巨像がデカい。それだけと言えばそれだけのゲーム







PS2とPS3で出てるアクションゲーム。開発はSCEJ。俺はHD版をプレイ。

巨像がデカい。とんでもなくデカい。かつて、ゲーム中でこれほど敵を見上げたことがあっただろうかと思うほどデカい。とにかくデカい。
それを引き立てているのが、巨像をロッククライミングのように登り、弱点を探していくという独自の戦闘システムで、巨像の大きさを直に感じさせてくれる。振り離されんとばかりにしがみついたり、弱点に剣を突き刺そうとしたりする主人公ワンダの姿を見ていると、ボタンを押す指に思わず力を込めてしまうほどで、自然な一体感を見事に演出している。この時、確かにプレイヤーは主人公とリンクしているような感覚に陥る。
ゲームの世界に引き込むうえで、主人公になりきらせるというのは非常に重要な要素であり、これほどまでに、このゲームにハマったシステムはないと言える。

そして何と言っても巨像が美しい。PS2のゲームをHD化しただけとは思えないクオリティ。何百年も動かずにそこにいたかのような無機質さと、雨風にさらされて朽ちかけた岩の質感を高い完成度で描いている。
この巨像16体を倒していくのがゲームの目的で、それ以外の敵は殆どおらず、巨像との戦闘一点に集中して作られたからこそのクオリティとも言えるが、それにしてもこの巨像一体一体の作り込みは並々ならぬものを感じる。

と、芸術性は素晴らしいものがあるが、ゲームとして見ると微妙で退屈なのは否定出来ない。
やることと言ったら巨像との戦闘と巨像を探すのにフィールドを駆け回るだけで、フィールドは広大でシームレスだが、ただ無駄に広いだけで探索しても巨像以外何もないし、似たような風景ばかりで退屈。そのくせ移動における時間が長くてダルくなりがち。
巨像との戦闘もやってることは同じことの繰り返しなので、次第に飽きる。操作性も悪いし、馬の操作感覚に関しては閉口するレベル。リアルっぽさを出す為の挙動なのだろうが、あれはない。

しかしまぁ、このゲームは如何にして巨像の巨大さを演出し、それをプレイヤーに感じ取ってもらうかという一点を目指しており、そのためには多少のゲーム性の犠牲はやむなしという感じで作られているので、雰囲気を楽しめなければ辛いのは仕方ない。コンセプトのみで言えばこのゲームは完璧なまでの仕上がりであると言える。
つまり、雰囲気ゲーとしては素晴らしい出来だが、その域を超えることは出来ていないので、この世界観にピンと来なかった人にはあまりオススメしない。
逆に世界観に惹かれたなら間違いなく満足させてくれるので、ある意味とても分かりやすいゲーム。