待ったかいがあった





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PS3のレースゲーム。開発は、ポリフォニー・デジタル。
免許は所得。パッドでプレイ。車の知識と関心はほとんどなし。GTシリーズは、4と5Pとポータブルを経験済み。

発売まで随分待たされたけど、如何せんシミュレーション型のレースゲームは地味で好きじゃないし、GT5も直ぐ飽きるだろなー。まぁ、もうすぐモンハンが発売するし繋ぎ程度になれば良いか…。

と思っていたが、いかん…参った、このゲーム面白過ぎる…。とにかく車を走らせているだけで楽しい。
車の挙動は、ガチガチのシミュレーション寄りで、リッジレーサーやバーンアウトのような爽快感はない。カーブを曲がるだけでも一苦労。コースの形状を頭に入れ、ブレーキのタイミングをしっかり把握する必要がある。アクションレースゲーム感覚でプレイすると、コースから外れるわ、レーンにぶつかるわで、レースどころかまともに走ることすらおぼつかない。
かと言って、そこまでマニアックというわけでもなく、ステアリングやアクセルワークの目安となるラインを表示できたり、オプションで挙動に補整をかけれたりと、救済措置もある。
リッジレーサーやバーンアウトのように、スピード全快で脳汁を飛び散らせながら走るのも楽しいが、GTには緻密なスピード調整、ステアリングを心がけて、地道にタイムを縮めていくという違った楽しさがある。

ここまでは、他のシミュレーション型レースゲームと何ら変わらない。挙動については、好みの問題なので何とも言えない。グランツーリスモが他と比べて突出してるのは、徹底的に追及されたリアリティーだ。

誇張抜きで実写と見間違えるほどの、とてつもなく美しい車のグラフィック。光の反射を巧みに使って、車の質感を上手く表現している。モデリングも職人の域で、ポリゴンらしさを全く感じさせない。
ライトのハイ&ローの切り替えが出来たり、オマケにワイパーまで動かせたりと、芸も細かい。
さらに、車内視点の作りまで車ごとに完璧に再現されており、ポリフォニーの車に対する愛情は異常としか言いようがない。
この視点でのドライブが、また楽しいんだ。本当に運転してるかのような感覚で臨場感は抜群。

コースのクオリティも凄い。アルプスの山や、緑生い茂る木々、イタリアの中世っぽい街並みなどの美しいしい背景を再現。
じっくり見ると、木や人間、建物のポリゴンは粗いが、コントラストが明瞭なため綺麗に映る。走ってれば粗さは全く気にならない。一部のレースは時間変化に対応しており、朝→昼→夕方→夜と風景が変わっていく。ニュルブルンクリンのような長いコースでも、視覚的に飽きがこない。夜のレースは前方が把握しにくいといった要素も生まれ、同じコースでも走り方が変わってくるのが面白い。
さらにランダムで雨が振り出したりと、とにかく作り込みに余念がない。トンネルを抜けた時の明順応まで表現されていて感動した。

これらの要素が重なって、走りの部分は文句の付けようがない仕上がり。
加えて、GT5の目玉モードであるGTライフ、これが素晴らしい。
まず、メニューがオシャレかつ視覚的に分かりやすく操作しやすい。GT4では、ごちゃごちゃしてて抵抗があったが、随分シンプルになった。
そして、モードが多彩なバリエーションに富んでてボリュームも膨大。レースはもちろん、趣向を凝らしたスペシャルイベントやテクニックを問われるライセンス、AIを育てるBスペック、愛車の写真を撮るフォトトラベルがある。
レースに飽きたらライセンスをプレイし、ライセンスで行き詰まったら、スペシャルイベントを楽しみ、息抜きがてらにフォトモードで写真を撮ってと、上手いこと飽きさせない作りになっていて、とにかく止め時が見つからない。

