そろそろ終わり




・プレイステーション3 その2


『428〜封鎖された渋谷で〜』

街の実質的な続編が10年の月日を経てついに登場。元はwiiで発売されたゲームだが、これが発売された頃はwiiを持っておらず、後に発売されたPS3版を購入した。
いやー、街は凄かった。何が凄いって、全く置かれた環境の違う複数の主人公のシナリオが複雑に絡み合って構成されていることで、それぞれ関係性は希薄なのに、分岐の選択によっては大きな影響を与えており、確かな繋がりを感じさせてくれる。

例えば、主人公Aパートをプレイ中に、信号を無視するかしないかの選択肢で「無視する」を選択したとする。
すると、主人公Bが乗った車がAを引きそうになり、BはAを注意する。
しかし、このちょっとしたタイムロスで、Bは出合うはずだった人物と出会えなくなり、主人公Bパートをプレイした時にゲームオーバーとなってしまう。
こうなったら、主人公Aのパートをやり直し、選択肢で「信号を無視しない」を選ぶことによって、Bは無事にある人物と対面し、物語は進んでいく。

とてつもなく複雑怪奇で作るのが大変そうな形式だが、何気ないことの連続が主人公の運命を大きく変え、最終的に大団円に繋がっていくのだ。
現実の世界でも「あの時ああしておけば良かった」と思うことは多いはず。この作品はそんな人生そのものを体現していると言えるし、現実世界でも僕たちは緩く薄い関係で確かに繋がり合っているんだと、実感させてくれる。
街をはじめてプレイした時、ノベルとゲームの絶妙過ぎる融合に舌を巻いた。普通の小説では出来ない、映画でも出来ない、ゲームだからこそ出来る体験だった。

その街の続編がこの428。今作は前作と違い、キャラクターの設定にはそれぞれ共通点があり、より繋がりが強調されている。
前作のような、キャラクター同士がそれぞれ緩い関係で繋がっていて、あくまで『街』の中の小さな出来事に終始した展開も良かったが、それぞれの結末がバラバラで群衆劇としては物足りない面もあった。
対して今作は、一つの事件を軸としたことで展開がスマートになり、7人の主人公の物語が終盤に進むに連れて一つの結末へと収束していく気持ち良さがある。どちらも全く違った味わいがあるが、個人的には428のが好みかな。
ただ、アニメへと繋げる為に無理矢理思わせぶりな終わらせ方をさせたことは納得出来ない。アニメがなかったら428の企画さえ立ち上がらなかったようなので、仕方ないと諦めるけど。


『ダークソウル』

デモンズソウルで開拓したマゾダークファンタジー路線を、更にパワーアップさせて突き詰めた本作。フィールドは前作の拠点型からオープンワールドになってより探索の要素が増し、難易度も更にマゾになった。
しかし裏を返せば、オープンワールドは何処に行って良いのか分かり辛く、移動に時間がかかって面倒くさいという面があり、
マゾな難易度も、前作より洗練されてないレベルデザインや、対策手段が極端に限られているも関わらず最大HPが半分になってしまう大きなリスクのある呪いの存在などが起因となっており、
全体的に面倒や理不尽に感じてしまう要素が多く、前作のデモンズより作りが粗くて取っ付きが悪いのは間違いない。
しかし、粗いながらも目指す方向性は決して間違っておらず、前作のデモンズの成功で変に色気を出して万人向けにすることなく、マゾゲーダークファンタジーとして正しい方面に突き進んでいる。
デモンズの出来から考えて、あれ以上の物を作るのは難しいだろうと思っていたが、いやはやフロムには恐れ入った。大満足な作品だった。


『ファイナルファンタジー13-2』

前作はまるでプレイヤーに介入の余地がない一本道RPGで、プレイヤーからの批判も相当なものだったが、逆に言えばスタッフのエゴを最後まで貫き通した作品であり、とてもFFらしいFFだった。
対して今作は、プレイヤーの意見を聞いて無難にまとめただけの、何の特徴もない普通のRPGに成り下がっている。
確かに作りは今作の方が遥かにまともだ。タイムトラベルを利用した題材で、どの時代から進めるかという自由度があるし、成長システムもかなりプレイヤーの個性が出るようになっているし、エンディングも複数用意されている。これは全て、ゲームに管理されたように進むことを強いられた前作からの反省を踏まえたものだ。
しかし、前作を否定するかのように作られている今作が、俺は全くもって気に入らない。何故、自分達の美学にもっと自信を持たないのか。

今までのFF(特に7以降)は、プレイヤーの事など省みず、スタッフのやりたいように作ってきた。
前作のファンから反発されると分かっていても、毎回システムと世界観を変えて内容を一新し、それを全面に押し出してきた。それは、「新しいことをしよう。失敗しても良いから、とにかくチャレンジしよう」というフロンティアスピリッツ溢れる気持ちが根底にあるからだ。
今の時代、新しい事に積極的にチャレンジするゲームなんて中々ない。ましてシリーズ作品なら尚更だ。少しずつブラッシュアップしていく作り方のほうが楽だし、批判も浴びにくいし、売れるから当然だ。FFがオンリーワンであり続けたのは、そんな閉塞したシリーズ物が多い中でも、常にチャレンジする姿勢を貫き通しているからこそだ。

FFは、生みの親の坂口氏が、これが失敗したらもうゲーム業界から身を引こうという覚悟を決めて製作されたことは有名だ。いわば、背水の陣の覚悟で生まれたゲームだ。
そして今でも根底に流れるものは変わっていない。
会社の命運を背負った失敗を許されないタイトルで、ふんだんに金をかけて、それでも新しいことをやろうとする、その気概。
こんなにチャレンジスピリッツのあるゲームは、世界中探してもファイナルファンタジーしかないよ。だから俺はFFが好きだ。

13-2はあくまで13の続編であり、シリーズのナンバリングとは言い難い。続編ものである以上、前作を踏まえて作られるのは当然かもしれない。
だが、前作の欠点を潰そうと躍起になるのではなく、前作の良かった所を伸ばして欲しかった。俺達のコンセプトは間違っていないと、示して欲しかった。
前作を全否定したかのような今作は、前作の良かった所は完全に死に、かと言って今作で新たにウリとなる部分は何も見当たらず、何の魅力も特徴もないただ無難にまとまっただけの、FFとして最低の作品になってしまっている。
RPGとしてはソコソコかも知れないが、FFが普通のRPGに成り下がることに一体何の価値があるだろうか。

幸いなことに、これはFF15ではない。13-2は決して納得出来るゲームではないが、13の続編ものであるし、元となった13は下手するとシリーズを潰してしまいそうな勢いで批判されていたので、この形にするしかなかったことは理解出来る部分もある。10-2のようにチャレンジする勇気は持てなかったのだろう。
FFの分岐点となるかも知れない、FF13の存在。15がどのようなゲームになるのか、怖くもあるが今から楽しみだ。



続く。