ゲームの未来



TGS二日目。一日目は初めてのTGSで戸惑ったこともあってメインである試遊は殆ど体験できなかったが、ある程度場所も把握し雰囲気にも慣れた二日目はもう準備万全。ここからが本番。
と、意気込んでいたにも関わらず、朝、目を覚ましたら時計は既に9時をさしていて早速出鼻を挫かれる。前日の夜は確かにモンハンのマルチを楽しんでいたが、操作性の悪さが友達と顔を合わせてプレイする楽しさを上回り、結局長続きせず日が変わる前に就寝したのに、まさか非日常を味わえる泊まり先で夜11時に寝て朝9時に起きるという10時間睡眠を達成してしまうとは。ちなみに開場の時間は10時。スタートダッシュは絶望的となった。

結局9時半頃に幕張メッセに着いたのだが、前日と比べると随分人は少なかった。多分半分以下だと思う。結果的に割と前列で並ぶことに成功する。前日は遠方から来てる人が多くて早めに到着していたということかな。あとで知ったことだが、入場者数のデータでは史上最高を記録した前日の記録を一日でこの日塗り替えていた。

予定の時間より10分ほど遅れて開場。とにかく本日の目的はPS4のディープダウンかキルゾーンをプレイすること。入ってすぐ一目散にPS4の待機列入り口に向かう。が、既に人で溢れかえっており、整理券の配布は中断していた。みんな張り切りすぎ。

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はやくも目的が失われてしまい、これからどうしようかとフラついていると、サイコブレイクのシアターが目に入った。ミニ劇場のような仮設ルームとなっており、中でPVか何かが上映されているのだろう。オープンに映像を流すより人数が制限されてしまうとは言え、ホラーゲームは集中して見ないと魅力が伝わりにくいからこれは良いやり方だな。アトラクションみたいで面白そう、ということで整理券を貰いに行く。人気なのか入れる人数が少ないからなのかは分からないが既に午前の部は締め切っており、貰った整理券には14時から上映開始とあった。まだまだ時間はある。やはりこれからどうしよう。
友人がPS3のゲームを触りたいというのでPS3コーナーへ。ここもかなり並んでいたが上手く回転してくれて3タイトル試遊することができた。


・ぷよぷよテトリス

パズルゲームはあまり興味ないけどテトリスとぷよぷよの落ちものパズル二大巨頭がコラボってのはちょっと関心を惹かれる。
しかし今回の試遊でプレイできたのはテトリスのルールとぷよぷよのルールで対戦するモードだけで、確かに対戦相手が違うルールでプレイしているのは斬新であるが、テトリスもぷよぷよも基本的に自分との戦いだから相手が何をやっていようとあまり関係なく、コラボしたならではの面白さを感じることはできなかった。ずっと最初に選んだルールのパズルをやり続けるだけ。
ただ、製品版にはテトリスとぷよぷよのルールが途中で入れ替わるという仕組みがあるので、そこでコラボした本領が発揮されることだろう。どうせならそれを体験させてくれよと思う。


・戦国バサラ4

画面の絵作りや舞台設定からしてどこから見ても無双の亜種にしか見えないこのシリーズ、実際やってみると、爽快感重視という意味では確かに無双と似通っていたが、無双は物量ある敵をバッサバッサと薙ぎ払っていくことでその点を強調していたのに対し、バサラはアクロバットで馬鹿馬鹿しい動きをするアクションの面白さから爽快感を見出していた。
とにかく敵味方問わずキャラクターのやることなすことが一々オーバーすぎて笑える。明らかにファンタジーの域に達しているアクション、死に際に犬神家の一族で有名な例のポーズを再現してくれる雑魚、プロペラとしか思えない勢いで回転している武器、非効率的すぎる敵のピラミッド陣形など、ゲームなんだから非現実的で良いじゃんとにかく面白いことをやろうぜ!という意気込みに溢れていて素晴らしかった。エフェクトもパチンコのフィーバータイム時のような賑やかさで、とにかく派手にすれば良いんだろ!?というスタッフのヤケクソじみた熱意を感じる。面白ければそれで良い、をここまで素直に体現しているゲームは意外とない。
プレイ感覚としては普通に無双だった。基本的には雑魚の大群をお手軽アクションで蹴散らしていくだけ。何も考えずボタンを連打していれば良い。駆け引きという意味での面白さは薄いが、バサラワールドを見ているだけで愉快なので何も気にならない。キャラクターを動かしているだけで楽しい。
が、底は浅いので飽きるのは早いだろうな。


