないしスキルで蹴散らすことも無理だし、と、一気に攻め込まれる恐れが出てくるが、攻撃にはMPを回復するものがあり、適度に攻撃を当てていればバーストを防ぐ事ができる。ボタン長押しによる回避は確かに強力だが、そればかりに頼っているとジリ貧になるのがこのゲームの上手いところで、攻めと守りを上手く切り替えてバランスの良い戦い方が必要になるよう調整されているのが素晴らしい。
更に岩陰に隠れたり柱にワープして捕まっていれば体力とMPが高速回復するという、マップと一体化して戦えるシームレスならではの手段も存在し、故に粘っていれば大抵は何とかなる。しかし、上で言ったようにこのゲームは夜になると一気に苦しくなるので、如何に効率良く戦うかというところを意識させられそこで絶妙なバランスが取れている。特に倒すのに時間がかかる大型な敵との戦いでそれは顕著に現れており、パターンが分かれば間延びしがちな強敵との戦いにも緊張感を生んでいた。キャンプと夜の仕組みはあらゆる面でゲーム性を引き締めている。
そしてカスタマイズ。これが素晴らしく面白い。このゲームは一つの武器を装備して攻撃するのではなく、攻撃の形態によってそれぞれ武器を装着できるという特殊なものになっており、例えば初段攻撃は槍でフィニッシュは大剣と言った具合。カウンターやジャンプ攻撃にもそれぞれ武器を設定することができる。その攻撃の特性と武器の間合いや振りの早さをマッチさせるのは勿論相性が良いが、決してそれが最適解というわけではなく、武器にはそれぞれMP回復効果やHP吸収などの補助があるので、例えば手数が多い二段攻撃目にMP回復効果のある武器をセッティングしたり、フィニッシュ攻撃はダメージが大きいからクリティカル率の高い武器にしたりと、様々な方向から考える事ができる深さがある。一辺倒にならないカスタマイズの巧妙さは流石スクエニ。面目躍如と言ったところ。体験版では武器が5つで固定されているが、製品版は武器集めがとても楽しそうだ。
FFの魅力の一つは練りに練られた戦闘システムであり、アクションになったことで単純にボタン捌きや反射神経を求められる部分が強くなって思考的な側面が弱まるのでないかと思った事もあったが、全くの杞憂だった。FF13のように斬新なものがあるわけではないが、アクションとRPGの成分が非常にバランス良くまとまっていて、どちらの長所も存分に味わえる素晴らしい兼ね合いだ。
が、不満もある。戦闘における仲間の存在感が薄いのはどうにかして欲しい。連携要素がパリィの演出と蘇生くらいしかない(多分)のは寂しすぎる。仲間がこのゲームのキーワードなのだから、一緒に戦っているという手応えを強く実感させるために連携の仕組みはふんだんに仕込んでくれないと。操作キャラを主人公一人に絞っているのだから尚更。製品版で命令は出せるようになるらしいが、それくらいでは物足りない。もっと練り込んでくれることを切望する。
・映像
FFと言えば超絶クオリティのグラフィック。さーて今回もどれだけ度肝を抜かしてくれるのかな・・・ってえ、あれ?もしかして大したことなかったりするこれ?いや、充分凄いクオリティではあるんだけど、思ったほど感動がない。何か蜃気楼みたいに遠くがボヤけて見えるし、キャラやモンスターのモデリングは凄いがマップのオブジェクトは微妙。時たまフレームレートがガクガクするのも地味に気になる。ロードの長さに至っては地味どころではないレベルで気になる。まぁここら辺は製品版で改善されるだろう。
凄いところはちゃんと凄い。ブラキオサウルス並みにデカいモンスターが何体もフィールドの中を歩いていてスケール満点だし、空中を徘徊していた飛空艇から突如兵士が地上に降り立ってくるのがスペクタクルだし、戦闘で相当数のモンスターが入り乱れ派手にエフェクトが散ってもほぼ問題なく動いているのも迫力がある。
そして何より、シドニーのモデリングが神がかっている。別にそこまで露出しているわけではないのにやたらとエロい。CGであそこまで艶かしさを醸し出すことができるとは。スクエニ、恐るべし。
概ね期待通りの内容だった。ポテンシャルは十二分に感じ取れる。ハードルが上がり過ぎたこともあって、まぁこんなもんかぁとは思ったが、あくまでこれは体験版だからね。
製品版は更に映像に磨きがかかっているだろうし、戦闘はできる事が増えて敵の種類も増えればもっと面白くなるだろうし、武器集めはとても楽しくなりそうだし、それに伴い探索のモチベーションも上がるだろう。何よりまだ、世界観やストーリーや車と言った、このゲームの本領となる部分は明かされていない。体験版じゃあ全然見えないね、FF15の底は。
体験版をプレイしてしまうとFF15のベールが解かれワクワク感が薄まるのではないかと思ったが、全くそんなことはなかった。むしろ更に期待は高まった。
もう待ち切れない。早くしてくれ!
コメント
コメント一覧 (4)
男四人での旅っていうのは、売れっ子バンド達は、なんとなくこんな感じで仲間と楽しんでいるんだろうなーという気分で楽しめました。
体験版全体としては、例えば「ホスト4人が高級車で大草原を疾走中に、馬鹿でかいモンスターを眺める」みたいな、突き抜けた感じを味わえないのは残念でしたが、ここからまだまだ面白くなるのかと待ちきれないです。
体験版は想像以上に触り程度の内容でしたが、あんまりネタバレされたくない俺としては丁度良かったです。充分凄みは伝わってきましたし。製品版の発売が本当に待ち遠しい。
別行動クエストとクロスリンクの新要素。回避の改善と強化と追加、それに伴い劇的に変わった戦闘など、別ゲーと化していますね。
楽しすぎる回避の強化とは逆に、クロスリンクの荒削りさがかなり気になりましたが……。
yatasanさんの感想を楽しみにしております。
ただ、前回のバージョンの仕様がどんなものだったかあまり記憶にないので、どう変わったのか分からないかもしれないけど。