コナミの本気とやる気のなさを感じる一作






ロボットアクションゲーム。開発はコナミ。HD版をプレイ。

馴染みやすいこと以外特に特徴がなかった前作と比べて今作はあらゆる面でパワーアップ。
まず歯応えがある。ボタン連打でクリアー出来るほど温かった前作から変わってほどよく難しくなり、アクションの種類が増えた事で戦闘の幅が格段に広がった。更にエフェクトが派手になって爽快感も上昇。
ゲーム進行もお使いの繰り返しだった前作と違い、ストーリーの展開に沿ったシチュエーションの中でゲームプレイが求められるのでよりストーリーに没入出来るようになった。ボリュームは6時間程度と相変わらず短いが、ゲーム内容に一切の無駄がなく、一気呵成にストーリーが進んでいくので止め時が見つからない。ストーリーも格段にドラマチックになり、圧倒的なテンポと盛り上がりでこちらの心を掴んで離さない。ハッとする名言も多く、戦争ドラマとして申し分のないクオリティを誇る。
そして何より驚かされたのはある場面における敵機体の同時表示数。無双かと思うほど大量の機体が画面を埋め尽くしていて凄まじいインパクトだった。これがまさかPS2で実現されたとはとても信じられない光景で、作り手の執念すら感じさせる。

しかし欠点も多い。操作性は相変わらず馴染みやすいが、今作は敵の機体が多く入り乱れているので任意のターゲットにロックオンしにくいのは難点。
また、今作はプレイアブルもストーリーのシチュエーションに沿った展開が多いため、ただ敵を倒すだけで良かった前作と違って「◯◯を守りながら突破しろ」とか「◯◯の指示に従って行動しろ」などの制約を強いられる場面が非常に多く、かなりイライラさせられたのは否定出来ない。
ボス戦に関してはセンスの欠片もなく、一定の隙でしかダメージを与えられないタイミングゲーなのにも関わらず無駄に硬いのが多くてとにかく疲れる。特にラスボス戦はあまりにタイミングゲーすぎて閉口するレベル。
HDリマスターにも関わらずアニメーションがHDになっておらず、白くボヤけているのも酷い。しかもアニメーションからプレイアブルに移行する際に、一瞬フリーズしたかのように止まるという興醒め以外の何ものでもない現象が発生する。HD版からの不備なのか元々あった仕様なのかは知らないが、どちらにしろその仕様のまま出す神経を疑う。コナミはサイレントヒルのHD版でもやらかしていたし、どうもやる気が感じられない。

調べてみるとZOEシリーズは、ゲーム・アニメ・小説などを組み合わせたメディアミックス展開でコナミの主力コンテンツとして育てられるはずだったのに、大々的に行われたプロモーションにも関わらず初代の売り上げは振るわずアニメの評判も良くなかったらしい。
背水の陣に追い込まれ挽回すべく、起死回生の一手として作られた今作は、当時のコナミの並々ならぬ本気を感じる一方で、HD版での移植具合を見ると現状のコナミのコンシューマに対するやる気のなさがありありと窺い知れる。
コナミのやる気のなさにはガッカリだが、ゲーム自体は前作より遥かに面白い。ロボット好きなら絶対に買い。