良く出来たゲームだが期待外れ




2014-10-17-03-06-42


WIIUのアクションゲーム。開発はコーエーテクモゲームス。

ホラーとしての雰囲気作りはかなりのもの。ジャパニーズホラーのシチュエーションがたんまり詰まっていてゾクゾクする。夜のお墓とか、朽ち果てた和風住まいとか、色々なものが取り憑いてそうな神殿とか。絶妙に汚く、絶妙に暗く、絶妙に湿っててムード満点。和ホラー特有の土着的な染み付いた怖さがダイレクトに伝わってくる。

更に効果的に機能しているのがカメラシステム。このゲームの戦闘は幽霊を相手にカメラでパシャパシャ撮ることでダメージを与えるというものなのだが、これが非常にホラー的で面白い。恐怖の対象と向き合わなければならないというのはホラーとしてとても効果がある。引き付けるだけ引き付けて一番怖い瞬間である敵の攻撃時に写真を撮ることで大ダメージを与えられるというのがまたとても恐ろしくて良いし、アクションゲーム的にも駆け引きがあって面白い仕組みだ。
オマケに敵は幽霊らしく神出鬼没。消えたと思ったら背後から迫ってきたり、壁をすり抜けてきたりと、今までにない立ち回りを求められるのが新鮮。どこにいるんだーとカメラを構えながら見回している時に急にどアップで幽霊が現れた時とか主観視点なのでめちゃくちゃビビる。
また写真を撮って幽霊を倒すというのは写真は霊を閉じ込めると良く言うのでものすごく説得力のある話で、幽霊という題材的にも日本人にとってはもの凄く身近に感じられる。カメラアクションはアクションゲームとしてもホラーとしても雰囲気作りとしても大変上手く作用している、素晴らしいシステムだ。零シリーズは初めてプレイしたがこのアイディアは凄い。
そして何と言っても今作の対応ハードはWIIU。タブレットコントローラをよーく見て下さい。ね、どう考えても零でカメラに見立てて使って下さいと言ってるようにしか見えないでしょ。そう、WIIUは零のために生まれてきたハードと言っても過言ではないのだ!
当然の如く今作はタブコンをカメラとして見立てて使う操作性を組み込んでいて、これが本作の最大の特徴であり俺もこの点を最も期待して買ったのだが、なんか、思ったよりもあんまりだった。単純にジャイロ操作が面倒くさい。確かにジャイロ操作は臨場感はあるのだが、幽霊はあちこちから現れるし、ワープも頻繁にしてくるのでジャイロで対応してると難易度が跳ね上がってかったるい。スティックの感度上げてカメラ操作するのが一番手っ取り早く、俺は中盤あたりから楽な道を選んだ。
しかもねー。タブコンの画面は小さいし解像度もショボいから幽霊の迫力が落ちるんだよな。テレビの大画面で幽霊が迫って来る様子を見てた方がよっぽど怖い。カメラを構えているという実感はあるので全く意味がないわけではなかったが、タブコン操作は思ったよりも得られるものが少なかった。

ストーリーは、良く分からん。マルチエンディングだけどエンドは一つしか見てないし、アーカイブスで補完されてる部分がかなり多くいい加減にしか読んでない俺はあんまり理解できなかった。
でも、儚さというか、哀しさというか、そういう情景は強く伝わってきた。この話のテーマは恐らくしがらみだと思うが、近親愛やレズに見える踏み込んだ愛情表現を使うことで、一般論を超えた本当に大切な繋がりを強く説いている。
そういうこともあって、このゲームはアクションホラーゲームにありがちな生き残りをかけたサバイバルという雰囲気とは一線を画している。逃れられないしがらみに導かれて迷い込んでる感じ。ある人はその場所に目的を見つけて。またある人はいなくなった人との縁を捨てられずに。どれだけ連れ戻しても誰かがいなくなる。強いようで脆いその繋がりは哀愁に満ちている。

総じて良く出来たホラーゲームだが、正直あまり怖くはなかった。いやゲームシステムはホラーを引き立てる素晴らしい仕組みだし、雰囲気は良いし、演出もアイテムを取ったりカメラを降ろした切り替え時にわっと驚かせてきて怖がらせるツボを心得ているなぁと感じるのだが、どうやら俺は、幽霊はあまり怖いと感じないタイプのようだ。
うーんでも映画や怖い話では幽霊ものは結構苦手なんだけどね。なんでゲームだと平気なんだろ。良く分からない。アクション系のホラーゲームは結局臨場感による恐怖が大きいから、実体がない相手だとあまり実感が湧きにくいからかな、多分。これは完全に俺自身の好みの問題。
あと、タブコンに常に地図が表示されるからそっちばかりに目がいってあまりゲーム画面に集中出来なかった。これが一番大きい気がする。地図を映さないようにもできるけど、便利なものは使ってしまいたくなるのでゲーム側から調整して欲しかった。ユーザービリティとしては正解だけど、ホラーを優先するのであれば不便にした方が良かったね。
カメラシステムを筆頭にとても良く考えられたホラーゲームであるのは間違いないが、タブコン操作や怖さという俺が一番期待していた部分は期待外れに終わった。