得体の知れない雰囲気ゲー







PS3のアドベンチャーゲーム。開発はサンタモニカスタジオ。PSN専売で、値段は1000円。

SCEお得意の雰囲気ゲー。しかし風の旅人のように詩的で美しいビジュアルがあるわけでもないし、ワンダのように印象的な存在もいないし、ICOのように神聖な雰囲気があるわけでもない。ダチュラにあるのは、得体の知れなさ。
舞台となるのは枯葉で埋れた黄泉の世界。そこには何故か射的場があるし、何故か豚が寝ているし、何故かテニスボールマシンが置かれているし、何故か殺人鬼が彷徨いている。この世界はとてもミスマッチに溢れているが、その不均衡さが、世界観の魅力として働いている。

このゲームはMOVE専用となる(失礼。普通のコントローラでも遊べます)リモコン一本で全ての操作が行えるので、ナビコンは必要なし。
カメラは主観視点で、手を動かす操作が多く求められる。ポインタのように動かすだけでなく、投げる動作をしたり、手を伸ばして物に触れたりと、その操作感覚はMOVEならでは。
特に物に触れた時の感触が驚きで、これが本当にちゃんと触ってる。指の関節が細かく動き、ものに触れると力を入れた分だけ曲がるので、触っているという感覚が実直に伝わってくる。木に触れると地図情報が増えるというのはこの特性を上手く利用した要素で、主観視点も合間って世界に入り込みやすくしてくれている。

ゲームとしては、ひたすら仕掛けを解いて進めていくだけ。世界観やMOVEを活かした仕掛けが多いのは良いが、単調と言えば単調。雰囲気ゲー以上の魅力は全くないので、雰囲気が楽しめなければかなり厳しい。ボリュームも少なく、一時間半もあれば終わる。

ストーリーは訳わからん。基本的に輪廻転生を繰り返してるだけだが、オチが意味不明だった。意味不明なのも説明不足なのも恐らくわざとやってることで、得体の知れないこのゲーム性に合わせてのことだろうが、やはり釈然としない。

というわけで、想像以上に雰囲気ゲーだった。しかし他の雰囲気ゲーとはまた違ったベクトルの魅力があるのも確か。あと、音楽が異常に良かった。
MOVEを持ってて雰囲気ゲーが好きならありかも知れない。