爽やかだった





日本の長編アニメ映画。
監督は「時をかける少女」などを手掛けた細田守。

“小磯健二は数学だけは得意な普通の高校生。そんな彼は、密かに憧れていたナツキ先輩からアルバイトの誘いを受ける。
軽い気持ちで受けた彼は、彼女の実家を訪ね、そこでアルバイトの詳細をナツキから聞かされることになる。
「4日間だけ、私の彼氏になって」
大家族が構成する陣内家で翻弄される健二。
一方、全世界に普及したネットワークシステムOZでは、突如現れたハッキングシステムのラブマシーンによって、未曾有の混乱が訪れる。全世界のアカウントが奪われ、セキュリティに侵入し、インフラが滅茶苦茶にされていた。
次第にラブマシーンのイタズラはエスカレートし、核問題にまで発展する…。”


OZというネットワークシステムが万能過ぎるところとか、格ゲーの要領で元凶を倒そうとしたりとか、最終決戦が花札だったりとか、色々と釈然としない内容だったけど、そこをファンタジーだからと許容して見れば普通に面白い映画だった。

基本的に、「家族って大事だよね! 家族って良いもんだよね!」という内容で、生き生きとした大家族を見事に描いている。
それを語る上で、重要なファクターとなっているのが食事というコミュニケーション。
親戚一同が揃った賑やかな食事。みんなでご飯を食べるということをクドイほど見せる。
その後、10年間家から出たままだった侘助が登場。栄お婆ちゃんとのいざこざで食事の場はめちゃくちゃ。
翌日お婆ちゃんが亡くなり、家族は別々の席に着き、食卓はバラバラになる。
しかし、侘助が帰還した後、再び家族が一つのテーブルを囲み、一緒にご飯を食べる。
この一連の流れは良かった。

大家族ならではのリアリティーな一面も描かれており、親戚一同の集まりながら、一人輪を外れてパソコンに没頭しているカズマとか、子供の頃、おじさんに憧れていたナツキの黒歴史とか、あるあるな風景が随所にあって思わず共感してしまった。
この作品の裏主人公的存在であるカズマは、外見や喋り方が気が強い女の子のように見えて、実の性別は男という何ともオタクを惹き付けるキャラクターになっている。
事件がきっかけで少しずつ親戚との距離が近くなり、成長していく彼の姿は少年漫画的な展開ながらも、心地良いものがあった。
対して主人公である健二は、あまり目立たないものの、主人公だからといって無理にでしゃばることなく、「あくまで自分が得意なのは数学だけ」と貫徹していたのが良かった。

全体的に綺麗にまとまってたし、良い映画だと思うんだけど、何か物足りないんだよなー。この映画を見るまでに、俺の期待値が上がり過ぎたんだろうな。
比べちゃいけないのは分かってるんだけど、見てる間ずっと、かつて細田氏が手掛けた「ぼくらのウォーゲーム」のイメージが湧いてきて困った。似たシーンも随所にあったね。
というより、ぼくらのウォーゲームを再構築した作品と言っても過言ではないと思う。

あと、俺は昨日の金曜ロードショーで、初めてサマーウォーズを見たんだけど、昨日放送されたのは、カットシーンがかなり多いらしい。
後で調べてみたら、カズマの今まで苦労してたんだよシーンとか、侘助の花札シーンとか、甲子園出場をかけた野球のシーンとか、あとその他もろもろカットされているとのこと。
どれもかなり重要な場面な気が…。カズマが、マンサクの事を師匠って言ってるの聞いて、こいつら一体どういう関係?ってずっと不思議に思いながら見てたのに、そのくだりは全部カットされてたのね。
やっぱりテレビで放送されてる映画なんて見るもんじゃねぇな…。
また今度、借りてこよう。