小島監督との脳内シンクロに成功したのでお知らせします






このゲームをプレイしていたら突然俺の脳内で推し量れない力が働き、小島監督の意識とシンクロして彼の声が脳内に届いてきたので、その時の監督の解説をお届けしてまいります。

「やぁやたさん君こんばんわ。小島だよ。皆からは小島監督と呼ばれているね。え?ゲーム制作で監督の呼び名は違和感あるって?いやいや、映画では指揮を取っている人のことを監督と呼ぶのに、ゲームは駄目だってのかい?クリエイティブなのはどちらも同じだよ。
そんなことより、MGS4を買ってくれてありがとう。ゲームはね、なるべく新品で買ってくれると嬉しいな。そして出来れば、売らずに手元に残してくれるとなお僕は嬉しいよ。そうすればまた次の作品へと繋がるからね。このゲームの制作には莫大な資金と人員を投入したんだ。BDの50GBの容量をフルに使い切った作品は、古今東西このMGS4だけさ。

前置きが長くなったね。とりあえずゲームを始めてみてよ。

・・・・・どうだいビックリしたでしょこの映像!まるで実写だと思ったでしょ!? うん、実際その通り実写なんだけどね。最初はインストールも兼ねて実写の映像を流すことにしたんだ。こうすることで物語にリアリティが生まれるんだよ。
・・・・・前置きが流れ始めたけど、理解出来るかい?PMCとかSOPとか難解な言葉がいっぱいで難しいよね。設定も複雑でゲームの範疇を超えてるかもしれない。でも、僕は、ゲームを遊んでただ楽しかった、で終わらせたくないんだよ。もっとこう、ゲームを通して何か学べるものがあれば良いと思うんだ。
反戦、反核。テーマは普遍なものかもしれない。映画や小説や学校の授業などで散々語られてきた題材なのは分かってる。でも、ゲームだからこそ、主人公と一体になれるゲームだからこそ、伝わるものがきっとあると思うんだ。そのためには多少のリアリティと説得力ある設定が必要なんだ。だからこうして複雑なプロットになっている。許しておくれ。

・・・・・さぁ、いよいよスネークを動かせる時がきたね。ほーら、ここから目を離さないでくれよ。
見た!見たかいさっきの!?ムービーからシームレスにスネークの操作へと繋がっただろ!これだよ!次世代機ではまずこれがやりたかったんだ!
今まではムービーとプレイアブルの間にロードの暗転が挟まって、上手く噛み合わなかったんだ。プレイヤーからしてみれば、どうしてもムービーがゲーム部分から乖離しているように感じられたと思う。これがムービーの長いゲームが、ムービーゲーだと揶揄されてきた一因だと思うんだよ。
でも、もう体験して分かっただろ!?これからはムービーから自然にプレイアブルへと繋がるんだ!これぞまさしく映画とゲームの正しい融合体。ムービーだからこそ出来るドラマチックな演出を堪能したあと、間髪を容れずにプレイヤーはゲームプレイが出来る。抜群の臨場感だと思わないかい?
まぁ全部が全部シームレスに繋がるわけでもないけどね。普通にカットとして済ました方が良い時もある。そこは使い分けさ。


