不安と期待。ネタバレ注意




きたきたきたー、ようやくきました、名探偵コナンにおける最大の見所である黒の組織の話。漫画ではとっくに終わったミステリートレイン編だが、俺は原作未読なのでアニメとして放送されるのをずっと待ちわびていた。
長編となると火傷赤井がショッピングセンターに閉じ込められた話以来、およそ数年ぶりか。いや、あの話は黒の組織の話というよりは、赤の他人が起こした事件に紛れて組織の人間が顔を出した程度だから、ちょっと違うか。黒の組織メインとなると数ヶ月に渡ってやっていた赤と黒のクラッシュ以来、本当に、本当に久しぶりの長編。
と、感慨深いが、どうせ今回も黒の組織の本質に迫ることはなく、新キャラクターによって広げられた風呂敷を回収する程度に終わるのは目に見えているんだけどね。新しいキャラを出して話を膨らませるのは良いが、膨らませたところを処理するだけでなく、いい加減話を進めて欲しい。コナンが組織のボスの携帯電話番号のプッシュ音を入手してから全く進展がないのは酷い。
まぁ黒の組織はもはやマスコットであり、彼らが登場すれば話の進展関係なしにそれだけで盛り上がるのも事実。実際、組織の秘密が分かってしまったらコナンの魅力が大幅減なのは間違いないし、出来るだけ引っ張って楽しませて欲しいという気持ちは強い。
それに、組織が関わる話は力を入れて作られているので単純にミステリーとしてレベルが高くて見応えがあるしね。何しろこの話をするために、何年もかけてちょこちょこ伏線を張っているわけだから。伏線はかなり細かいので自分へのまとめのために今までの情報をおさらいしておく(自分が記憶してる限りの情報なのでかなり曖昧。ネットはネタバレの危険があるので怖くて見れない)

・赤井秀一
FBI。長年黒の組織にスパイとして潜り込んでいた。
組織のボスから、組織に致命傷を与えかねないシルバーブレッドであると比喩されていたが、ジン達の策略によって死亡。キールに肺を撃たれて瀕死となり、そのあと頭を撃ち抜かれる。死体は車と共に焼失。その一部始終をジンとウォッカがモニターで確認していた。

・火傷の傷の男
容姿が赤井秀一に極めて似ている男。顔に火傷痕のような傷がある。誰かとコミュニケーションを取った描写がなく、素性は不明。

・沖矢昴
細目と赤髪と長身が特徴の青年。何故か首元を晒さない。コナンは彼に寛容であり、今は工藤新一の家に住んでいる。お酒のバーボンを好んで飲んでいる。

・世良真純
ボクっ娘。毛利蘭と同じ高校に通っている。眠りの小五郎の仕組みに薄々勘付いており、コナンはかなり警戒している。灰原哀に強い関心を示す。

・安室透
探偵。小五郎の弟子となり、毛利探偵事務所の階下にある喫茶店でバイトをしている。小五郎事務所にあるパソコンを盗み見て灰原がミステリートレインに乗ることを知った。声優は初代ガンダムのアムロの人。赤井の声優はアムロの宿敵であるシャアの人。

・バーボン
組織の人間。灰原哀を追っている。素性や容姿は一切不明。

・ベルモット
ボスの愛人。変装の達人であり、本当の姿は誰も知らない。アメリカで毛利蘭に命を救われる。それを恩に感じてか、コナンと灰原の正体を知るも手を出そうとしない。

・ジン
組織の中でもかなり上の地位にいると思われる男。コナンと灰原の秘密を知らない。

・灰原哀
組織に所属していた天才科学者。身体が子供になる薬を発明。姉を組織に殺されて反発し、自分が発明した薬を飲んで自殺を計ったところ、身体が縮んで子供の姿になってしまった。組織に狙われており、気配を敏感に感じ取る。

期待と不安を胸に、録画していた名探偵コナンを見る。タイトルは漆黒の特急(発車)
冒頭、ベルモット登場。ジンと電話で会話。シェリーもとい灰原哀がミステリートレインと呼ばれる列車に乗る情報を得たと伝える。
これによりベルモットが今回も関わってくることが確定したわけだが、正直この時点で萎える。彼女はコナンに掌握されているも同然で、コナン陣営に強い同情を抱いているから、こいつが絡むと途端に甘っちょろい話になる。早速ジン達に手出しするなとか言ってるしさ。どうせ影でまた工作してコナン達の味方をするんだろうな。こいつがいるとご都合主義で話が進むから、さっさと退場して欲しい。

一方、何も知らないコナン達はミステリートレインに乗車。灰原哀や毛利蘭はもちろん、小五郎、少年探偵団、園子、アガサ博士、世良と主要キャラが大集合。黒の組織の話で少年探偵団が出てくるのはもしかして初めてか?少年達がどう話に絡んでくるのか興味深い。安室と沖矢は今のところ姿を見せず。
ミステリートレインは行き先不明の急行列車。列車の中では主催者側が用意した謎解きゲームが行われる。早速コナン達の部屋の前に置き手紙が。探偵役に選ばれたので7号車のB室に行けと記載されており、指示通り駆け付けて部屋のドアを開けると、大柄の男が顔をマスクとサングラスで隠した男に撃たれて倒れる現場に遭遇する。コナン達はそのまま走り去った男を追いかけ始めた。
良くあるミステリーのパターンとして、演技だと思ったら実は本当の殺人でしたというシチュエーションが真っ先に思い浮かぶが、血の飛び散り方が嘘くさいのでこれは普通にゲームの一環だろう。コナンが倒れた男を調べなかったのは意外だが。
謎の男に振り切られ、大柄の男が撃たれた7号車のB室に一旦戻ったコナン御一行だが、被害者役の男は消えており、どういうわけだか8号車に乗っているはずの蘭、園子、世良がいた。彼女達に話を聞いてもここは8号車だの一点張り。
不思議に思うコナンに、ミツヒコは「仕方ないですよ、車内には車体番号がありませんから」と、車両を勘違いしたのではないかと言う。そう思い隣の車両にいくと、子供達の声を聞き付けた博士が部屋の扉を開けて出て来た。彼はコナン達と同じ6号車の部屋にいるはずである。何故だ?コナン達は間違いなく8号車から一つしか車両を移動してないはずで、蘭達がいた部屋が8号車ならばここが7号車でないと説明が付かない。これにてミツヒコの勘違い説は完全に打ち砕かれた。コナンは、7号車の存在が消えてしまったのではないかと、途方もないことを想像する。

