今年最後の更新




2011年を振り返っている最中ですが、年末恒例の総決算をしようと思います。
5つの項目に分けたランキングを挙げ、最後に今年一番俺のスピリッツを高揚させた、やた大賞を選ぶとします。
ランキングにはヤクルトの項目もありますが、やた大賞の対象外です。含んでしまうと、結果が目に見えているので。


・単純に気に入ったゲーム

3位 ゼルダの伝説 スカイウォードソード(任天堂)
パーティーゲーム以外、リモコンを上手く取り入れたゲームが殆ど存在せず、ただの任天堂専用機と化していたwiiだが、
wiiUが発表されて、いよいよwiiの現役引退が近付いてきた今になって、ようやくパーティーゲーム以外でリモコンに特化させたゲームが出てくれた。
リモコンの魅力、それはキャラとの一体感、これに尽きる。特にこのゲームは、それが強調されている。
リモコンを剣に見立て、8方向の軌跡に対応した剣アクション。どの角度からリモコンを振っても、それに合わせて剣を振ってくれる画面上のリンクに感動。
敵とのチャンバラ合戦時には、自然とリモコンを持つ指にも力が入る。気付けば、夢中になってリモコンを振っている自分がいた。


2位 バイオショック2(TK2 イラショナルゲームス)
周りは完全に水で覆われた、薄暗く閉塞感漂う水中都市の雰囲気。レトロとも近未来とも言えない独特のヴィジュアル。ポタポタと滴り落ちる水滴。ボイラーから噴き出す蒸気。そして何より、悲劇の実情が垣間見える細部にまで拘った内部の作り込み。
息詰まり、切迫感漂う舞台作りが最高過ぎる。狂気じみた住人や、偽りの関係で結ばれたビッグダディとリトルシスターの哀愁漂う関係が、更にこの世界をキモく魅力的に仕上げている。
ゲームシステムも、FPSながら撃ち合いの比率を弱め、超能力やハッキング等の様々な能力を活かしており、戦略が幅広くて楽しいし、
キャラの能力を強化するにはそれなりのリスクが必要で、そのリスクを負うか負わないかはプレイヤーが選べるというのは、手持ちのアイテムや残りの体力を踏まえてプランを練れるので、実にサバイバル的な演出をしていて面白い。
世界感が素晴らしく、ゲームバランスも練りに練られた、アドベンチャーゲームの傑作。


1位 ダークソウル(フロムソフトウェア)
前作のデモンズソウルは新規タイトルながらPS3を代表する作品と言っても良いほど高い完成度を誇っていたのに対し、ダークソウルはあらゆる面においてデモンズほど洗練されておらず、荒削りな部分があるのは否めない。
だが、マゾゲーダークファンタジーとして、間違いなくデモンズよりパワーアップしてその方面に突き進んでいる。
シームレスに繋がったフィールドの密度にまず衝撃を受けた。様々なロケーションがありながら、違和感なく、自然に繋がっている世界の緻密な繋がりは驚異的。
プレイヤーはどの方向からゲームを進めても良く、常に二、三箇所以上は選択肢を用意していながら、何処から進めても常時緊張感を強いられるゲームバランスに驚愕せざるを得ない。
モンスターに関しても、見た目的にも能力的にも凶悪度が増し、初見の敵では近付き難い気持ちにさせられる。
デモンズでマゾゲーが受けいれられ、更にマゾゲー度をパワーアップさせてプレイヤーを篩にかけた今作は、デモンズのような取っ付き安さこそないが、目指す方向としては決して間違っておらず、正しい方向にパワーアップしている。
いやー、大満足だよ。


・単純に感心したゲーム

3位 TES5 スカイリム(ベゼスダソフトワークス)
相変わらずバグは多いし、フリーズもする。オマケに処理落ちしまくったりと、ゲームとして販売して良いレベルに達していないのだが、悔しいことにこのゲームは凄い。
フィールドが広くて何処から進めても良い自由度と、全てのNPCにAIが用意されており、街そのものが完全に生きてるように感じさせられる、ベゼスダゲー最大のウリは勿論健在。
今まではそれだけで終わり、「舞台は用意した、あとは自分で考えて楽しめ」と言わんばかりに、ゲームを楽しませる為の工夫は全くされてなかったのだが、
今作はキャラのモーションが改善されて戦闘の見栄えがかなり良くなり、クエストもドラマチックで淡々として進む感じが薄まり、ダンジョンも仕掛けが満載でメリハリが効いていたりと、
制作側の方から、ゲームを楽しめるようにと色々テコ入れしており、自分で妄想しないとイマイチ楽しめなかった前作までより、ゲームとして格段に進化している。
何より感動したのは、街でブラブラしていたら、いきなりドラゴンが街の中まで襲来してきた瞬間。決まった演出でも何でもないんだよね、これ。
この世界に必然はない、だからこそ全ての出来事にワクワクしてしまう。
これだけ凄いことをされると、フリーズも仕方ないかなと思ってしまう。


