メガトロン様の小物っぷりに泣ける映画。若干ネタバレ注意。





“惑星サイバトロンから地球にやって来た金属生命体『トランスフォーマー』
今ではすっかり人々に認知され、悪の軍団ディセプティコンは人間を配下に置き水面下で地球を制服しようと企んでいた。
一方、独善軍団のオートボットはディセプティコンの企みを阻止する為に行動を起こす。こうしてまたも地球はロボットの争いに巻き込まれ、メチャクチャになるのでしたとさ。”

初っ端から主人公の彼女が全く見覚えのない奴になっていて、え?前作で僕たちは一緒にエイリアンを知り合った仲(キリッ ってカッコ良く決めてたのにまさか別れたの?
それともこの女は当て馬で、後から前作までの彼女が劇的な登場を果たすとかそんなオチなのか?とか考えていたら、前作までの彼女との関係は清々しいまでになかったことにされていて、頭が混乱したのだけど、
映画が終わった後に連れに事情を聞いてみたら、どうやら前作までヒロイン役だった女優は監督の逆鱗に触れて降板となったらしく、急遽設定を変更して新しいヒロインを用意したらしいという、
そもそも始まる前からグダグダになることが運命付けられた映画なのだが、まぁこの映画はCGで再現されたバカでかいロボットのハチャメチャなアクションを楽しむ物なので、映像さえ凄ければそれで良い。
監督も客のニーズは分かっており、前作まではストーリーなどあってないような物で、殆どがロボットの映像で占め、あとは下ネタ全開の頭の悪いトークで間を適当に埋めていた。
今回、頭の悪いトークは随分控え目となったが、シナリオが無駄に凝ってるせいでテンポが悪くなっているのが大問題。こちらとしては、早くトランスフォームしろよ!とっととコンボイ様の鬼畜プレイを見せろよ!という気分でいっぱいなのに、シナリオがそれを邪魔してくる。
加えて、このシナリオの中身がまたいい加減というか、メガトロン様の扱いが酷すぎて全俺が泣いた。
悪の軍団のリーダーであった面影は最早なく、完全に落ちぶれて機械の蛆が集る浮浪者と化し、それでも頑張って秘密裏に地球を征服する計画を進めるのだけど、途中で現れた新鋭のトランスフォーマーに役を奪われてからは更に威厳が落ち、終いにはヒロインにこのままで良いのかとハッパをかけられる始末。この小物扱いっぷりに哀れみを感じずにはいられない。
そのハッパに発奮して、新鋭に立ち向かう姿はある意味最高に輝いていたが、メガトロン様、何か違うよ・・・と思わずにはいられず、新鋭を倒した後にメガトロンが言い放った「コンボイ、決着を付けよう!」のセリフで最高に震え上がるところまでがこの映画におけるメガトロン様のピークで、その数秒後に瞬殺されるという展開に吹かざる得なかった。
しかし、相変わらずコンボイは鬼畜だわぁ。ある意味助けられたメガトロンを全く感謝することもなく瞬殺し、少し自責の念に駆られていた新鋭も慈悲なくトドメを刺すというドSっぷり。
劇中に、新鋭がコンボイに対して「お前は甘さがある!非情になれないから駄目なのだ!」などと言い放ち、傲慢で独善的でドSであるコンボイのどこをどう捉えたらそんなポジティブシンキング出来るんだよと思ったが、映画が終わる頃には新鋭もコンボイの鬼畜っぷりを身を以って知ることとなった。

映像面は流石の一言。
これ本当にCG?と思わせるほどリアルなロボットが、CGでしか出来ない激しい超アクションを繰り広げる様は臨場感とかいうレベルでは言い表せないほどの度迫力だし、
ロボットがギュインギュイン音を言わせながら変形しているシーンは純粋に子供心をくすぐられる。
今回の見所はバカみたいにデカくてとぐろを巻いている蛇型のトランスフォーマーが、ビルに突っ込んでクネクネと畝るシーン。ここは圧巻だった。

ちなみにIMAXの3Dで見た。
3Dで映画を見たのは4回目で、今まで見た映画では別に飛び出して驚かされるわけでもなく、ただ奥行きがハッキリしているというだけで、目が疲れるデメリットを埋めるほどの物ではないなーって感じだったが、この映画の3Dは中々良かった。トランスフォーマーのドヤ顔アップシーンとか、機械の破片が飛び散るシーンは凄い迫力だった。
ただ、154分と糞長いこともあって途中で目が死んだ。終わった後は目が真っ赤になって、その様子を見た連れに「え?もしかして泣いちゃった?どこか泣ける要素あった?」と馬鹿にされた。

IMAXとは、知る人ぞ知る高品質映画スクリーンの名称。他のスクリーンと比べて大きいだけでなく、音響も良く、解像度も高かくて、3Dも綺麗に見えるらしい。
全国でまだ15館ぐらいしか存在しないのに、田舎町の奈良に何故か建てられたので、せっかくだから行って来た。
感想としては、確かにスクリーンは大きかったけど、映画を見ていると大きさはあんまり気にならないし、音響も違いが良く分からなかったし、3Dもそんなに劇的な効果があったと思えないので、俺みたいな映画素人はあんまり行く意味がないと思った。400円も余計に高いし。

映画の方をまとめると、今回はやたらとシナリオが鬱陶しくてテンポが悪い。が、映像はいつも通り凄い。
この映像の迫力は他の映画では中々味わえないので、シナリオの弱点も十二分に補えていると言える。この映画ほど、映画館のスクリーンの恩恵を受ける物もないだろう。3Dは目の筋力に自信がある人なら。
レンタル待ちなんて染みったれたことは言わず、是非映画館に足を運ぶことをオススメする。
しかしこれ、最終章なのな・・・ そんな雰囲気微塵も感じられなかったけど。メガトロン様がついでの感じで殺されたのも最終章だからなのか。ラストなのに見せ場も与えられないなんてカワイソス。