各モード自体も良く出来ている。
スペシャルイベントには、NASCARやWRCと、レースファンには堪らないイベントが揃っている。実在のレーサーがコーチしてくれるのも良い演出。
ライセンスは、初心者には基本的なドライブテクニックを覚える入門の場として役立ち、逆にベテランは己の腕を披露する絶好の場として活用できる懐の広さが魅力。
Aスペックは、普通のレースをするモード。レースの種類は膨大。出走車に色々な限定があって、多種多様な車を走らせてもらうのが狙いだろう。ただ、ルールに合った車を探すのが面倒。
フォトトラベルは、様々なロケーションを背景に愛車の写真を撮ることができる。かなり細かくカメラの設定が弄れて、本格的な写真を納められる。撮った写真の車は、本気で実写と区別が付かない。エフェクトで面白い写真も撮れる。


GT4は、色々なイベントを楽しむのに、ライセンスによる縛りがあったが、今作はレベル制になり、難しいライセンスを無理にクリアーする必要がなくなった。これはヘタれな俺にとって嬉しい仕様。

クリアーにしても、ゴールド・シルバー・ブロンズと指標があり、クリアー条件が楽なブロンズでも経験値と賞金が手に入るのが嬉しい。それでいて、ゴールドでクリアーすると特別な車が貰えたりするので悩ましくもある。実に上手い按配だ。

さらに魅力的なのがオンライン要素。
フレンド間でメールのやり取りをしたり、愛車の自慢をしたり、車をプレゼント出来たりと、色々なコミュニケーションが取れる。
オープンロビーでは、誰でも部屋を建てることができ、フリー走行やレース、他の人の走りを観戦したりできる。「レースはちょっと…」という人でも、楽しめる敷居の低さが良い。
ちなみに俺は、「野球好き集まれ!」という部屋名で建てて、車を走らせながらチャットを楽しんだりしていた。

そして忘れちゃならないのが、車のコレクション。
1000を越える超ボリュームに加え、その全てに説明文とデモが用意されているという、やりすぎだろと言いたくなるほどの詰め込みっぷり。
車ごとに排気の音が違うだけでも驚きだが、チューニングで弄ると、それによってまた排気音が変わるという、頭がおかしいとしか言いようがない作り込み。
ここまでされたら、車好きは泣いて喜ぶしかない。

車だけでなく、マリオカートのようなレーシングカートが用意されてるのも面白い。ハンドリングが良く効くため、初心者にはうってつけ。車とは違った味わいがある。

しかし、残念なのは1000車種のうち、プレミアムカー200車種、スタンダードカー800車種と分かれていて、プレミアムカーに比べるとスタンダードカーは、グラフィックの面でかなり劣る。ように見えて、実際走らせて見るとそれほど区別が付かないのが凄い。ただ、車内視点がないのは大きな欠点。基本的に、俺は車内視点でプレイしてるので、かなり残念だった。

他に欠点としては読み込みが長いうえに頻度が多い。これはかなり気になる。
あと、敵のAIがよろしくない。邪推かもしれないが、頻繁にこちらのスピンを狙って体当たりしてくる気がする。スピンを防ぐオプションはあるが、これだとステアリングやアクセルミスのスピンも防いでしまうのでつまらない。体当たりによるスピンを防ぐ設定があれば良かった。


もはやゲームの域を超えた至高のエンターテイメント。初回限定版なら車好き必見のブックレットが付いてくるし、ゲーム中には一部無料でGTTVを視聴できたり、車関連のニュースを閲覧することまでできる。

ここまでレースゲームにハマったのは、バーンアウトパラダイス以来。
パッドでこの熱中度だから、ハンコンを買ったひには止まらなくなりそう。ホリのやつ買ってみるかなー。

6年という開発期間を経たのも納得の出来。山内氏は、どんだけ車が好きなんだよw。ポリフォニーは、紛れもない職人集団なのが分かった。
ただ、プレミアムカーの少なさや、コースが一部しか天候や時間に対応してないなど、まだまだ作り足りないところは目につく。これからのアップデートに期待。
車好きなら何も言わずに買うべき。