2位 デッドスペース2 (EA ヴィスカルゲームス)
今世代で、間違いなく最怖のホラーゲーム。
まず、ゲーム的な情報は徹底的に画面から消し去っているのがリアリティを生み出していて画面に没頭させられる。当然のように暗転は全くなく、ロードはエレベーターが来るまでの僅かな間に処理しているという、没入感を削がさないよう徹底したゲーム作り。
クリーチャーは常に何処から飛び出してくるか分からないし、ただ急に飛び出してくるだけでなく、来るぞ来るぞと思わせといて、中々来なかったりと、静と動の使い分けも見事。
アクションゲームとしても面白く、弾のマネジメントに常時頭を悩まされて、サバイバル的な感じが生まれている。ジリ貧に追い込まれると、更に恐怖感が募ってくる。
日本では発売禁止なので敷居は高いが、ホラーゲーム好きなら問答無用でやるべき作品。


1位 アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス(SCE ノーティドッグ)
もうね、とにかく映像のクオリティが異次元過ぎるの。演出をダイナミックに見せるという点において、このゲームほどレベルが高いものはないと断言出来る。
しかも、どう考えてもムービーにしか出来ないようなシチュエーションの中で、普通にプレイヤーが動かせちゃうのね。
特に、飛行機のハッチが開いて、荷物が滑り落ちてく中、引っかかった荷物に掴まって落ちないようにしている絵とか、冗談抜きで映画館で見るより凄い迫力と臨場感がある。
シューティングがつまらないのと、シナリオが最後アッサリ気味なのは残念だが、これだけ凄いゲームがたった5000円で買えるのだから安いものだ。


・単純に気に入った映画

3位 Xmen ファーストジェネレーション(マシュー・ボーン監督)
プロフェッサーXとマグニートの若かりし頃の話で、後付けながらも、Xmenの本編に繋がる伏線の数々が実に自然に張られていて、単純に感心した。
敵キャラも魅力的で見せ方が良く、研究所襲撃の演出には鳥肌が立ったし、出来る大人対大学生のような子供の構図も良かった。
普通にXmenシリーズの最高傑作だと思う。


2位 クレヨンしんちゃん 黄金のスパイ大作戦 (増井壮一監督)
俺はクレヨンしんちゃんのアニメが大好きで、何故かと言うと、これほどバカバカしくて下品なネタで笑わせてくれるアニメは中々存在しないからなのだが、最近のクレしんは、ぞうさんネタやケツだけ星人が封印されて、随分お馬鹿要素が薄まっていた。
恐らく、子供がマネするからとか、精神衛生上良くないと言った、PTAからの要望のせいなのだろうが、ケツを出さないしんちゃんなんて、シャアがいない初代ガンダムのようなものだった。
が、この映画ではアニメで出来ないようなお馬鹿要素が振り切っている。
黒幕の野望が「屁を集めて世界を臭くする」と言うのが、実にバカバカしくて素晴らしい。
最後にしんちゃんとヒロインのレモンが、島を飲み込むくらいお腹を膨らませて、オナラを吐き出すシーンはあまりに馬鹿馬鹿しすぎて大爆笑してしまった。ヒロインにも何の躊躇いもなくオナラをさせてしまうあたりがクレしんだよなー。
ストーリーも普通に面白いし、アクションが地味な事以外は大満足な映画だった。


