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PS3とXbox360のシューティングゲーム。開発はトライアーチ。

シリーズの代表作でもありコールオブデューティのスタンダードを一気に押し上げたコールオブデューティ4は、俺がPS3を手に入れてから初めて購入したHDゲームであり、それまでゲームにあまり関心のなかった俺をのめり込まさせるキッカケとなった。
映像の臨場感にも度肝を抜かれたが、コールオブデューティ(以下COD)で初めてゲームのオンラインを体験し、そこでのネットを介して他のプレイヤーと一緒に遊ぶ体験が凄く新鮮で楽しくて、俺がここまでゲームの魅力に惹かれるキッカケの一つとなる。
しかし俺をゲームの世界へと誘ったオンライン対戦であるが、ここ数年はもう殆ど触れていない。今ではむしろオンライン対戦に嫌気がさすまでになっている。
その理由としては、明確な目標がないから際限がないとか結局やってることは毎回同じで飽きてくるとか殺伐とした雰囲気が好きになれないとか色々あるが、何が一番駄目かって言うと俺が駄目。俺のへっぽこ具合が本当に駄目。とにかく俺が下手くそすぎる。どんなにやり続けても上手くならない。
特にCODシリーズは累計で300時間はオンラインに費やしたが、それだけやっているにも関わらず前作のCODモダンウォーフェア3はキルレート(自分が一回死ぬ間に敵を倒した数を算出した数字)が0.5。一人敵を倒すのに二回死んでいる計算である。
キルレートだけが個人の力量を表す指標ではないが、俺が加わったチームは大抵負ける死神っぷり。俺の下手くそぶりが如何なく発揮されている。
何度もオンラインでボコられて涙目で敗走しているうちにふと思った。俺は根本的にオンライン対戦に向いていないんだなと。そもそもゲームに関しては楽しめればそれで良いと思っているので、他の人間と競争することにあまり魅力を感じず、向上心を持たずに闇雲にプレイしていたことは否めない。それでも続けられていたのは、他のプレイヤーと遊ぶという行為が単純に楽しかったから。
しかし今では対戦なんかしなくても、コープというオンラインで一緒に協力しながら進めるゲームがたくさんある。わざわざ敗北感に唇を噛み締めながら対戦をする必要はない。
そういうわけで、「俺が勝てないゲームはクソゲーだバーカ」と負け犬根性を滲ませながらすっかりオンライン対戦からはご無沙汰していた。オンライン対戦ゲーの代名詞でもあるCODシリーズを買うことは流石にもうないだろうと思っていた。
なのに懲りずにまたCOD最新作を買ってしまったのは、想像以上に自分の中でCODを買うことが惰性ではあるがルーティン化されていたことと周りがCODの話題で盛り上がっていたこと、新調されたゾンビモードが面白そうだったから。
どうせ今回もけちょんけちょんにやられて涙目になるんだろうなぁと思いながらも勢いで買ってきた。
しかしいざ始めてみるとビックリ。何とあれほどボコボコにやられていた俺が活躍している。これは一体どういうことだ。

オンライン対戦にはいくつかのルールが用意されており、その中で俺が好んでプレイしているのが、多くの旗を長く維持したチームが勝つドミネーションというルール。
このルールでは敵を倒すだけではなく旗を取ったり守ったりすることでも点数を稼げるのでヘタレな俺でも活躍出来る見込みがあるわけだが、それでも今までは俺の加わったチームの勝率は悪く、俺自身もトップスコアを取れたことは数回しかなかった。
なのに。なのにである。そんな俺が今作では何故かバンバントップが取れる。更に俺が加わったチームは連戦連勝。正直負ける気がしない。自分のことながらあまりの突然変異っぷりに戸惑いを隠せない。
この突然の覚醒が起こった理由として考えられるのは、長らくCODシリーズを続けてきた経験がようやく実ったからというのも当然あるだろうが(というかそろそろ報われないと流石に悲しい)、何より大きいのはスコアの計算が大幅に変更されていること。
例えば、旗を取得中に敵を倒したり旗を取ろうとしている敵を倒すと普通に敵を倒すより多くポイントが貰える。逆に、連続キルで発動出来る特殊能力で敵を倒してもあまりポイントは貰えない。つまり、ルールの目的に沿ったプレイをすることが高得点を貰える鍵になっている。
今までドミネーションでひたすら旗に突っ込むしか脳がなかった俺は、この改定のおかげで大変身。
キルレートは0.8と微妙だが、スコアは異様に高く常に上位、そして勝率は8割を超えているのだから笑いが止まらない。友人からの「おい、いつのまにお前そんなに上手くなったんだよ」という言葉が何とも心地良い。長らく冬の時代を耐えてきた分、凄まじいカタルシスが俺を包み込む。何て素晴らしいゲームなんだ。
ブラックオプス2は間違いなく神ゲーである。何故なら俺が活躍出来るから。俺が勝てるゲームは神ゲーです。

なのに何だろうこの虚しさは。好成績を残せるようになってから、常に成績を気にするようになってしまった。
昔は成績がクソだった分、失うものは何もないという気分で純粋にゲームを楽しんでいたが、今の俺にあるのは好成績を残して自己陶酔したいという気持ちだけ。
それもこのゲームの楽しみ方の一つではあると思うが、それしか求めていない自分があさましく感じて仕方ない。結局あまりモチベーションが上がらない自分がいる。

とまぁここまでゲームの感想というよりは自分のことしか書いていないが、良く言われるオンライン対戦のバランス云々は言い出すとキリがないし主観で大分変わってくる問題だと思うので特に言及することもないんだよね。
どうせアップデートで武器の調整は目まぐるしく変わるんだし、その時々の環境で「お、今回はこれが強いのか。じゃあ使ってみよう」みたいな感じで楽しめば良いと思うのに、ちょっとみんな気にしすぎなんじゃないの?と感じる。

ゲームとしては相も変わらず壁に隠れながら銃をぶっ放すだけのいつものあれだった。マンネリではあるが、既に完成されているものには足すことも引くことも出来ないのだから仕方ない。
オンライン対戦に関してはやはりテンポの良さが圧倒的。冷静に考えるとやってることは単調なことの繰り返しなので飽きそうなものだが、倒して倒されての流れが凄まじい勢いで展開されるため、余計なことを考える暇もなくただアドレナリンだけが積み重なっていく。だからやめられないし止まらない。とてつもない中毒がある。ラグは前作までに比べると格段に少なく快適。
期待のゾンビモードは何か面倒なことになっていた。謎解きを強いられるのだが自由に移動出来ないためパーツ探しが難しく、正直ダルい。でも前作と同じく、ただゾンビをエンドレスに倒していくモードも用意されているので、違う楽しみ方が増えたと考えれば素直に嬉しい。

しかし何だかんだ言ったが、このゲームにハマりきれなかったのは結局のところ俺がFPSというジャンルに飽きているからなんだろうなぁと思う。
テンポと映像に誤魔化されてきたが、やってることは毎回同じであらゆる面において代わり映えがないのだから無理もない。流石にコールオブデューティからはもう卒業かな。
でも、最後に良い夢を見せてくれてありがとう。そして俺にゲームの魅力を知るキッカケを与えてくれて、ありがとう。