全然怖くなかった…






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PS3のホラーゲーム。
舞台やストーリーは1をモチーフにしていて、新作というより外伝的な作品となっている。

このゲームに驚かされたのは映像面。
日本独特の風土的な恐怖を肌で感じる色使い。和室の壁・襖の煤けた感じや、全体的なテイストとして感じ取れる、じめじめとした湿っぽい色彩感がもう最高。サイレンの陰湿な雰囲気と絶妙にマッチしている。
屍人のグロっぽさも格段に増していて、真っ正面から向き合いたくない気持ちにさせる。蜘蛛のデザインとか実に良い。エクソシスト的な意味で。
理性は失ってるのに、田植えや料理、食事など、普通の人と変わらない行動をしている屍人を見ると、狂気じみた怖さを感じる。


表現、グラフィック、デザインと下地は完璧なのに、これらを全て台無しにしてしまったのが登場人物たち。
何で…外国人なの…?
サイレンって、外国ホラー特有のびっくり箱的な怖さではなく、じめじめとした、ねちっこくて、いやらしいテイストが特徴的の典型的な和風ホラーってゲームなのに、そんな作品で外国人が英語をべらべら喋ってるのを聞いてると違和感しか覚えない。
ゲーム性も、前作までは屍人とのかくれんぼ的な色合いが強かったのに、今作はえらく暴力的。とりあえず、そこら辺に落ちてる武器を拾って殴ってたらどうにかなっちゃうゲームバランス。最後の辺りになると完全に暴走してて、ぞろぞろと現れる屍人を銃でいかに早く駆逐できるかを試されるステージとか、もう素直にシューティングゲーム作ってろよとしか言いようがなく、このゲームの方向性がブレにブレているということを明確に表していた。

それでも、視界ジャックシステムは相変わらず面白い。
視界ジャックとは、屍人の目線から通した風景を見ることができるシステムで、これを使って屍人の位置を把握したり、隙を付いて行動したりという具合だ。
今作は、屍人の視界を見ながら行動できたり、同時に3人までの視界をセットすることができる。
このシステムは、攻略に役立つだけでなく、恐怖を演出する点でも非常に優れている。
視界ジャックシステムを使って覗いた視界に、チラっとキャラクターが映った時の恐怖感といったら、堪らないものがある。
発見次第、視界画面を揺らしながら迫ってくる屍人。追われる自分の背中を見ながら逃げる緊張感は、他のホラーゲームでは味わえない。
前作までは、見つかればゲームオーバーと言わんばかりの高難易度で、見つかった時の絶望感と相まってこのシステムはより活きていたのだが、今作は武器さえあればどうにかなるので、武器を使えない子供キャラ以外は、視界ジャックの有り難みが薄い。
武器さえあればどうにかなるという安心感は、中盤くらいになると、屍人を単なる歪なモンスターぐらいの存在にしか感じさせず、見つかった時の恐怖もあまり感じなかった。
あと、屍人の視界から心理状態が読み取れる描写があれば面白いのになー、と思う。

今作は序盤以外、物語的にも怖いと感じる描写はほとんどなく、一体いつになったら恐がらせてくれるんだろうと思いながら、最後までホラーゲームとしては何も見るところがないまま、終わってしまった。ホラーは大苦手な俺が、そう感じるほどだから相当だと思う。
クリアーした後も、なぜ外国人でキャラクターを固めたのか全く解せない。単に海外で売るためのアピールか?
あと、難易度にハードがないのは割とビックリした。前作までは、キチガイじみた難易度だったのに何故。

良く考えたら、アドベンチャー型のホラーゲームって少なくなったな。
バイオハザードやバイオショックは、ホラーゲームとはちょっと違うし、サイレントヒルは日本で出る気配がないし、現存してるのは零とサイレンくらいか。
そう考えると、サイレンは数少ない本格ホラーゲームとして貴重な存在。
PS3でホラーゲームがやりたいって人は、これを買わない手はないと思う。怖くないけど、雰囲気はあるしね。