1位 コクリコ坂から(宮崎吾郎監督)
本来は断トツでダークナイトなのだが、流石に一位が今年の作品でないのはアレだから、インセプションにしよう!と思ったらインセプションも昨年の作品で、
それならと次に思い付いたのがヒックとドラゴンなのだが、これもやっぱり昨年の話で、とにかく今年はズバ抜けて気に入ったと言える映画が思い付かないのだが、消去法的に考えてこれかな。
何か随分酷い言い方だが、この映画は普通に面白い。あの悪名高いゲド戦記を監督した、宮崎駿の息子の宮崎吾郎が監督した映画なのだが、演出・キャラの見せ方・テンポ、どれを取っても比べものにならないほどレベルが上がっている。
今作はファンタジー的な要素は一切ない。
空飛ぶ化け猫は出てこないし、両親は豚にならないし、狼に育てられたツンデレ娘もいない。ジブリ特有の、ファンタジーの異世界を期待して見ると、肩透かしを喰らうことは間違いない。
しかし、俺はこのコクリコ坂を強くオススメしたい。ファンタジー的な面白さはないが、確かなメッセージ性がこの映画にはある。
最近のジブリはストーリーがあってないような物だったり、「澄んだ心の持ち主である女性なら、たとえクリーチャーになろうと婆あになろうと、俺は愛でることが出来る!」と駿の自己主張が暴走した訳の分からない物ばかりだったが、
コクリコ坂からは作品を通して何かを伝えたいんだという宮崎吾郎の強い意志を感じる。
ゲド戦記においてもその意識は強かったが、力量が伴ってない為に押し付けがましい物になっていた。
前作で散々な評価を下されたにも関わらず、めげずに、コクリコ坂で宮崎吾郎は見事な仕事をしてみせたと思う。
まだ不器用な部分はあるが、それでも充分エモーションを得られる物に仕上がっている。
深く考えずとも、見るだけで誰もが楽しめるのがジブリの特徴だが、たまにはこういうメッセージ性に訴えた作品があっても良い。
久しぶりに素直に心に響くものがあるジブリ作品だった。


・単純に感心した映画

3位 インセプション(クリストファー・ノーラン監督)
夢の中に侵入するという映画なのに、映像的には地味であまり面白味がなかったのは残念なのだが、
複雑過ぎるルールのもとに作られた演出が素晴らしく、特に最後の幕引きは見事と言う他ない。


二位 ダークナイト(クリストファー・ノーラン監督)
ジョーカーに扮したヒース・レジャーの怪演に身震いしてしまった。あの得体の知れない不気味さは、決してメイクから来ているのではない。そこにいるだけで疑心を煽られ、何もかも信用出来なくなり、空気を張り詰めさせるオーラが全身から滲み出ている。
ジョーカーが持つ、狂気とも哀愁とも可笑しさとも言える混沌としたものを見事に演じきっていた。そのトリックスターぶりに拍手せざる得ない。メリハリのあるカメラワークが更に彼の存在を引き立てている。
これは本当に映画館で見たかったなぁ。


一位 トランスフォーマー ダークサイドムーン(マイケルベイ監督)
CGのクオリティが凄くて、車がギュインギュイン言いながらロボットに変形するのがカッコ良くて、激しすぎて何をやってるのか良く分からないアクションに何となく見いってしまう。
コンボイさんの鬼畜っぷりとか、前作までのヒロインがなかったことにされてるあたりとか、メガトロン様の不遇っぷりなど、突っ込みどころは数知れないが、単純に映像の凄さに特化させた、これほど映画館のスクリーンに適した映画もない。


・心に響いたヤクルトの試合

3位 ヤクルト2ー1中日(11月4日)
CS第三戦。
たった一日の移動日で始まったCS決勝。
CS一回戦で捨て身の野球をして完全に力を使い切ったヤクルトに余力は全くなかったのだが、負けたら明日はないと言わんばかりの采配でチームを鼓舞し、それに選手が乗っかる形でチーム全体が鬼気迫る執念に溢れていた。
そしてあれだけシーズン終盤にボロ雑巾のように敗れてきた中日相手に勝ち取った2勝。良い野球を見せて貰った。


二位 ヤクルト3ー1巨人(10月31日)
CS通してそうだが、結局勝敗を分けたのは、この試合にかける執念だった。
二日後にはもう第二ステージが始まると言うのに、惜しみなく先発候補の村中を投入し、ブルペンでは増渕や館山も肩を作っていたように、この試合にかけるヤクルトの選手・首脳陣の思いは並々ならぬものがあった。
このファーストステージのヤクルトの戦い方は、使える戦力は全て使い切る玉砕覚悟の捨て身野球で、先の事など全く考えずに挑んだ結果がヤクルトに勝利をもたらした。
正直言って、この戦い方は選手を怪我させかねないし、特に現在進行形で故障中の館山を無茶させたのは彼個人の将来にも関わることなので、あまり褒められたやり方ではない。
でも、それを顧みないで、選手生命を削ってでもという覚悟を持って戦っている選手達を見てると、やっぱり心に来るものが
ある。


