予想を裏切ってくれた




2014-07-17-00-42-46


PS4とPS3とXbox360のハッキングアクションゲーム。開発はUBIモントリオール。


・ハッキングアクションがボタン一つで手軽にできるので感覚的に操れる。


・通行人の携帯電話を覗き見するのが楽しい。


・停電時の映像表現が凄い。建物や街灯から明かりがパッパッパッと消えていくのが凄い迫力で、夜に停電させると周囲が暗闇に包まれて異様な雰囲気になる。交通は混乱し通行人は狼狽しと凄まじいカオスっぷり。
街を動かしている、という明確な実感が得られる凄いアクション。


・ハッキングアクションが形だけでなくステルスとして活かされているのでミッションの攻略は工夫のしがいがある。


・監視カメラの視点から俯瞰的に場を覗けるという仕組みがステルスとハッキングを助長させていて素晴らしい。その視点からでもハッキングができるのでアクションの自由度が高い。カメラの視点から更に別のカメラへと渡っていけるのも良いアイディア。


・カーチェイスが楽しい。ハッキングで車ガードやパイプラインを操作して追ってくる車を破壊したり橋を上げて道を切り離したりできるのが面白い。


・オープンワールドの作り込みが凄い。映像は勿論だが、ハッキングを利用しないと行けない場所とかあったりして探索が楽しい。コレクション要素も膨大。


・ボリュームはかなりある。サブクエストの種類も豊富。


・クエストをクリアーするごとにアンロックされる要素があるのでモチベーションが上がる。


・いつのまにか侵入されているオンラインが面白い。


・ミニゲームがやたらと作り込まれていてミニゲームの域を超えてる。


・煙や炎のパーティクル表現が凄い。実写レベル。破壊するのが楽しい。


×
・ストーリーがつまらない。魅力的なキャラクターもいない。


・停電が強すぎてゴリ押しできる。


・似たようなミッションばかりなので結局パターン化してくる。


・ストーリーミッションの展開が単調。終盤からやっと盛り上がるが、それまではだらだらと引き伸ばしている感あり。


・×ボタンが決定で○ボタンがキャンセルという手抜きローカライズ。


UBIのことだから題材は良いけどそれをコアなシステムとして確立するだけのセンスがないので物量と映像のゴリ押しで誤魔化し箱庭は凄いけど当初のコンセプトは形骸化しちゃったよテヘッというアサシンクリードコース行きのゲームになる予感がプンプンしたのだが、蓋を開けてみたら期待を大きく上回る出来だった。
とにかくハッキングアクションは素晴らしいの一言。形だけのハッタリでなく、ゲーム性として活かすという点が明確に意識されていてステルスを誘発するアクションとして機能的に溶け込んでいる。特に監視カメラの仕組みが軸にあるおかげでステルスのゲーム性は強固。監視カメラをハッキングして俯瞰的な視点から覗けるという仕組みがハッキングの必要性とステルスを強調し、その視点からでもハッキングアクションを発動できるのでアクションの自由度が非常に高い。
また、オープンワールドの醍醐味の一つである、通行人にちょっかいをかけるという点でもハッキングアクションは素晴らしい効果を発揮。携帯電話のメールを見たり、電話を盗聴したり、電車を止めたり、信号を操作して事故を起こしたり、警報鳴らしてビビらせたり、停電起こして混乱を引き起こしたりと、まるで神様になったかのような万能感を味わえる。普通の箱庭ゲームは自分が目立った行動をしないと周囲に混乱を与えられないが、このゲームは人知れず人々に影響を与えられるのが気分良い。

しかし、どうしても単調なのは拭えず。確かにハッキングアクションは自由度があるが、ミッションの内容が似たり寄ったりなので結局同じ事の繰り返しになりがち。ストーリーもあまり面白味がないし盛り上がらないので余計に淡々とクエストをこなしている感じが強い。
そしてもっと言うとハッキングアクションは自由度があるだけで深みはない。カッコイイアクションを演出するという点では最強のシステムだが、どんどん掘り下げていって自分が上手くなっていく感覚が得られる、というタイプのアクションではないので、最初は新鮮で楽しいが一通り試し終わると一気にダレてくる。やり込もうという気は一切湧かない。メインが終わったら一瞬でやる気がなくなった。
でもハッキングアクションは本当に面白かった。ハッキングを形だけでなくちゃんとゲーム性として活かしている点がアサシンクリードと本作との決定的な違い。絶対ハッタリで済ませてくると思ったけど予想を裏切ってくれた。これだけでもう満足。