大満足






PS3とXbox360のアクションアドベンチャーゲーム。開発はカプコン。

体験版感想記事ではかなり批判してしまったが、蓋を開けてみるとこれが想像以上に面白かった。素晴らしいゲームバランスと圧倒的な映像クオリティが組み合わさった、バイオハザード最新作の名に恥じない出来栄えだ。

まず、映像が凄い。海外ゲームのお株を奪う臨場感ある演出とアクションが満載で、もうとにかく色々とメチャクチャで凄い。
ハリウッド映画並に展開がド派手かつ大掛かりで、オールキャストが登場するシリーズ集大成の今作に相応しいスケールを誇る。流石は積極的に大作ゲームを作り続けているカプコンの技術力だなと感心させられた。

ゲームの内容はバイオハザード4から続くサバイバルシューティング路線から更にアクション性を高めている。
前作までは銃を構えている間は動けなかったが今作は移動しながら銃撃アクションが可能となり、カメラも360度自由に回せるようになった。キャラの動きに制限をかけてその窮屈さから恐怖を引き立たせていたバイオシリーズであるが、今作はそこを取っ払ってとにかくアクションの面白さを追求しようとしている。
では普通のシューティングと変わらないものになって全く恐怖が感じられなくなったかと言うとこれが違う。今作は怖い。何故なら弾が全く足りないから。
今作はもう冗談抜きで弾がすぐ尽きる。10分に一回は尽きてるんじゃないかって頻度で弾薬がなくなる。バイオ4や5より銃撃アクションがしやすくなっているのにも関わらず、弾薬の数が圧倒的に足りない。
銃が使えなくても今作は敵を怯ませる必要なくいつでも体術で攻撃出来るようになっているが、体術をする度にゲージを消費するために無制限で使えるわけではないし、敵に近寄る必要がありリスキーなので、それだけでは中々切り抜けられない。
では銃も体術も役に立たない状況に立たされたらどうするのかと言うと、逃げるしかない。この全く無防備になった瞬間が怖い。こちらは反撃する余裕がないのに、敵はどんどん追ってくる緊張感。
思えば探索型のバイオも一番怖かったのは弾が尽きてどうしようもなくなった時だった。まさかその感覚をこの最新作で味わう事が出来るとは!
その部分に大きく寄与しているのがマップのレベルデザイン。敵を殲滅しなくても進めるよう絶妙にマップが作り込まれており、プレイヤーの逃げ道を用意している。
しかし簡単には逃げきれないように、相棒と一緒に辿り着かないと開かないポイントがいくつも配置されている巧妙さ。ここで二人での潜入が活かされてくるわけだ。二人だと緊張感が薄くなるばかりだと思ったが、全くそんなことはなかった。相棒を待ってる時の恐怖感はかなりのものがある。

銃撃で敵を倒すか、リスクを冒して体術で敵を倒して弾薬を節約するか、はたまた逃げるか。常に考えることを要求されるバランス取りは素晴らしいの一言。システム的にはシューティング寄りになっていながら、バイオの醍醐味であるサバイバル性と恐怖は全く薄れていない。むしろ4や5よりかは今作の方が断然怖い。
またアクションも面白いものが多い。ローリングでの回避やスライディングアクションが新たに可能となり、ただ使えるだけでなく、それを活かせるよう敵のアクションが練られている。アクションの面白さが感じられる調整の上手さは流石カプコンだ。
ホラーとシューティングとサバイバルとアクションの楽しさが見事に組み合わさった、このゲームデザインとバランス調整は脅威的としか言いようがない。