ここでCM。早送りせずにちょっと考える。列車が走っている最中に車両が消える。最後尾の車両ならともかく、間に挟まれている車両が何事もなかったかのように消えるというのは常識で考えたらまずあり得ない。となると車両の構成に何かギミックが隠されているような気がするが。

再開。車掌に人が撃たれたことや7号車が消えてしまったことを迫真の演技で伝えるコナン。しかし車掌は子供の戯言と取ってまともに相手せず、車両ごとに車掌がいるからその人に何号車なのか確認すれば良いと言われる。そして気になる一言が。

「オーナーの意向で、車両番号を車内に表示していないんだよね」

オーナーの意向?何故わざわざそんなことを?というかオーナーは誰?鈴木財閥の人間というのは分かっているが。

隣の車掌に尋ねると、ここが7号車だと言われる。って、あれ?復活してるじゃん。と、コナンと共に驚く俺。
早速、男が撃たれた現場であるB部屋に行ってみると、そこには・・・またも蘭と園子と世良が。わけ分からん。
ここでコナンがようやく気付く。蘭達はミステリーの盛り上げ役として選ばれ、被害者役の客に言われて部屋を入れ替わったのではないかと。そう突き付けると、あっさり認める蘭と世良、逆ギレしてくる園子。何だよそんな単純なことかよ。確かに良く考えれば、園子達は最初一等車両に乗ると言っていたのに、この部屋の模様は普通すぎるほどに普通だもんな。ヒントは最初から目の前にあったわけか。まるで気が付かなかった。
初めましてと灰原に挨拶する世良。世良に接近されて震える灰原。組織オーラを敏感に感じる灰原が震えるということは、世良も組織と何らかの関わりがあるのか。
「誰だ!」と世良が急に叫ぶ。慌てて廊下に出るが誰もいない。世良曰く、誰かがドア越しに覗いていたらしい。気のせいかなと言って部屋に戻るが、その様子を廊下の角から火傷の傷の男がじっと眺めていた。

一方、小五郎のおじちゃんは食堂で料理をお楽しみ中。ふと窓の外を見ると山から煙が上がっている。何故かその煙を凝視する客たち。

コナン達は車掌にミステリーの謎が解けたと伝える。しかし車掌からまだゲームは始まっていないと言われてしまう。トリックも用意していたものとは違うらしい。困惑したコナン一行は、真相を確かめるために8号車にいる被害者役の客に会いに行くことに。

その間、8号車ではちょっとしたハプニングが。呼び鈴が鳴ったので車掌がA室の客に尋ねると、客は別に呼び鈴なんか鳴らしていないと言い張る。その騒ぎを聞いてドアの隙間からちょっと様子を伺うB室の男。被害者役のあいつである。携帯電話で誰かと話している。
そのあとすぐ、E室から呼び鈴が鳴る。今回は実際に呼び鈴を鳴らしていたらしく、女が出て来て変な音が聞こえると訴えてくる。車掌が部屋に入ろうとすると自分で探すからと制止され、ならば何故呼んだのかと思いきや、単に文句を言いたいだけだったご様子。その間、D室の部屋から車椅子に乗った老婦人と付き添いの女が出て行った。
コナン達が8号車に到着。B室の部屋を叩いても返事がない。ドアを開けようとするとチェーンがかかっており、その隙間からは例の男が頭から血を流してソファーにもたれ込んでいる姿が見える。また死んだふりなんかしてと笑う園子だが、硝煙の臭いに気付いたコナンと世良はチェーンをぶち破って中に入った。男は右手に拳銃を握りしめ、コメカミから血を流している。今度は本当に死んでいた。
「これは・・・密室殺人だ」と、コナンが呟いたところで終わり。

面白い。被害者の男がA室の騒動を覗き見て生きている状態が確認されてから、コナン達が尋ねてきて彼の死体が発見されるまで数分もなかったわけで、その短時間の間にチェーンがかかって窓も閉められた密室の個室でどうやって殺人が行われたのか。その間8号車の廊下の様子は描写されていたが、廊下からB室の部屋を細工するような人物は見当たらなかった。しかも死体はコメカミから血を流して拳銃を握りしめている状態であり、誰かが遠隔トリックを使って殺したとは考えにくい状況。
まぁ普通に考えれば自殺としか思えないが、コナンが密室殺人と言うからには、これは殺人なのだろう。となると謎だらけで興味深い。とても面白い事件だ。
肝心の黒の組織は、今のところあまり関わってこず。安室や昴もまだ出て来ない。被害者の男が組織と関係があるかどうかもまだ分からない。
とりあえず今回のところは舞台の解説と事件のアプローチで終わり、話が大きく進むのは今週の話からになりそうだ。