・Jスターズ ビクトリーバーサス

ジャンプのオールスター?が集合したアクションゲーム。対戦をメインとしたゲームであるが、ステージは3Dであり、ロックオンで敵に狙いを付けられるのでバランスはかなり大味。適当にボタンを押しているだけで大技が当たってくれて気楽に楽しめる。3Dステージなだけあってギミックも多い。
対戦ゲーでこのバランスは大味すぎる気もするが、キャラゲーと考えればこんなもんか。

中途半端に時間が余ってしまったのでどこでも良いから直ぐに試遊できるゲームはないかと探す。サイコブレイクのシアター上映まではあと30分。30分じゃスマートフォンのゲームくらいしか無理そうだな。
と諦めかけてかけていたところ、カプコンブースに20分の待機で試遊できるゲームがあった。その名もガイストクラッシャー。ちょっと気になっていたタイトルでもあるしこれは好都合だ。
と並んだあとに気付いたが、待機時間だけ考えていて試遊の時間を計算に入れてなかった。果たして30分で待機と試遊を終わらせることができるのだろうか。ちょっとソワソワし始める。
ソワソワしながら待っていると、ピッタリ20分経ったところで俺の番が回ってくる。試遊時間は15分。明らかにオーバーする計算だが、まぁ途中で抜ければ良いか。
丁度良いことにガイストクラッシャーは15分たっぷり遊んでたいほど面白いゲームではなかった。普通に丁寧に作られたアクションゲームという感じ。アクションの種類はまぁまぁ豊富だし、ヒットアンドアウェイもそこそこ求められるが、特別魅力があるわけでもない。おもちゃを3DS本体に装着することでゲーム内容がアップグレードされるやり方は子供相手に上手い商売だなと思ったぐらい。

5分くらいでキリをつけ、急いでサイコブレイクのシアタールームへ。PS3の試遊で待機している間に離れ離れになっていた友人と列の近くで丁度落ち合う。
ミニシアターの中は周りの騒がしい音が嘘のようにシャットアウトされていてスクリーンに集中しやすい環境だった。スクリーンも映画館並のサイズで迫力抜群。ただ椅子が硬くて尻が痛い。
しばらくして、どこかで見覚えのあるおじさんが挨拶を始める。ディレクターの三上氏だ。広島カープの野村監督にちょっと似ているなぁと思いながら、座り心地の悪い椅子の上でフィットする座り方を模索しているうちに挨拶は終わった。特に印象に残らないことしか喋ってなかった。
PVが流れる。何か前置きがやたら回りくどい。会話も英語のままで字幕すらなくて何言ってるのか分からないし、何だかちょっと退屈・・・と思っていたら、ジェイソンが出て来た辺りから急に盛り上がる。映像を眺めてるだけでも結構怖いからこれは実際にプレイすると相当くるだろうなぁ。ただアクションの部分を見せてくれないのがもどかしい。罠を利用したシステムはあまり想像が付かないから映像で見せてほしい。どちらにしろ購入は確定してるけど。
退出の際、サイコブレイクのロゴが入ったTシャツをプレゼントされる。気前が良いな。

シアターを出たのが14時15分くらい。閉場まであと3時間近く。一か八かでPS4の試遊に向かう。受付は再開していた。しかも何とディープダウンの整理券も復活している。天は見放していなかったか。
しかし並べたは良いがそれから90分近く待つ羽目に。20分の試遊で台が2つしかなかったウルフェンシュタインが40分の待機だったのに、5分しか試遊時間が与えられないことに加えて台が10個近くもあるディープダウンは90分か。流石に注目度の桁が違うな。
90分の間、ずーーーっと頭上のモニターを眺め続け、死んだ魚のような目になった頃、ようやくあと一人待てばというところまで列は進んでいた。その段階までくると待機列から抜け出て、試遊台で遊んでいる人の後ろに並ばされる。近くにはカプコンのスタッフがプレイヤーの様子を見ながら色々とメモを取っていた。ちょうど良い。このゲームについて聞きたいことが沢山ある。ちょっとすいませーん。

「はい、何でしょう」

「このゲーム、オンラインとのことですけど、一人ではあまり楽しめないってことですか?」

「そうですね。できるだけ複数人で楽しんで貰えればと、そういう思いで現在開発中です」

「でも見たところマップは道幅が狭いダンジョンばかりで複数人プレイに適した作りには見えないような気がしますが」

「実際やって貰うとそこは全然気にならないと思います。色々とマッチングの仕組みを考えているので」

「成る程。あと、基本無料と前日アナウンスされましたけど、そうなると課金前提の間延びしたボリュームやゲームバランスになってしまうのではないかと、どうしても懸念してしまいます」

