とても良いリブート





PS3とXbox360のアクションゲーム。開発はカプコンとニンジャセオリー。

面白かった。とても楽しくて一気に遊び終えてしまった。開発は主に海外のスタジオでカプコンは監修程度にしか関わっていないが、スタイリッシュなアクションは過去作と比べても遜色ない出来映え。

いつも通り、コンボとアクロバットな見た目を重視してアクションは調整されているのだが、今作はアクションの種類が大幅に増え、かなりコンボが繋ぎやすくなっている。また、前作までの敵は雑魚でも複雑な動きをしてきて効果的な戦い方を求められる事が多かったが、今作は単純な敵が多いのでコンボを繋げることに集中しやすい。
要するに、コンボを狙う以上に敵の動きを見切らないとスタイリッシュなアクションが達成しにくかった前作とは違い、今作はコンボを繋げることだけに集中していればあっさりカッコ良いアクションが決まる。この部分が主人公の見た目以上に過去作と大きく違う。

スタイリッシュなアクションが決まりやすくなった事とは裏腹に操作の難易度は大幅に上がっており、R1やL1を押しながらの操作が要求されるなど出来ることが非常に多い。R1やL1を押しているだけで違ったスタイルのアクションが出来るのは快適だが、慣れるまではかなり時間がかかる。
しかし、一旦慣れてしまえば複数のアクションスタイルを境い目なく使いこなせるので、幅広いアクションが可能となり、自由度はかなり高い。一方で、特定の場面で特定のアクションを使えば有利に運ぶような仕組みも用意されており、色々なアクションを使う必要性を作ってくれている所も素晴らしい。

そして今作もキモとなるのは敵と戦っている時に常に表示されるスタイリッシュランク。これは自分のアクションを評価してくれるもので、コンボを繋ぐなどしてスタイリッシュなアクションをすれば高評価に繋がる。
戦闘中、自分のアクションの評価が常に視覚化されているのでカッコ良くアクションしてやろうとモチベーションが上がり、雑魚戦が繰り返されても中々飽きが来ない。同じアクションを続けていれば評価が上がりにくいので意図的に違うアクションを使うように心掛けてしまうし、ごり押し戦闘になることも未然に防いでいる。
とにかく、スタイリッシュにアクションをさせるという部分では、今作も文句の付けようがないくらい素晴らしい。

ステージの作りに関しても悪くない。少なくとも前作よりは遥かに良くなっている。面倒でしかなかったパズルやトラップは殆ど排除され、固定だったカメラも自由に動かせるようになった。前作はアクション以外の部分で邪魔されるのがうざったくて仕方なかったが、今作はかなり遊びやすい。
背景が色々動いたりしてダレないように様々な工夫が凝らされているなぁーと感じるし、付け焼き刃な作りになりがちなアスレチックコースもそれなりに良く出来ている。ゴシック調なグラフィックも良い味わい。当然のように映像のクオリティは凄まじくハイレベル。アクション以外の出来も今作は及第点。

が、見てしまった。全てを台無しにしてくれる勢いで酷いラストを。ストーリーの95パーセントは悪くなかったのに、最後の5パーセントが酷い。酷すぎる。何だあれは。舐めてるのか。明らかに無理矢理付け足したような唐突すぎる展開に身震いした。むしろそこを本来話のメインとすべきだろ。
しかも弱い。拍子抜けするほどラスボスが弱い。と言うか殆どのボスが弱い。なので全体的に盛り上がりが薄い。
このゲーム、主人公のアクションは良く出来てるけど、敵側のアクションがさっぱりなんだよな。言うならば敵の動きを見切る楽しさがない。上で言った、単純な敵が多いとはそういうこと。特定のアクションでしかダメージを与えられないような敵とか出てきたりするけど、ちょっと安直すぎるよね。
雑魚は数の暴力で何とでも調整出来るが、ボスは誤魔化しが効かないから作り手のセンスがものを言う。ニンジャセオリーはとても良い仕事をしているけど、敵の動きを見ているとカプコンのアクションノウハウにはやはり及んでないなという印象。アクションゲームに関してはカプコンは世界トップレベルのメーカーなので、仕方ないと言えば仕方ないんだけど。
とは言え、遊びやすさという点では今作がダントツだし、スタイリッシュなアクションをさせるというDMCの目的はちゃんと果たせている。過去のDMCの雰囲気から逸脱しない程度に新しい風を吹き込んだ、新生DMCと名乗るに相応しい作品。