戦闘に難ありだが、動かしているだけで楽しいのだから仕方ない







PS3の箱庭アクションゲーム。開発はサッカーパンチ。

箱庭ゲーム楽しみは、制約が少ないことによる開放感と、住人にちょっかいを出して反応を楽しむところにあると個人的に思うが、インファマスは後者の点で非常に優れている。少し言い換えると、このゲームほど街の中を派手に暴れ回れて、秩序を乱すのが楽しいゲームはない。
例えば、箱庭ゲーの代表例であるGTAにしてもセインツロウにしても、少し銃を撃つだけで警察が嗅ぎつけて現れるので本当の意味で好き放題暴れ回れないし、ハチャメチャ出来るといってもキャラクターが普通の人間である以上戦闘は常人の域にあった。それに比べてインファマスのカオスっぷりときたら凄いことになっている。

とにもかくにも主人公のスペックが凄い。電気を自在に操るという反則的な能力を持っており、その技がとにかく派手。
車を電磁波で持ち上げて投げたり、高い所から飛び降りて衝撃波で周りの人を吹っ飛ばしたり、倒れている人の生気を吸いとって自分の力にしたりと、いちいち外道じみていて素敵。特に電磁トルネードは、見た目的にも威力的にもまさに必殺技と言うような技で凄まじく爽快。
警察は一応いるが、主人公の敵ではなく、いくら住人を痛ぶってもお咎めは殆どなし。ある程度邪魔があった方が楽しいのも事実だが、爽快感を重視しているインファマスにそんなヤボな要素は必要ないだろう。
俺みたいに「皆殺し・・・皆殺しだあああああ!!!」と不謹慎じみたアクションが好きな人には堪らない。このゲームほど破壊願望を満たしてくれるゲームは中々ない。
操作性も良く、キビキビ動き、カメラワークも自在な為に単純に動かしているだけで楽しいし、これだけ強力な技を擁しながら、電気を帯びてる物から給電するだけで使える手軽さなのがまた良い。
敵の暴れ回りっぷりも素晴らしく、モンスター、暴徒、主人公、と三者入り乱れての戦闘は実にカオス。
中でもアホみたいにデカいボスが街中を破壊し尽くしながら歩き回っている姿は壮観で、人々が逃げ惑い、木々は倒され、車は炎上し、建物が崩れていく光景には箱庭ならではの臨場感があり、リニア型ゲームの決められた演出より興奮するものがある。壊せるオブジェクトや建物も多く用意されていて、カオスっぷりに磨きをかけている。
箱庭であることも良いことばかりではなく、ミッション地点まで移動するのが面倒だったりするのだが、クライムアクションで建物を登っていくのが楽しいし、終盤になると電磁ワイヤーを射出する技を取得でき、スパイダーマンのように建物から建物へと駆け回れるようになると移動まで楽しくなる。
また、一部のミッションは途中で善人プレイするか悪人プレイするか求められるのだが、その選択の問い方がこちらの好奇心を上手いことそそってくるので、悩まされてしまい面白かった。住人を攻撃することで悪人ゲージが溜まり、ルートが変わるのも面白い要素
シナリオを進めていると徐々に行ける範囲や技が解除されていくのでモチベーションが保てるし、敵を倒すと経験値が貯まり技をアンロック出来る様になるため、サブミッションもやる気が出る。バリエーションに関しても前作より遥かに増し、他の超能力者と協力しながら戦えたりして良かった。
技も今回は電気ばかりでなく、途中で炎か氷の技を習得出来る様になり、電気とはまた違った感じの面白味があって楽しい。二種類のエンディングを見れば、炎と氷の技両方とも使える様になるのも嬉しい。これだけ技が豊富なのにも関わらず、技の変更がお手軽で簡単なのも凄いと思う。
しかし、バグなのか何なのか知らないが、俺の場合、あるミッションをクリアーしたあとにアンロックされるはずの氷の技、炎の技が何回ミッションをやり直してもアンロックされなかった。一回最初からゲームをやり直してもそのバグは直らず、結局二種類のエンディングを迎えたあとの今更なタイミングでようやくアンロックされた。
攻略サイトや2chのスレを見てもこのようなバグの報告はないし、俺だけ運悪く当たっただけの気がするので皆は気にする必要ないと思うが、当事者の俺としては全くもって納得出来ない。

しかし、ゲームの8割を占める戦闘が凄まじくつまらない。
「細けぇことは良いんだよ!」と言わんばかりの爽快感重視の作りで、実際技は爽快感に溢れているが、その割に雑魚敵が硬かったりチョロチョロ動いたりとイライラする部分があるし、ボスも動いてるのをみるのは楽しいが、戦闘は至極退屈で、弱点に攻撃するしかダメージを与えられないし、同じ奴ばかりが出てくるので単純に飽きる。
秩序も何もない画作りは素晴らしいし、キャラを動かしているだけで楽しく、技も派手で面白いのに、このゲームの大部分を占める戦闘の単調さと煩わしさが大いに足を引っ張っている。
とはいえ、動かしているだけで楽しく、画になるゲームなので、いかにアクロバットにアクションをしながら敵を倒すか、とか考えながらプレイすれば気にならないかもしれない。

まとめると、キャラを動かすのは楽しいがゲームの大部分を占める戦闘の作りが甘い。これはレベルデザインの問題もあると思うので、箱庭である限り解決するのは難しい気もする。
アクションが楽しいだけあってキャラになりきって遊ぶのが好きな人はハマるだろうけど、そうでない人は飽きるのが早いと思う。
ゲームとしての作りはまだまだ甘いが、技術的にはかなり目を見張るものがあるので、これからの成長に期待したいゲーム。