キング・オブ・作業ゲー







PSPのリズムRPG。開発はピラミッド。

プレイヤーがやることは4拍子のボタンをリズム良く押すだけ。それが指示となり、ボタンの組み合わせによって、進軍したり攻撃したりとパタポンの群れが動いてくれる。
しかし、指示を出してからパタポンが動くまで少し間があるため、アクション的な楽しさはほぼない。
このゲームのウリは、切り絵のような見た目をした映像。とにかく映像のセンスが良い。
パタポンやモンスターのデザインがシンプルでとても良く、小さいパタポンが巨大な敵と対峙した時の見た感じが蟻が大きい獲物に群がってるみたいで、パタポン達がチコチコと敵を目掛けて攻撃しているのを眺めるのがとても爽快で楽しかった。
そこに、自分のパタポン軍団をチマチマと生産し、武器を持たせて強化していくRPG的な要素が加わって、作業ゲー独特の中毒性があった。

と言うのが、前作までの感想。ところが今作はパーティが最大4体に絞られたことにより(前作までは最大19体)、見た目の面白さが大幅減。
同時に、敵も人海戦術の雑魚が減って、大型の敵が増えたため、あれほど賑やかだった画面が随分と寂しいことになっている。
しかし、これによって大幅にパワーアップしたのがRPG要素。前作までは19体も仲間がいたために、装備を集めるのが大変だった。また、仲間がロストすることもあったので、あまり育てる意欲が湧かなかった。
対して今作は、ロストがなくなり、仲間が4体に絞られたことで、愛着が湧きやすくなり、育成に集中出来るようになった。勿論、成長要素も大幅に増しており、豊富なクラス、クラス毎に用意されたレベル、スキル、武器の育成と、これでもかと育てる楽しみが詰め込まれている。
が、正直なところ、俺は依然のパタポンの方が好みだった。パーティが少ないのはやはり寂しいし、仲間を量産していくのが好きだったので、それがなくなったのは残念。でも、これは好みの問題であるし、パーティが少ないからこその利点もあるわけで、この方向性も悪くないと思う。
しかし、その方向性を推し進め過ぎて問題になっているところがあるのだが.....つうか、ハッキリ言ってゲームバランスが酷い。

このゲーム、とにかく難易度が異常なまでに高い。しかもゲームの性質上、プレイヤースキルはあまり問われないので、レベルが物を言う。つまり、ひたすらレベル上げの作業を強いられることになる。
それは良いが、レベル上げやアイテム稼ぎの為に用意されているサブクエストがまためちゃくちゃ難しくて普通に詰む。
しかし、メインクエストは一度クリアーすると挑めなくなるし、自分のレベルより4以上低いレベルのダンジョンに潜っても補正が働いて経験値が全く入らなくなる。つまり、レベル上げを強いておきながら、経験値を稼ぐ選択肢があまりに狭いのである。
何故このような構造になってるのかと言うと、恐らくクラスの仕様の為だと考えられる。
クラスとは、それぞれ能力値や技が違う個性のことで、ドラクエで言う職業みたいなもの。クラスはいくつも用意されているのだが、解除するには条件がある。それは特定のクラスを一定のレベルまで上げること。クラス毎にレベルがあるので、複数のクラスを一定レベルまで上げることでアンロックされるクラスも存在する。
要するに開発スタッフは、様々なクラスのレベル上げて、より強いクラスをアンロックしながら進めていくプレイスタイルをユーザーに望んでいるのだろう。だから、経験値補正を敷いて、一つのクラスに一極集中出来ないようにしたのだろう。
様々なクラスを使わせたい意図は分かるが、それを強要するかのようなバランス調整が全くもって気に入らない。
俺は好きなクラスを使い続けたいし、複数のクラスをレベル上げなんて作業は面倒でやってられないし、俺は俺のやり方でゲームを進めたい。しかし、それに応えてくれる柔軟性がこのゲームにはない。
レベル上げの作業を強いられてもクエストの種類が豊富だったり、ランダム性に富んでいればまだ良いが、それすらないどころか、一面が異常に長いし、本当に辟易としてくる。
ただ、装備によるインフレした上昇曲線は素晴らしかった。何しろ、新しく手に入った武器で能力値が100以上上がることがザラ。
おかげで宝箱を開ける時のワクワク感は堪らないものがあるし、この数字の上がりっぷりはやみつきになる。この辺りの調整は上手いんだけどなー。が、装備に関しても倉庫の使い勝手が酷くてげんなりした。

アクション部分も変更があり、ジャストのタイミングで押すと強力な技を出せるようになったり、コンボを続けることでフルボッコタイムを発動出来たりと、リズムアクションならではの要素が増えた。
そうしてリズム良くボタンを押し続ける必要性が増したのに、何故ボタン連打しないといけない場面があるの?これ本当に意味が分からないんだけど。
ボタン連打しないと問答無用で仲間を一人殺されるし、かと言ってボタン連打するとコンボが途切れるし、駆け引きも何もデメリットしかない。明らかにバランス崩壊した敵も多いし、本当にテストプレイしたのか疑いたくなる。

結論を言うと、今作は全く合わなかった。作業を強いるバランス、少人数パーティ、矛盾しているアクション、使い勝手の悪いインターフェース、全てがダメだった。
作業ゲーもここまでくると戦慄する。これほどまでに作業を強いられると単純にダルいし、途中で嫌になる。作業させるにも限度があるだろと。別にクリアー後ならいくらでも作業させれば良いけど、メインの初っ端からこれはない。スタッフの「作業させてやるんだ!」と言うあざとい考えが見え透いていて何か嫌だった。
そしてもっと言うと、このゲームは実際のところ作業ゲーに向いていない。常にリズムに合わせてボタンを押す必要があるので、どのクエストでも気楽にやれないから。
まぁ、それはシリーズ当初からの問題点だったから今更言うことでもないし、作業ゲーと言っても作業が好きな人もいるだろうから、そういう人にはジャストフイットなゲームであることも間違いない。
イベントのバリエーションも増えたし、PSNが死んでる状態なので出来ないがマルチプレイも楽しそうなので、パタポン好きな人は購入してみても良いかも知れない。