「グールの夢 前編」

長くなったので、二つに分けました。
もはや、プレイ日記というより、妄想日記です。
若干ストーリー仕立てなので、かなり脚色がありますがご容赦ください。




「グールの夢 前編」


あれは夢なんだ。あんなことが現実であってはならない。
うん、夢に違いない…誰かそうだと言ってくれ!


俺は、プリムで出会った保安官に教えられた通り、ノバックって町を探し歩いていた。チャックの男が、そこに立ち寄ったらしいんだ。
ノバックに行くには、あの町を通る必要があった。そこで悲劇は起きていたんだ。
確かに、嫌な予感はした。町の入り口で、奇妙な奴が俺を出迎えてくれたんだ。
そいつ、俺が何を尋ねても
「今日は良い天気だね」としか答えやしねぇ。そして、そのまま走り去りやがった。
ったく薬でもやってるのか? まぁ、ここは何もかもがイカれた土地、モハビ・ウェイストランド。あんな奴は、ごまんといる。驚きやしないさ。

この町の名前は二プトン。NCRの連中が言うには、ゴミの吐き溜めらしい。
ゴミねぇ…、まぁ、ギャングが居ないことを祈るよ…って何だ、このファンタスティックな光景は。人間が生きたまま、磔されてやがる。おいおい、ここはそういう町なのか。俺にMっ気なんてないぞ。一体、誰だよ、こんなことするSM女王は。

ここで、俺はある物に目が止まった。それまで単なる飾りだと思って気にもしていなかった物だ。

こ、これ生首だよね…人間の…。あわわわわ、ヤバいよ、これ、ヤバいよ。とりあえず、たいさーん!

退散しようとするも虚しく、謎の集団に囲まれた彼の名前はyata。こんな世の中でも、暴力以外の解決法があると信じている青年。口癖は、ファッ○ン。

はーい元気? この町とっても魅力的だよねー。
うーん、何というか神秘のオーラに満ち溢れているというか。この町のデザインを考えた奴は天才だよ。まさか、磔た人間をモニュメントにしちまうなんて。いやー、俺には考えつかない。ところで兄ちゃん、サングラスがとっても似合…

恐怖からか通常の3倍の速度でまくしたてる俺。すると、そいつらが口を開いた。

「俺たちは、リージョン。趣味は磔。まぁ、こいつらは運がなかったな。ここに磔にされてる奴らは、クジに外れたのさ。」

こいつらが、噂のリージョンか。確か、このモハビの土地を牛耳ってる3大勢力の一つ。
って、クジに外れただけで磔にしてるのかよ。まぁ、理由なき暴力に溢れているこの世界。クジというチャンスを与えられたことは、幸運なのかもしれない。なるほど、入り口で出会った奴は、運良くクジに当たって解放されたのか。でも、恐怖心からかイカれてしまったと。
ヤバい、冷静を装ってるつもりでも、隠せないくらい足が震えている。修羅場は何度もくぐってきたが、今回はマジでヤバい。どれくらいヤバいかと言うと、夏休みに出されたレポートの存在をすっかり忘れていて、最後の日の夜中に思い出した時と同じくらいヤバい。

「とっとと、帰れ。」

え、何? さらっと言ったけど?

「生憎、磔するための十字架がなくてな。お前は運が良い。」

そうっすか、見逃してくれるんすか? 行きますよ?追ってこないよね?


俺は一目散に駆けた。時々、振り返ったが奴らは追ってこない。もう、町から随分離れたが、ずっと走り続けた。串刺しにされた生首の、あの男の表情が頭から離れない。
走って、走って、気が付いた頃には、町の入り口に立っていた。
デッカイ恐竜が出迎えてくれた、この町の名前はノバック。当初の目的地だ。
この町での、チュパカブラ伝説における俺の活躍や、自分の部屋を手に入れて歓喜に湧く件はひとまず置いておこう。

俺は、チャックの男と面識がある、マニー・バルガスという男に会いに行った。
あぁ、簡単に情報が手に入ると思った俺が、馬鹿だったよ。

マニー「うん、確かに会ったよ。知りたい?何処に行ったか知りたい?(チラッ うーん、どうしようかなー、教えても良いけど、条件がある。レプコンって研究所に住み着いた汚らわしいグール供を追い出してくれ。」

言われた通りにレプコンに潜入した俺。はぁ、なんて健気で良い男なんだ。
自惚れしていた俺を、近くのインターホンが現実に戻す。
ったく、今妄想中なんだから、後にしてよね。ん?今すぐ、階段を上がって、バンカーまで来いだって? おいおい、グールからご指名が入ったよ。
説明までに、グールとは核の被害によって醜い姿になってしまった元人間のことで、その中でも皮膚だけが腐ったグールは、人間と同じように理性があるが、脳ミソまで腐ってしまったグールは、見境なく襲ってくる危険な奴らだ。どうやらマニーが言っていたのは、理性がある方のグールらしい。姿が醜いとはいえ、元は人間。理性もある。そいつらを追い出さなきゃならないのか、俺は。

道中の脳ミソが腐ったグールを華麗にスルーしつつ、指示された場所に到着。中に招かれる。
招いてくれた男の名は、クリス。驚いたことに肌が綺麗だ。こいつは紛れもない人間じゃないか。どうしてこんなところに。洗脳でもされたのか?
スムーズスキンとか、訳のわからないことをほざいてる。話にならないから、親玉に会わせろ。
ここの親玉は、ブライトといって、あいつは…光ってた。禿という意味じゃない。そりゃ禿なのは間違いないが、全体が光っているというか、とにかく光るグールだった。そういう稀少種なのだろう。
で、俺に何か用か? 頼みがあるから入れたんだろ。

「実は、近々ある作戦の実行の為に地下の施設に行く必要があるんだ。ところが、そこにはナイトキンって化け物が住み着いてて、こっちは手出し出来ないんだ。」

分かった、分かった。最後まで言う必要はない。要するに、そいつらを追い出してほしいんだろ? その代わりと言ったらなんだが、ナイトキンって化け物を追い出したら…

「あぁ、私達にここから出てって貰いたいんだろ? そんな顔をするな。迫害には慣れっ子だ。大丈夫、どのみち出ていくつもりさ。」

どこか腑に落ちないが、とにかく地下に行く他ない。ナイトキンか、話が分かる奴なら良いが。

(グールの夢 前編/終)