理想的なコラボレーション作品






3DSのアドベンチャーゲーム。開発はレベルファイブとカプコン。

レイトン教授と逆転裁判、国内の2大アドベンチャーゲームが会社の垣根を超えてコラボした作品。簡単に言うと、逆転裁判の探索パートがレイトン教授の謎解きに置き換わり、舞台となるのもレイトン教授に出てきそうな現実離れした都市となっている。
率直に言ってこの組み合わせは見事に成功している。異質な世界観での裁判が今までとは全く違う感覚で面白い。
どういうことかと言うと、このゲームの世界では科学が発達しておらず、代わりに魔法が存在する。裁判は裁判でもやることは魔女裁判。当然指紋照合や筆跡鑑定などの科学調査には頼れないし、犯行に使われるのは魔法の力。つまり今までの裁判とは全く違った様相を見せる。
正直もうこれだけで面白い。今までのパターンが全く通じず、ガラリと変わった思考を求められるのが楽しい。完全にファンタジーの部類ではあるが、魔法に関して明確なルール設定がされているので何でもありな感じにはなっておらず、SFミステリーな感覚で裁判を楽しむことが出来る。
本編でやろうものなら大ブーイングを浴びそうな設定だけに、レイトン教授とコラボしたからこそ出来た挑戦だろう。コラボレーションした意義はこれだけでも充分果たされていると言って良い。

シナリオに関しては流石巧舟と言わざるを得ない。つくづく彼の作るシナリオは上手い。
こんなの犯人とこの先の展開バレバレだろーと途中で興ざめさせられたと思ったら、終盤は全く予想を裏切るどんでん返しに次ぐどんでん返しの連続で驚かされっぱなしだった。
バラバラなピースをかなり強引なやり方ではあるが綺麗にまとめて見せる手腕は見事。軽妙なやり取りとキャラ付けの上手さも相変わらず。極め付けはタイトル通りの見せ場まで作ってくれる粋っぷり。まさか本当にレイトン教授とナルホドウ君が戦うことになるとは思わなかった。

システムの面でもレイトン教授と逆転裁判の仕組みが混ざり合っている。例えば、裁判パートの部分はコインを使うことでヒントを見ることが出来たり、メモを取ったりする事が出来る。
最初はヒントなんていらねーよと思っていた俺だが、今作は体力ゲージが全然回復してくれないのでかなり重宝した。と言うか一々セーブするの面倒だから体力ゲージはどんどん回復して欲しい。

あと今回はナルホドウ君や真宵ちゃんが喋ります。真宵ちゃんはともかく、ナルホドウ君はかなり微妙な吹き替えで。
俺としては吹き替えはよほど酷くない限り気にしないので違和感あるなぁと感じる程度だったが、キャラゲーとしての側面も強い逆転裁判なのでファンは阿鼻叫喚してるかも知れない・・・
と思ったところ、やはりかなり叩かれてるな。吹き替えを担当しているのは逆転裁判の実写映画でナルホドウ君を演じていた成宮寛貴という俳優で、映画ではむしろ上手くハマってたんだけどな。

久しぶりの逆転裁判と巧舟のシナリオはやはり面白かった。世界観が異質である点と声に違和感がある点を除けばいつもの逆転裁判で安定した内容だった。
レイトン教授に関しては今作で初めて触れた。謎解きの種類が多いのは良いが、一々ルールや操作方法が違うのでその度にやり方を把握しなければならないのが若干ストレス。謎解きもピンと閃いて解ける問題とただ面倒な作業を強いられるだけの問題で二分されていてピンキリ。俺としてはあまり好きになれない感じだった。

レイトン教授と逆転裁判、互いの強みを活かす感じでそれぞれの特徴が存分に発揮された、理想的なコラボレーション作品。吹き替えさえ気にしなければどちらのファンでも安心して遊べる。オススメ。