ボリュームも凄い。4人の主人公ストーリーがそれぞれ7時間近くのボリュームで用意されており、それだけでも凄いが、大きく分けて二つの違った楽しみ方が出来るのがまた良い。
クリスとジェイクのシナリオは若干普通のTPSっぽい感じで敵も4や5で見たような奴が多いのだが、レオンとエイダのシナリオでは久しぶりにゾンビが登場する。
これだけでも嬉しいが、特筆すべきはゾンビのゾンビっぷり。隙間でも何処からでも至る所から湧いてきて、倒しても倒してもいつの間にか囲まれてしまう感じがとてもゾンビらしくて素晴らしい。ゾンビの数も相当なもので、ゾンビパニックゲーとしてとても楽しいものになっていた。

主人公が複数存在することによって可能となった、クロスオーバーシステムも面白い試みだ。
ゲームを進めていると、それぞれ違う主人公のシナリオが交差することがあり、その主人公ペア同士で協力して進めることが出来る。もちろんオンラインのコープにも対応しており、プレイヤーが操作する主人公ペアと出会った時は何だか感動してしまう。中々マッチングしないのはネックだが、この試みは斬新だ。
また、もう一つオンラインでユニークな要素があり、それはプレイヤーがクリーチャーとなってシナリオを進めている他のユーザの所に侵入出来る、エージェントハントというもの。
敵を操作して主人公と戦えると楽しそうだなぁと妄想したことは何度もあるが、それをオンラインで実現してくれたことで更に面白い事になっている。侵入される側からしてみても、プレイヤー操作の敵と戦うのは緊張感が増して楽しい。

で、俺が体験版の時に散々文句を言ったコープについてだが、前作程ではないがやはり面白かった。
システム的には前作の方が圧倒的に協力を楽しめるよう考えられていたが、今作はステージの構造やシチュエーション的に協力プレイを楽しませるように作られているところが多く、相変わらずコープは楽しかった。
ちなみに体験版の記事では相棒と一緒に回復出来ないと言ったけど、近くで寄り添ってすれば出来ました。いい加減な事を言ってすいません。見た目的に回復してるのか分かりにくいし、味方のアイテムを確認できないから使い所は難しいんだけど。

物語に関してはシリーズ通しての話が殆ど進まないのは問題だが、主人公シナリオ単体での話はそれなりに良かった。特にクリス編は結構感動する。
バイオテロに巻き込まれて国民がゾンビ化してしまった中国の世紀末的な雰囲気も充分表現出来ていたし、パニック感はかなりのもの。ラスボスの執拗な粘着っぷりも良い。どのシナリオもラストはかなり熱い。

不満点はとにかく一つ一つのチャプターが長すぎること。一つのチャプタークリアーまでに1時間半ぐらいかかり、コープが気楽に出来ない。チャプターの数はもっと分割してくれて良かった。とにかく接続が不安定で落ちまくるし。
そうなんだよ、サーバーがパンク状態なのかエラー連発でコープが全く成立しない。これは早急にどうにかして欲しい。昨日の夜なんかセッションを作ることすら出来ないという惨状。
ゲームの中ではQTEが地味にウザい。ボタン押すだけなら良いが、スティックグリグリを求められるのはしんどい。それとカメラが強制的に変な方向に向くことがあり、操作しにくい場面が多々あるのもよろしくない。

巷ではバイオらしくないと言われかなり批判されているようだが、弾薬がなくなることの恐ろしさを久しぶりに感じたバイオであり、俺としては大満足だった。
それ以前にアクションゲームとしてとても面白いしね。撃つだけではクリアー出来ないから考えさせられるし、ローリングやスライディングアクションも楽しい。クロスオーバーやエージェントハントの試みも新鮮で、コープも繋がりさえすれば最高に面白い。ボリュームも満点で素晴らしい充実度。
あとはサーバーさえまともに機能してくれれば完璧だが、前作はコープは最高でも一人でやるとイマイチだったのに対し今作はアクションが面白いから一人でプレイしても充分楽しい。

バイオの魅力やアクションの面白さやオンラインの楽しさ、そして映画的な臨場感など様々な楽しみが詰まった、エンターテイメント大作として大満足の一作。操作の慣れは必要だが、バイオによほどの拘りさえなければ間違いなく楽しめる。オススメ。