最後だけ盛り上がる



2014-10-21-17-54-19


PSVITAのアクションゲーム。開発はスパイクチュンソフト。

超高校級の特技を持つ高校生が閉鎖された空間に閉じ込められて殺し合いを行い学級裁判でその犯人を推理して行くという、とても魅力的な設定を持つこのシリーズ。
とはいえ初代はあまり設定を活かせないままキャラの個性だけで突っ走っていた感が否なめず、続編の2も途中までは初代のシチュエーションを変えただけのミステリーでしかなく二作目でインパクトが薄れたこともあって退屈だったが、終盤の展開がとにかく圧巻で、ダンガンロンパの設定を100%フル活用し、ダンガンロンパしかあり得ない、ダンガンロンパだからこそできる、今まで見たことのないとんでもない怪作に仕上がっていて、アドベンチャーゲーム史上に残る傑作と言っても過言ではなくこのシリーズの価値を一気に数段引き上げた。
一方ゲーム的な要素は学級裁判に雑多に詰め込まれたシステムくらいで、要するにかなりストーリーに偏ったシリーズなのだが、今作は唐突にシューティングゲーム化。
自キャラがカメラ内に収まっている中でアクションするという、いわゆるTPSシューターとなっているのだが、これが全然面白くない。
様々な個性の弾(ゲーム内ではコトダマ)があり、敵の特徴に合わせたりコトダマを組み合わせることでパズル的な攻略が可能となっていて撃つだけのシューティングになってないのは良いが、シューターとしての基本的な出来が悪い。カメラ操作や照準操作がぎこちなく、動かしていて終始もどかしさが伴った。しかも当たり判定はかなりいい加減。せめて照準をある程度補助してくれる機能があれば良いがそれもない(スキルでロックオンはあるが使いものにならない)。アクションゲームにおいて操作に不快感が伴うのは致命的。
中でもボス戦は酷い。常にオートロック状態でボスに向かってカメラが動こうとするせいで周りにちらばったアイテムを取ることを限りなく邪魔してくる。回復アイテム取れねーだろが!アイテムに触れただけでは取れない仕様になっているのも地味にイライラ要素。
ゲームバランスもかなり適当で、超人的な動きができるジェノサイダーにキャラチェンジすればほぼ無双。当然キャラチェンジの制限はあるがかなり緩いため厳しい場面は殆どこれでゴリ押し可能。アクションゲームとしてどうかと思うが、とにかくシューティングの操作感が悪すぎるのでこのヌルバランスはある意味助かった。

と言うわけでアクション部分はかなり残念なことになっているが、元々シューティングとしては期待してなかったので予想通りとも言える。ダンガンロンパに期待する点と言えばやはりストーリー。
なのだが、今作は前作以上に終盤まで退屈だった。とにかく話の進むペースがスローテンポで、なら何をやってるのかというとひたすら説教くさいことを言わせる展開に持ち込んでいるのだが、話の流れがあざとすぎるせいで押しつけがましく感じられて仕方ないし、言ってることも一方的なので全然共感できない。終盤まではこちらの気を引いてくれる印象的な場面や種明かしが殆どなく、ダラダラとどこかで聞いたような説教とどこかで見たような友情物語をやってるだけ。子供が大人を虐殺している世界観はエグみはあるが、ダンガンロンパならこれくらいはやってくれるだろうの域を出なかった。
しかしこのゲームの見所はラスト3時間。ここだけ異様に盛り上がる。どんでん返しに次ぐどんでん返しで今までのスローペースを一気に覆すフルスロットルな展開には圧倒された。どんだけ最後に詰め込んでるんだよ。
またこの場面で問われる選択肢がかつてないほど葛藤させられるものでたった二択の選択なのに死ぬほど悩まされた。演出もダンガンロンパらしい味付けで面白い。

最後に一気に解放されてカタルシスを味わえるとは言え、ペース配分を極端に最後に傾けすぎでそこに至るまではかなり苦痛。出来の悪いアクションパートがテンポの悪さを更に加速させていてラスト以外は退屈極まりない。
終盤の怒涛の展開は目を見張るものがあるが、終わり良ければ、とは言い難いなぁ。