一位 ヤクルト1ー2中日(11月6日)
館山の命を削るかの如く投げていた姿に泣かされた。
故障がちで、毎年のようにシーズン途中で離脱し、今年は指の血行不良を抱えながらも復帰してペナント終了まで投げていたのだが、
流石に中2日の過酷なローテーションには耐えられず、6回の時に右手がテレビでクローズアップされたのだが、血の気が見られず真っ白だった。
井端に投げる前の腕を揉む仕草から見ても、限界が来ていたことは間違いなかった。
疲労困憊で、腕も手もボロボロになって、それを悟られないように何度も牽制球を投げて、そんな館山を真っ直ぐに見つめる監督がいて。
監督は館山が限界だと分かっていたはずだ。正直、何故あの場面で代えてやらなかったんだと今でも思う。
でも、監督はそれだけ館山を信頼していたと言うことなのだろう。館山で負けるなら仕方ないと考えていたのだろう。
小川監督の選手を信頼する野球は間違っていない。選手を信じ抜き、それを選手が粋に感じて、チームが一つになっていたから、ヤクルトは少ない戦力の中でも最後まで優勝争いが出来た。
終盤で優勝を逃し、CSでも勝ち上がることは出来なかったが、CSでのヤクルトの野球は本当に良いものだった。
優勝して監督の胴上げを眺めるのもそりゃ嬉しいだろうが、そんなことより、良い試合に立ち会えて応援出来ることこそが、ファン冥利に尽きると、そう思えるシーズンだった。


・Yata of the year

三位 キャサリン (アトラス)
シナリオが雰囲気だけでいまいちだったり、リスタートするたびに何故かメニューに戻らされたりと、色々と問題のあるゲームなのだが、
ゲームのメインであるパズルの難易度が異常なまでに高く、あまりの死にまくりっぷりに笑えてくるのと同時に、何としてもクリアしてやると燃えてくるものがあった。
それだけに接待ゲーとしても非常に適しており、死んだら交代プレイがとても楽しく、
「色々融通の効かないゲームだけど、結局楽しければそれで良いよね」と、ゲームの根源的な楽しさを思い知らせてくれた。
俺自身はクリアー出来ておらず、友達がクリアーしたのを見て、エンディングを拝むことが出来たのは秘密。


二位 ゼルダの伝説 スカイウォードソード(任天堂)
別に俺はゼルダ自体あまり好きではないし、今更SD画質の映像にはテンションが下がってしまう部分が大いにあるのだけど、
何だろう、とにかくリモコンを振った通りにリンクが剣を振ってくれるのが嬉しくて、その剣のアクションに伴ったギミックがまた新鮮で面白くて、敵とのチャンバラ合戦が楽しくてと、
とにかく夢中になってリモコンを振っているうちに、いつのまにかクリアーを迎えてしまっていたゲーム。それほど没頭していたんだと思う。
wiiが出た当初は、こんなゲームがたくさん出てくれるのだろうと妄想していたっけ。
それがようやく形になった時にはもうwiiの引退が間近に迫っているのだが、見事にスカイウォードソードで有終の美を飾ることが出来た。


一位 ダークソウル(フロムソフトウェア)
HD機が出てからというもの、海外勢の台頭が目立ち、物量や作り込み、遊びの幅広さに関しては日本のゲームを完全に圧倒していた。
それでも、システムのオリジナリティやゲームバランス、インターフェースなどは日本のゲームの方がまだ優秀だったのだが、
海外のクリエイターもそのことは良く分かっているようで、最近では日本のゲームの良いところを取り入れようとしている面があり、
スカイリムやバイオショック、デッドスペースなどをやっていると、海外のゲームも良い意味で日本のゲームの特徴を迎合してきているなと感じる。
と言うわけで、いよいよ日本と海外の差が開きつつあり、和ゲー好きとしてはもっと日本のゲームにも頑張って欲しいのだが、
そんな中で正面切って対抗出来ている数少ないタイトルが、このダークソウル。
オープンフィールドの徹底的な作り込み、どこから進めても良い懐の広いゲーム性と言った海外的な作りと、
キングスフィールドから熟成している職人芸のゲームバランス(ただし終盤を除く)、革新的なオンラインに、キモくてグロくて禍々しい素敵なデザインのモンスター達と言った、日本的な作り。
海外と日本のエッセンス、そのどちらをも取り入れて見せた傑作RPG。
文句なしに、今年ナンバー1のゲームだ。


では、良いお年を。来年もよろしくお願いします。