マンネリだが、間違いなくシリーズ最高傑作






PS3のSRPG。開発は日本一ソフトウェア。

何とも如何わしい企業名だが、パラメーターのインフレした数字に限って言えばディスガイアシリーズは確かに日本一かも知れない。
何しろこのゲーム、レベルの上限が9999、パラメーターの上限は999万9999と、第一次世界大戦後のドイツ経済を遥かに凌駕する凄まじいハイパーインフレっぷり。これほど数字が異次元だと逆に育てる気力を失くしそうだが、如何に効率良くレベルを上げるかもこのゲームの醍醐味の一つ。
例えば、レベルより装備によるパラメーター補正が強いため、レベル1でも装備をガチガチに固めることで簡単に強敵を倒せる。この仕様を利用すれば、レベルが低いキャラでも簡単にレベルを飛躍させられる。レベルが1→40という具合に跳ね上がったりして、一気にレベルが上がる様を見るのが何とも爽快。
また、議会で経験値を3倍貰えるようにしたり、敵を合体させてわざと敵のレベルを上げて貰える経験値を増やしたりと、プレイヤーが工夫してレベル上げ出来るように様々な術がこのゲームには用意されている。
これらを試行錯誤して効率良くレベルを上げる方法を探すことが、一種のゲーム性になっているわけだ。

インフレした数字に目を奪われがちだがシステムも面白いものが多い。
ゲームの内容自体は至って普通のSRPG。SRPGのほとんどは、「ファイアーエムブレム」か「タクティクスオウガ」を型取ったものが多いが、ディスガイアはタクティクスオウガタイプに属する。高低差に富んだマスマップのあれである。そこに「投げる」や「ジオブロック」等、独自の要素が組み合わさってディスガイアのシステムは成り立っている。

特に画期的だと思うのは、味方又は敵を持ち上げて放り投げることが出来る「投げる」システム。
SRPGの何が嫌いって、無駄に移動が長いせいで膠着状態になりやすく戦局が地味になりがちなことなのだが、この「投げる」によって大胆な戦略が取れるようになったと伴に、めちゃくちゃ高い段差や離島など、マップの多様性が増した。
投げる一つ取っても、バレーのレシーブのように対象を打ち上げたり、持ち上げてタワーを作ったり、縄跳びをしたり、大車輪したりと、ユニークな技が色々用意されていて面白い。

更に戦闘にメリハリを与えているのが「ジオブロック」の存在。
これは簡単に言うと「遠距離攻撃禁止」や「攻撃力+50%」といった、パラメーターを補正したり行動に制限をかけるもの。最初は敵側が有利になるようにブロックが配置されているが、活用次第ではプレイヤー側に有効に働き、如何にジオブロックを利用するかが攻略の鍵になる。
ここでも「投げる」システムが活きており、どのように動かせば不利な状態を打開出来るか考えるのがとても楽しい。また、綺麗に連鎖が決まった時のカタルシスは堪らないものがある。

SRPGのウリであるジョブの種類も豊富だし、ロードも短く、インターフェースも快適。装備やアイテムにもレベルがあったりしてボリュームは膨大。SRPGとして安心して遊べる作りでありながら独自の要素が上手く働き、そこにインフレした数字が強烈なインパクトを与える傑作SRPG。
そのディスガイアシリーズの最新作がこのディスガイア4にあたるわけなのだが、今作は間違いなくシリーズ最高傑作と言って良い。

まず、映像が突然変異を遂げて前作までのボケボケグラフィックから一新。ドッターの身体が心配になるほどドット絵が洗練されており、アクションや演出が見栄えるようになっている。今まで一枚絵だったシナリオ進行でキャラが動くようになった点も見逃せない。

ゲームバランスはこれまで以上に練られており若干難し目だが、常に手に汗握るギリギリのバランス調整は見事。
あと一撃で全滅という場面が何度あったことか。ごり押しでは進めず、かと言って無理にレベル上げの作業を強いられることもない、戦略でどうにかなるステージが多く、バランス調整は職人の域。
逆に、クリアー後に登場するマップには唖然とするほど強い敵が現れてストーリーとは打って変わって大味だが、先にも言ったようにレベル上げの工夫もこのゲームの醍醐味の一つ。ここでインフレした数字のパワープレイを思う存分楽しむことが出来る。

ストーリーも中盤までは良かった。
悪魔でありながら約束を絶対に守る主人公の設定は面白可笑しく、脇を固めるキャラも魅力的。全体的にギャグテイストながら序盤から伏線が色々と張られ、先の展開が気になる作り。
ところが終盤の伏線回収が雑過ぎる。いくらでも感動的な展開に出来るのに、何であんなに雑なんだ。最後に至ってはドタバタ感が強く、全然釈然としなかった。中盤までは本当に良かっただけに勿体ないなぁ。
ただ、個性的なキャラ作りが相変わらず上手いから、彼らの掛け合いを見るだけでもそれなりに楽しめた。

従来からユーザービリティ溢れるシリーズだが今作はさらに極まっている。
マップが上から見下ろせるようになり、視点問題が若干解消されマップの色の表示を消せたり、持ち上げがやりやすくなったりと、今までの悪い部分は大方解消された。前作にあった致命的なバグもない。

また、今作はいよいよオンラインにも本格的に対応している。
オンラインと言ってもリアルタイムでやり合えるのではなく、マップを作って他のプレイヤーに遊んで貰ったり、自分だけの界賊船を作って他プレイヤーの世界に乱入させたりと、それぐらい。
オンラインならではの人との結び付きという意味合いは薄いが、自分がアップしたマップを遊んで貰うだけでも何となく嬉しい気分になったりする。

システム自体はほとんど変わらず、良くも悪くもいつも通り。根幹のシステムは既に完成されているので安心して楽しめると言えるわけだが、やってることが同じなのは確か。ストーリー以外にもう少し変化が欲しかったかな。
とはいえ映像は格段に進化し、良い部分はそのままに悪い部分は解消と、全体的にブラッシュアップされているのでシリーズの中で最も完成されているのは確か。
新規にもオススメ、ファンならマストバイの良SRPG。