・・・・・見てくれた?さっきスーツが変色したよね?
そう、今回のステルスはこのオクトカムを使うんだ。MGS3ではいちいち服装変更を強いてしまって面倒だったよね。ごめんね。まぁでもあれはゲームの中の時代が時代だから、1964年のテクノロジーではあれが限界なんだ。そこらへんの時代考証もしっかりと念頭においてゲームデザインしてるんだよ。多少の面倒くささは演出さ。ん? 3の無線の繋がりがやたら遅かったのは、演出か、バグか、どっちなのかって?ふふふ、ご想像にお任せするよ。
そう、それでオクトカムの話だったね。これはその場の風景に合わせてカメレオンのように擬態するスーツなんだ。MGS3ではいちいちメニューボタンを開かせて手間取らせたけど、今回は自動でスーツの模様が変化するんだ。これは画期的だと思うよ。作るのは凄く苦労したけど、プレイヤーにテクノロジーの進歩を感じ取ってもらえたら嬉しいね。
ほら!敵はスネークがすぐ横にいるのに全然気付きやしない!ステルスの醍醐味はね、如何に敵から離れて隠れるかではなく、如何に敵に近づきつつ隠れるかだと、僕は思うんだよ。だってゾクゾクしないかい?敵の真横を通ってくスリル!それでも気付いてない敵を見て抱く高揚感!ステルスは最高だよ!
でもステルスは簡単に出来たら駄目だと思うんだ。ステルスは厳しい条件を残り超えて達成しなくてはいけない。これはステルスゲーの鉄則だね。難しいからこそスリルを味わえるのさ。でもそれだとクリアー出来ない人がいるから、今回も麻酔銃という救済措置を用意している。これを使えば殆ど無敵さ。
あれ?やた君。君さっきから麻酔銃ばっかり使ってるけど、ステルスはどうしたの?何?ステルスはどうせ自己満足に過ぎないから楽な道を選ぶだって?
うん、それも良いと思うよ。メタルギアの特徴は、プレイヤーを縛らず、しかし様々なアプローチを与えて、あとはプレイヤーの好きに遊んでもらうゲームだからね。今回は銃も扱いやすくなったし、ランボープレイをしてみても良いと思うよ。


・・・・・うん、君が今言いたいことは分かる。確かに章ごとにインストールを入れたのは間違いだと思ってる。弁解するようだけど仕方なかったんだ。あれだけのデータ容量を一発でインストールさせるには少し無理があったんだ。
それに少し想像してみて欲しい。映画を何本も見る時、君は休憩もいれずに一気に見るかい?見ないよね。疲れるよね。それと同じなんだ。MGS4には、誇張ではなく、映画10本分以上の内容が詰まっている。これを一気に網羅してしまったら、きっと君はあまりの充実感と疲労で頭がパンクしてしまうと思うんだよ。インストールの間はちょっとしたコーヒータイムにしようじゃないか。

・・・・・どうしたんだい?あくびなんかしたりして。え?ムービーがちょっと長くないかって?とんでもない!これでも短いくらいだよ!
ムービーはね。言葉を伝えるのにとても重要なファクターなんだ。特にメタルギアのようなテーマ性の強い作品では欠かせないんだよ。
しっ!静かにして!スネークの言葉を聞き逃してしまう!
・・・・・「俺は英雄じゃない。これまでも、これからも」
良い台詞だね。スネークは輝かしい功績を残してきた。でも、彼は英雄じゃない。戦場でしか自分の存在価値を見出せない一兵士に過ぎないんだ。老いてもまだ自分の役目を果たそうとする。ゲームのテーマと相反するスネークの存在理由が、また良い感じにアイロニーになって、切ない感じを醸し出しているのさ。

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・・・・すまない、あまりに没頭し過ぎて直近10時間意識が飛んでいたよ。無視してしまってごめんね。
最後、スネークと宿敵オセロットは拳で殴りあったよね。あの場面が僕は最高に気に入ってるんだ。あれだけテクノロジーが発展して、ロボットまで戦闘に使えてしまうこの御時世なのに、最後は自分達の肉体をぶつけ合うんだ。これぞ男のバトル!純粋な力と力の勝負!興奮しちゃうね!

ほら!集中して!エンディングが流れたからって気を抜かないで!これはフェイクなんだから。ここで終わったと思わせることによって、この後の展開が更にサプライズに満ちたものになるんだ。
・・・・・驚いた?そうなんだ。実はビッグボスは生きていたんだ。ちょっと突飛な展開かも知れないけど、ここは名場面だから許してよ。
スネークは、自分のルーツであるビッグボスから、もう戦わなくて良いんだよと言われることで、ようやく解放されるんだ。戦場からね。彼の先は長くないけど、余生が幸せな時であることを僕は祈っているよ。

遊んでくれてありがとう。楽しんでくれたなら幸いだよ。何か心に残るものがあれば良いけど。
じゃあね。MGS5が出た時にまた会おう。え?MGSシリーズは4で終わりじゃないのかって?ふふふ、やたさん君。それは毎回言ってることだからもう騙されてはいけないよ。スネークが君の心にいる限り、MGSに終わりはないのさ。