「そこは弊社としましても最も気を使っている部分です。課金に関しましては、課金を積極的に行っている方が一方的に強くなるようなバランスではなく、遅れて始められたユーザー様でも課金によって追い付きやすくなるような調整を目指しています。ですが、我々としましてもビジネスでやっている部分は当然ありますので、ご容赦頂くところはあるかなと。オンラインゲームの課金については今まで色々やらせていただいてノウハウがありますし、プレイヤーをガッカリさせるような事にはならないよう、鋭意制作中です」

知りたいことを聞き終えたあとは、俺カプコンさんのゲーム大好きなんですよードグマとかバイオ6とか本当に楽しませて貰いましたー、えーありがとうございますー!みたいな当たり障りのない会話を順番が回るまで続けていた。思った通り具体性のない答えしか聞けなかったが、ゲーム自体はある点を除けば中々面白かった。
基本的にはダークソウルやモンハンのような、リアル志向の強いモーションによる三人称視点アクションであるが、武器を構えることでTPSシューティングのような操作性となり、細かい精度で武器を振り下ろすことが可能になる点が他とは一線を画していた。
この操作性によって部位単位で狙いを付けて攻撃出来るようになり、敵はオークの一種類しか出て来なかったが、脚に攻撃すれば膝をつき、引っかき攻撃をしようと振り上げた腕に攻撃すれば仰け反りと、反応が豊かで、色々な倒し方がありそうだった。一例をあげると、脚を攻撃して動きが止まっている間に、弱点の頭を攻撃する、というような戦略性が存在する。結果的にジリジリとした敵との攻防を楽しめる戦闘を実現しており、スピード感はないが、ダンジョンをじっくりと練り歩くゲーム性とマッチしたアクションになっていた。
そのダンジョンに関してはランダムに構造が変わるローグタイプで、罠はそこら中に仕掛けられており、秘密の隠し部屋やモンスターが大量に箱詰めされたモンスターハウスのような部屋も存在する。まさに3Dによって再現された不思議なダンジョンと言って差し支えない。サバイバルとハクスラが両立された不思議なダンジョンというジャンルは恐ろしいほど中毒性が高く、いつか3DRPGでこれを再現したゲームが出ないかなぁと夢想していたが、まさか次世代機クオリティでカプコンが作ってくれるとは。基本無料とはいえ期待せずにはいられない。
しかし、全てを台無しにする勢いでカメラが酷い。酷すぎる。モンハンの時に散々悩まされた、壁際でカメラを動かした時に起こる引っかかったようなカメラワークはディープダウンでも例の如く発揮されていた。いや、発揮されっ放しだった。このゲームのマップはダンジョンという舞台設定上、道幅がかなり狭くなっておりプレイヤーは常に壁際にいる状態と言っても過言ではなく、カメラがまともに動作する場面は無きに等しいと言っても言い過ぎではない。敵との攻めぎあいを楽しむというよりは、カメラがキチンと動く位置どりを探すことに専念させられる、新ジャンルのアクションゲームと化していた。
試遊が終わったあと、カプコンのスタッフに感想を求められたので率直に、カメラが酷いですねと言っておいた。もう言わずにはいられなかった。カメラについての意見はかなりあったらしく、絶対に直しておきますとスタッフは言っていたが、そんな簡単に直せるのだろうか。確かこの点を改善するのに必須なカメラアングルの技術はコナミが特許を持っていた気がするけど。でもモンハン4ではコナミに金を払ったのか壁際のカメラが劇的に改善されていたし、できないことはないか。

そういうわけでTGSは終わった。今年から本格始動する次世代機のゲームを目当てに会場まで訪れたが、大した驚きはなくて印象は薄い。ハード初期で開発のノウハウがまだ未熟とは言え、今までの次世代機には発売前の段階から少なからずセンセーショナルな何かがあったのに対し、ここまで地味だともの寂しい。
とは言え、今回の次世代機は性能とは違う面からのアプローチが大きく、ソーシャルだったり他デバイスとの連動だったりと、手軽さやユーザーとの繋がりからゲームの魅力を高めようとしている。この部分は試遊やPVだけでは伝わりにくいので触ってみるまで魅力が分からない。この機能をゲームの仕組みとして活かす余地は十分あると思うので、次世代機初期のゲームにはそういった面からの遊びに期待。
もちろんスペック面でも、開発が熟成してきた頃には性能をフル回転して作られたとてつもないクオリティのゲームが生まれることだろう。ゲーム業界は日進月歩の世界だ。ボーダーブレイクに達した時、ゲームはどの次元にまで到達しているのか、それが俺は知りたい。結局のところ、ゲームに与える影響はマシンスペックが一番王道だもんな。
何だかんだ言っても次世代機は夢が詰まっているなと思う。