ストーリーが熱い




2014-05-12-00-19-39


PS4とPS3のアクションアドベンチャーゲーム。開発は龍が如くスタジオ。

発売日に買ったのに開封すらせず積んだままで最近になってようやく終わらせたが、いやはや面白かった。ストーリーの推進力はかなりのもの。

今作の舞台は幕末末期。シリーズの歴代キャラクターがこの頃実在した人物を演じており、幕府が倒れて新政府が樹立するまでの話を紡いでいる。
歴史を元にしているとは言えかなり大胆にフィクションされていて、親代わりであり師でもある吉田東洋を殺した人間を探るために坂本龍馬が新撰組に入隊するというのは明らかに作り話だが、この部分がストーリーの軸として一貫としていたため話にまとまりがあったし、ちょっとしたミステリーとして先が気になる作りだった。5の時みたいに、伝えたいものが強すぎて無理に良いことを言わせようとしていた不自然極まりないストーリーとは違い、筋がちゃんと立っていて面白い。歴史ものとしても及第点で、要所で池田屋事件や寺田屋事件など史実を上手く絡めているし、誰が誰に殺されたとか登場人物の関係とかは意外と事実通りに描かれていたりして、大して歴史に詳しくない俺にとっては歴史物語として十分すぎるほどに説得力があった。
坂本龍馬が二人いるという設定も面白い。主人公の坂本龍馬だけでは足りない歴史の部分を、もう一人の坂本龍馬が上手く補完している。やっていることは違うが日本を変えたいという根っ子の意思はそれぞれ同じで、どちらの方が正しいとかは決してないが、歴史は勝者が作り上げるという常を、「歴史の中に、坂本龍馬は二人いらない」という言葉で全て現しているのも見事。
そして展開がドラマチック。ネタバレになるので言えないが、あの人がラスボスとして出てくる場面は燃える。めちゃくちゃ熱い。宿命のライバル、自分なりの正義、譲れないからこそのぶつかり合い。これで熱くならきゃ嘘だろと言うほどのシチュエーションで、凄まじい盛り上がりだった。演出のカッコ良さも際立っており、ムービーで気持ちが最高潮まで昂ぶったあと流れるように戦闘へと繋がるので、ボタンを押す指に自然と力が込もってしまう。ストーリーの熱が、そのままゲームプレイへと繋がる。これぞゲームの醍醐味だと感じる瞬間だった。
まぁ近藤勇が弱すぎるとか、徳川慶喜の扱いが雑すぎるとか、主人公含め登場人物の持つ自分なりの正義があまりにもバランス感覚に欠けていて全く共感できないとか、突っ込みどころは色々あるんだけどね。特に最後はいつもの語りたい病が発動していてかなり強引な展開だった。
しかしそれを抜きにしても、この熱いストーリーは体験する価値がある。

ゲームとしてはいつもの龍が如くとしか言いようがない。舞台は変わっているが、やることは何も変わらない。今作はマップが一つしかないのに同じ所を行ったり来たりさせられるのが凄くモチベーションを削ってきた。
単調さを防ぐために道中ものすごい勢いでサブイベントが挟まるのは良いが、ストーリー以外余計な事をしたくないプレイヤーにとっては邪魔でもある。俺がそういうプレイヤーだった。行ったり来たりさせられるし、どうでも良いイベントが挟まって邪魔されるしで、かなりストレスだった。このシリーズのウリは、膨大なミニゲームとバラエティ豊かなサブイベントにもあるので、そこに文句を言うのはヤボなんだけどね。5の時は俺も率先してサブイベントやミニゲームを楽しんでいて龍が如くの醍醐味をたっぷりと堪能していたが、維新はとにかくストーリーの先が気になって仕方なかった。
あ、でもサブイベントの達成や走行距離、戦闘回数など、様々なチェック項目を達成していく毎にポイントが貰えて、そのポイントで色々なものが貰えたり強化できる仕組みは良かった。他にも店の主人との間に絆ゲージというものがあり、そこの店を利用する度にゲージが溜まって様々な恩恵が受けられるという要素もある。今までは、色々なスポットや遊びがあるから好きに楽しんでねという作りだったが、今作はゲーム側からこちらのモチベーションを上げさせてくれる調整をしている。これは凄く良い点だ。ゲームでも見返りがないとやる気は上がらない。

と言うわけで、サブイベントとミニゲームをほぼ無視していた俺は、宿屋と新撰組の駐屯所を行ったり来たりして、ひたすらムービーと戦闘の繰り返しだったのだが、その戦闘はやたら難易度が高くて辛かった。
ストーリーの節目になるとマップの中にいる雑魚を全て倒して進まなければならない戦闘パートが挟まるのだが、雑魚は固い上に凄い数現れるし、そのくせこちらは巻き込み系の技が少なく一人ずつチビチビ倒さなければならないのでかなり時間を取られ、しかも回復アイテムを全くと言って良いほど落としてくれず、チェックポイントもほぼなく死んだらかなり巻き戻されるため、大変な思いをした。
アクションは、もっと必殺技を出しやすくしてくれるか、強くしてくれるかしないとキツい。今作はダメージを受けると必殺アクションを発動するためのゲージが減るため中々狙った通りに必殺技が行えなかった(シリーズ共通かも?覚えてない)それはそれでヒットアンドアウェイの方向性を強めているので良いところもあるが、必殺技を発動しようとした瞬間にダメージを受けてまたやり直しってのは結構イラっとくる。苦労して成功させてもそこまで大きなダメージを与えられないし。
そしてボスが異様に強い。強すぎる。無料DLCで貰える自動回復の防具がなかったら詰んでいた気がする。操作性が良いからテクニックを求められる戦闘は楽しいけどね。
何より、ボス戦へ突入する流れが毎回盛り上がりに満ちているのでこちらのテンションが上がったまま戦闘へ臨める。難しさと相まってボス戦の白熱ぶりはかなりのもの。龍が如くシリーズは毎回ゴリ押しで余裕だったのでこの難易度には意表を突かれたが、これぐらい難しい方が今回のストーリーには丁度良い。

積んでからかなり時間が経ってしまったのでもうやらずに売り払ってしまおうかとも思ったが、いやー、クリアーして良かった。久しぶりにゲームのシナリオで熱くなれたよ。
本作はストーリーのネタバレを防ぐために一周目はPS4の配信に対応しておらず、プレイする前はわざわざそんな事しなくてもと思ったが、やってみてスタッフの判断が正しいことが分かった。これは配信で話を見ているだけではダメだ。実際にプレイしないとストーリーの熱が伝わってこない。ムービーを眺めている時間は長いが、プレイアブルへの繋ぎ方が本当に素晴らしく、ゲームの体験としても物語へ没入できた。ムービーが単なる映像ハイライトとして浮いていない。ストーリー型ゲームのお手本のような出来栄え。
シリーズとしても改善点が多く、これ以後龍が如くのスタンダードになりそうな要素がいくつも仕込まれている。もう完成しきったゲームだと思ったが、まだまだ洗練されそうだな。
シリーズファンはもちろん、PS4でストーリー楽しみたいなーって人はこれを買うべき。